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二人の女性に見るクルマと二刀流─「ゆめサポ」にかけた学生たち─ 会報編集部

コロナ禍にもめげず勉学に励む学生たちに、関西大学は様々な支援を行っています。中でもユニークなのは、学生の夢をはぐくむ「ゆめサポー夢実現支援金」。校友の野田順弘氏(オービック代表取締役会長)の寄付金を原資に、若者の成長をバックアップするシステムで、155名がこの制度を利用しています。中でもユニークな挑戦を続ける二人の女性にインタビューしました。

医療ロボットと一輪車世界大会

システム理工学部3年次

夢きっかけはテレビ番組

──医療に興味をもったきっかけはテレビ番組ですって?

そうです。手術現場を扱ったドキュメンタリーを観て興味をもちました。そして高校3年生のオープンキャンパスで、関大の医工薬連携に興味をもちました。医学部がなくても機械工学科で医療に貢献できます。医師の技術や経験には個人差があり、私はそんな個人差を埋める医療支援ロボット開発をしたいのです。

早トヨタの女性技術者育成プログラム

── ずいぶん早くから自分の道を設計しているように見えますが。

例えば私が受けているトヨタの女性技術者育成基金も早くから知っており、ぜひ応募しようと決めていました。大学院に進学し、大学院後期課程を1年分早く修了する制度を利用するつもりです。学部3年次後期から配属される研究室での研究や、日本機械学会年次大会での発表、トヨタのプログラムなどを通じて視野を広めたいと思っています。

目指すは世界チャンピオン

車世界ランク5位

──ロボットと一輪車って関係あるの?

もう一つのめりこんでいるのが一輪車競技です。小学校1年生の頃に出会い、高くジャンプしたりクルクル回転したりできる技術に魅了されました。高校2年では全日本一輪車マラソン大会で女子高校生以上の部で第5位に、2018年には世界一輪車大会(UNICON19)の18歳の部で5位になりました。次の世界大会(日程未定)でさらなる成果をあげる事が私の目標です。こうした一輪車競技で身につけた忍耐力や分析力が勉学に役立っています。

サーキット場で「ニーチェの言葉」

総合情報学部4年次

祝4歳の誕生日に赤と白の小さなバイク

──なぜ4歳からモトクロスを始めたのですか?

4歳の誕生日祝いに、モータースポーツが好きな父から赤と白の小さなバイクをもらったからです。以来、走るのが楽しくてモトクロスという二輪スポーツにはまりました。小学6年生の時に全日本選手権に出場して以来、夢は「全日本モトクロス選手権のレディースクラス年間チャンピオン」です。

転岩手で転倒、埼玉で優勝

──これまでで最も印象深いのはどのレースですか?

2019年5月、埼玉大会で初めて優勝しましたが、印象に残っているのはその年の岩手大会です。スタートで転倒するわ、後続車に轢かれるわで、絶望的な出だしでした。途中なんとかトップまで追いついたら、今度はマシントラブル。エンジンが止まり年間チャンピオン争いからも脱落しました。
しかし意外でした。あきらめない私のレースに、観客から「岩手まで来て良かった」「明日からの仕事も頑張れる」との声がかかったのです。

時には空中ジャンプも

本視野を広げた読書

──熱中しているのはモトクロスだけですか?

レース一辺倒の私の生活を変えたのは、関西大学で様々な人々と出会い、視野が広がったからです。きっかけの一つは読書です。幼いころから父が童話の読み聞かせをしてくれたので、本が好きでした。関大に進学後もレースの合間に本を開き、例えば有名な哲学者の考え方などを紹介した「ニーチェの言葉」などを読んでいました。
それがきっかけで全国紙の1面広告に登場。タイトルは「読書力 関西大のススメ」でした。それからさらに読書をテーマにした100行ほどの記事を全国紙に載せてもらったり、テレビのインタビュー番組に出演したり、私の考えた本の帯文が採用されたり…。ついに最近、モトクロスに関する本を1冊書くチャンスをいただきました。

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