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理事長 × 学長 × 会長 特別鼎談(2022年6月9日実施) Withコロナ ─ 今後の学生支援について ─

山田泰正
会長
本日はお忙しいところを、会報『葦』の鼎談企画にご参加いただき、まことにありがとうございます。
このたび会員の皆さまからのご推挙を受け、2022(令和4)年度の会長を仰せつかることとなりました山田泰正と申します。
今回の『葦』では、理事長の芝井先生と学長の前田先生とともに、コロナ禍におけるこれまでの大学ならびに教育後援会の各種取り組みに向けた対策や、Withコロナとなっていく今後について、父母・保護者の皆さまに向けたメッセージなどを中心に、お話をさせていただきたいと思います。芝井先生、前田先生、どうぞよろしくお願い申し上げます。

大学昇格100年記念式典・シンポジウムを終えて

山田会長 6月5日(日)に千里山キャンパスのBIGホール100において、大学昇格100年記念式典・シンポジウムが挙行されました。私も当日参加させていただき、当時の大学昇格に向けた様ざまなお話が聞けて、大変感銘を受けました。この式典・シンポジウムを終えられて、お二方のご感想をぜひお聞かせください。

芝井敬司
理事長
大学昇格運動を主導した山岡順太郎は、大阪商業会議所の会頭を務めた経済界の重鎮で、本学の学是「学の実化」を提唱し、総合大学としての関西大学の出発点を築きました。記念式典・シンポジウムでは、あらためてその歩みに触れ、大学昇格の意義を再確認する機会となりました。

前田裕
学長
学是「学の実化」は、この社会の変容を予想したかのように、「学理と実際との調和」を謳っており、今なお色褪せることはありません。これからは次の100年を見据え、平和と共創にも重きをおいて新たな時代の駆動力になる人材の育成に努めていきます。

日本一の教育後援会とともに次の100年も歩んでまいります
学校法人関西大学理事長
芝井 敬司

コロナ禍におけるこれまでの大学の対応および取り組みについて

山田会長 コロナ禍においては、遠隔授業への変更や課外活動の制限、また、大きな行事の多くは中止を余儀なくされました。しかし、関西大学では、自治体からの要請解除以降、履修者の多い授業を除いて原則対面形式での実施をご決断いただき、環境を整えていただいております。また、コロナ禍の学生に対する多方面の支援や、希望者のための大学における3回目ワクチンの接種体制の整備など、数々のご対応をいただき、心よりお礼申し上げます。

芝井理事長 本学では、2020年1月28日に新型コロナウイルス危機対策本部を開設しました。日本の大学の中でもいち早く対策について議論を重ね、迅速な意思決定と実行を徹底してまいりました。命に関わる重大性はしっかりと認識しつつ、うろたえずに「正しく恐れる」ことを大切にし、皆さまのご協力のもと、苦難の時期を乗り越えることができました。

前田学長 国や自治体からの要請により、留学をはじめ、課外活動や対面授業など、一時はすべてがストップしました。それでも学生の貴重な交流の場を守るため、本学では可能な限り対面授業ができるよう、再開に力を注ぎました。

芝井理事長 オンデマンドやオンライン授業でも一定の学習効果はありますが、やはり学生の学びと成長には、対面での交流が重要です。2020年度の秋学期以降の授業から、受講者数250名を超える講義はオンデマンド、250名以下は対面での実施を基本とすることで、大きなリスクを回避することができました。

前田学長 課外活動においては、活動の特質によって活動の休止期間を設けたり、活動場所や時間をずらしてリスク回避を徹底しました。学生の皆さんにも理解を得ながら、ともに乗り越えてきました。

山田会長 教育後援会では、昨年度においても、コロナ禍で生活が困窮した学生を支援するために「100円朝食」や「100円夕食」をはじめとする各キャンパスの学生食堂の充実に対する助成や、国際部事業に対する助成、また「家計急変給付奨学金」に対する助成などを行ってきました。
本会は、今後もご子女の皆さんをサポートする企画について検討してまいります。

芝井理事長 コロナ禍の学生支援においては「コロナによる経済的な理由から退学する学生を一人も出さない」という強い思いを職員が共有して様ざまな対策を講じています。昨年は教育後援会との連携により、SDGsの推進や食品ロス削減および防災意識向上の一環として企画した「食と防災ギフト」の配付を実施することができました。学生への支援を継続的かつスピード感を持って実施できるのは、教育後援会のご支援が大きな力となっています。心よりお礼申し上げます。

「食と防災ギフト」配付の様子(2021〈令和3〉年12月20日)
DX推進構想をはじめ、これからの学びをさらに進化させていきます
関西大学学長
前田 裕

Withコロナとなっていく今後について

山田会長 依然として、コロナ禍の只中ではありますが、これからは〝Withコロナ〟の時代となり、大学としても、学生のためにできることが増えていくのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

