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[理事長・学長・会長 特別鼎談]コロナ禍における大学ならびに教育講演会の取り組み

横田会長本日はお忙しいところを、会報『葦』の鼎談企画にご参加いただき、まことにありがとうございます。
このたび会員の皆さまからのご推挙を受け、2021(令和3)年度の会長を仰せつかることとなりました横田英哲と申します。
今回の会報『葦』では、理事長の芝井先生と学長の前田先生とともに、コロナ禍における大学ならびに教育後援会の各種取り組みや、父母・保護者の皆さまに向けたメッセージなどを中心に、お話をさせていただきたいと思います。芝井先生、前田先生、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2021年度の授業について

横田会長2021年度の授業は、昨年度の秋学期と同様に、当初は原則対面で行う予定であったかと思いますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による3度目の緊急事態宣言の発出により、4月19日以降、原則対面授業から原則遠隔授業に形態が変わりました。その後、各自治体でワクチン接種が徐々に始まり、感染者数も下降傾向となり、ようやく6月21日から原則対面授業へと戻りましたが、今後の授業への対応についてはどのようにお考えでしょうか。

学校法人関西大学理事長 芝井 敬司

芝井理事長6月21日から対面授業が再開し、学生の明るい笑顔がキャンパスに戻ってきてたいへん喜ばしく思っております。
関西大学では新型コロナウイルス感染症の第一報を受けてからいち早く対策本部を立ち上げ、他大学に先駆けて様ざまな施策を打ち出してきました。キャンパスの所在地や学部ごとの事情が様ざまなので、定例会議には学長はもちろん、各学部の学部長にも参加していただいて議論しています。
併設校も含め、学校法人関西大学全体で一致団結してコロナ禍における対応に取り組んできました。今後も学生ファーストの姿勢を大切にしながら、臨機応変に最善の策を打ち出していきたいと考えています。

前田学長6月21日から対面授業を再開できたことは喜ばしい限りです。しかし、今後も新型コロナウイルス感染症の拡大状況がどのようになるのか、予測が難しい状態が続きます。国や行政からの要請はもちろん重く受け止めますが、一律でオンライン授業に移行するのではなく、新型コロナウイルス感染症の拡大予防策を講じたうえで、可能な限り対面で教育を実施できる道を探っていくつもりです。

課外活動について

横田会長コロナ禍において、学生の教育環境と安全を最優先に考えていただき、ありがとうございます。学生生活には授業の他にも、課外活動もございますが、それについてはいかがでしょうか。

関西大学学長 前田 裕

前田学長対面授業の再開に伴い、十分な新型コロナウイルス感染症の対策が講じられていると判断できる活動は順次再開しています。また、関西大学ではクラブ・サークル活動以外にも、インターンシップ、ボランティア、留学などの活動も非常に重視しています。これらの活動も再開できる方法をあらゆる面から模索しているところです。

芝井理事長課外活動については学生だけで対策が十分かどうかを判断するのは難しいでしょうから、まずは学生センターに相談してもらうように周知しています。リスクの高い活動は認められませんが、学生の自主的な対策と学生センターによるアドバイスによって、できる限り活動できるように努めています。

就職状況について

横田会長私ども父母・保護者としては、就職状況についてもたいへん心配をしております。コロナ禍における就職状況について教えていただけますか。

芝井理事長関西大学としてもコロナ禍で企業の採用意欲が低下するのではないか、あるいは内定取り消しなど学生にとって不利益が生じるのではないかと警戒をしておりましたが、2020年度の集計では最終的に例年と大差のない数字に落ち着きました。もちろん、例えば航空業界を目指していた学生は採用そのものが中止になるなど、個人レベルでは大変つらい思いをした学生もいますので、キャリアセンターを中心に最大限サポートしていきたいと考えています。

前田学長キャリアセンターにおいても誰一人取り残さないという姿勢で学生の支援に取り組んでいます。父母・保護者の皆さまには、ご子女に早期からキャリアセンターを活用するようにアドバイスをしていただけましたら幸いです。

コロナ禍におけるこれまでの取り組みと今後について

関西大学教育後援会会長 横田 英哲

横田会長昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、ほとんどの行事は取り止めざるを得なくなりました。一方、行事が中止となるなか、「大学教育(学部)の現状と就職に係る説明会」をWeb配信により実施し、全国の父母・保護者の皆さまにたくさんのご視聴をいただきました。今年度におきましても、各種行事については、対面で実施することを基本としながらも、リアルなかたちで開催できない場合は、ITツールを使うなどして、できる限り教育後援会の行事を実施していきたいと考えております。さらに教育後援会は昨年、友だちづくりを支援するための交流サイトである「触れずにフレンズ」の開設や、コロナ禍で帰省やアルバイトもできない学生を主な対象とした「100円夕食」や「冬休みプレゼント」への支援などに取り組み、成果をあげてまいりました。そして、新型コロナウイルス感染拡大により生活が困窮した学生を支援するため、大学に対し1億円の寄付も行いました。今年度も本会は、より実りある学生生活をサポートするための有効な手立てを模索してまいりたいと考えております。

芝井理事長いつも学生の未来を考えた温かいご支援をいただき、非常に感謝しております。学校法人関西大学を代表して、心より御礼を申し上げます。学生への支援をスピード感を持って実施できるのは、教育後援会のご支援が大きな支えになっています。 コロナ禍で改めて感じたのは、関西大学が多くの人に支えられているということです。先日、千里山キャンパス内でのワクチン接種を開始することを発表しましたが、これも長く学術・研究分野で交流のあった大阪医科薬科大学の全面的なご協力があったから実現できたことです。医学部を持たない関西大学が、なぜこれほど早期に学内でのワクチン接種が可能になったのかと世間から驚かれています。

前田学長私たちは教学の視点から学生にでき得る限りを尽くそうと努めておりますが、やはり父母・保護者の皆さまの温かい視点には改めて気付かされることが多々あります。それが「100円夕食」であったり、「冬休みプレゼント」であったり、他大学にはない心ある支援につながっていると感じています。

学生の帰属意識向上に向けて

横田会長現在、上の息子が法学部4年次生で、下の息子が文学部1年次生に在籍しています。上の息子は入学の際、中央体育館での入学式にも参列しましたし、学生生活のなかでたくさんの友人を得たりしたことで、大学に対する帰属意識が高いように思えます。下の息子は今年入学しましたが、コロナ禍により、入学式には、教室で式典の模様をインターネットで視聴するかたちで参加しました。対面授業の再開まではオンライン授業が中心で、上の息子の時とはかなり状況が変わっています。コロナ禍のなか、仕方のないことですが、今後、昨年入学した学生とともに今年の新入生が帰属意識を高めるためにはどうすればよいでしょうか。

前田学長私は日々の授業や学生生活のなかで、学友や先生との交流を通じて帰属意識というものは醸成されていくのではないかと思います。そのため、新しい日常のなかでの学生生活を取り戻すことが最優先ではないかと思います。

芝井理事長関西大学では学生が様ざまな大学活動に積極的に参加しています。その典型的な活動が、学生同士が支え合うピアサポート、学生が授業支援を行うSA(スチューデントアシスタント)、オープンキャンパスを実施する学生スタッフなどです。このような活動に参加する学生は表情が生き生きとしていて、関西大学が本当に好きなことが伝わってきます。ぜひ多くの学生に大学の活動に積極的に参加してほしいと思っています。

父母・保護者の皆様へのメッセージ

横田会長最後に、父母・保護者の皆様に対するメッセージをお願いいたします。

前田学長関西大学では、学生を成長させるプログラムやアクティビティは極めて充実していると自負しております。父母・保護者の皆さまには、ぜひご子女に関西大学の資源を活用するようにお伝えいただければと思います。

芝井理事長関西大学には親子2代、3代で入学してくださって学風をよく知る方から、近畿圏外からご子女が入学するまで大学名しか知らなかった方まで、様ざまな方が集まっています。多様な背景を持つ父母・保護者の皆さまが大学の活動に積極的に参加していただいているからこそ、日本一の保護者会と評される教育後援会が成り立っているのだと思います。これからも関西大学の動きに関心を持っていただいて、温かくご支援いただけたら幸いです。

横田会長芝井先生、前田先生、本日はお忙しいところ、貴重なお時間をいただきありがとうございました。

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