前田学長 関西大学独自の「DX(Digital Transformation)推進構想」の下、デジタル技術を駆使した教育環境の整備が進んでいます。例えば、どの教室でも授業のオンライン配信ができる設備や、学生一人ひとりが自分の学習履歴を振り返ることができる仕組みなどを導入しています。これまでも海外とつながるオンライン授業を実施してきましたが、今後は「その次の展開」にも期待していただける取り組みを考えていきたいと思っています。

芝井理事長 オンデマンドと対面の両方の授業スタイルを経験し、その結果、柔軟な授業形態が「標準化」されたことがコロナ禍で得たものの一つです。教員の多くはオンラインを活用した授業スタイルをうまく取り入れています。今後も工夫次第で授業のあり方を大きく発展させていけます。

前田学長 今年度の秋からは留学が再開する予定です。また、就職支援では、就職ガイダンスを今までよりも半年ほど早くスタートさせたほか、就職活動を終えた先輩学生や卒業生と気軽に話ができる「キャリアデザインラボ」を2021年度に開設しました。さらには、法政大学、明治大学と連携した2年次生向けキャリア形成支援プログラムも始まりました。学生同士の交流のなかで、キャリア形成や社会で価値を生み出す力を養成する機会をこれからも提供していきます。

3年ぶりに対面型で開催した教育後援会総会等について

山田会長 今年5月、父母・保護者の一日大学「教育後援会総会・学部別教育懇談会」を3年ぶりに対面形式で開催することができました。

芝井理事長 2020年度・2021年度はやむを得ず中止となり、それに代わる「大学教育(学部)の現状と就職に係る説明会」がWeb配信により実施されました。今年は来場者数の減少を心配していましたが、当日は約5000名にご参加いただきました。父母・保護者の皆さまの前でお話しをさせていただくことができ、感謝とともに使命感を新たにいたしました。

前田学長 学部の教員にご子女の成績の状況や進路について相談できる「学部別教育懇談会」も大変人気でした。オンデマンドでの実施が難しいため、対面形式での開催を待ち望んでくださった方も多かったようで、大変うれしく思います。

山田会長 コロナ禍でのサポートについて、父母・保護者が互いに情報を共有できる機会は貴重です。このようなつながりが持てる大学に入れて本当によかったと思っています。

父母・保護者の皆さまと大学との絆の深さは唯一無二です
関西大学教育後援会会長
山田 泰正

コロナ禍における学生応援企画について

山田会長 今年度は4月初めに、一人暮らしを始める新入生を対象とした「新入生歓迎の集い」を大学と共催で実施することができました。本行事も3年ぶりの開催で、感染対策を講じた上で実施いたしましたが、友人作りのよい機会として活用いただけたかと思います。

前田学長 一人暮らしを始める新入生は、新生活への期待だけでなく、不安も抱えています。今回は東日本出身対象者と西日本出身対象者に分けて開催し、同郷の仲間とつながる安心感も提供できました。

芝井理事長 会場の学生たちには、「うれしい」「楽しい」といった表情が自然と溢れていました。こうした素晴らしいイベントを一緒に開催できることに感謝いたします。今後もご協力のほどよろしくお願いいたします。

3年ぶりに開催された「新入生歓迎の集い」(2022〈令和4〉年4月3日)

父母・保護者の皆さまへのメッセージ

山田会長 後に、父母・保護者の皆さまに対するメッセージをお願いいたします。

前田学長 関西大学では学生のための様ざまなサポート・プログラムを用意しています。どんなにいい支援でも学生に活用してもらえなければ意味がありません。父母・保護者の皆さまには、ぜひご家庭でも話題にしていただき、関西大学の資源を活用するようお伝えいただければと思います。

芝井理事長 関西大学の教員は学生のことを真剣に考えて指導しています。教員も職員も、学生が社会で活躍してくれることを願って、熱心にサポートしています。みんな父母・保護者の皆さまと同じ思いでご子女を見守る「仲間」です。それぞれの思いを共有しあえる関係を築いていくことが大切であり、関西大学および教育後援会がその関係を築きあげてきたことの重みをコロナ禍を通してより強く感じています。山田会長をはじめ役員の皆さまも大変な思いをされていると思いますが、同じ「仲間」としてこれからもよろしくお願いいたします。

山田会長 教育後援会は、今後も大学のご協力を得ながら「大学と家庭の心のかけ橋」としての活動を充実させるため、「わが子の母校はわが母校」の精神で臨んでまいります。芝井先生、前田先生、本日はお忙しいところ、貴重なお時間をいただきありがとうございました。

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