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[理事長・学長・会長 鼎談]教育・研究の充実に向けた新たな展望

出席者(敬称略)
学校法人関西大学理事長 芝井 敬司
関西大学学長 前田 裕
関西大学教育後援会会長 吹田 康雄
関西大学教育後援会幹事長 川畑 一成

川畑一成幹事長(司会):本日はお忙しいところを、会報『葦』の座談会にお越しいただき、まことにありがとうございます。今回は、「教育・研究の充実に向けた新たな展望」というテーマで、ご父母・保護者の皆さまにお届けしたいと思います。芝井理事長、前田学長そして吹田会長、どうぞよろしくお願い申し上げます。

第21代理事長に就任されて

川畑幹事長:まずは芝井先生、第21代学校法人関西大学理事長へのご就任、おめでとうございます。先生は2016年に第42代学長に就任、本年10月1日からは、学校法人の理事長に就任され、お立場が変わられましたが、理事長としての抱負についてお聞かせいただけますでしょうか。

芝井敬司理事長:これまで学長として教学の分野で様ざまな形で仕事をさせていただき、その続きのように理事長を拝命いたしました。教学と経営では仕事の内容や目的が異なりますが、広い意味ではこれからの関西大学をどのように作っていくのかを考えることが使命だと思っています。新たに学長に就任された前田先生をはじめ、教育後援会や校友会などの諸団体、そして志を同じくするたくさんの皆さまと一緒に、いい大学を作っていきたいという思いを新たにしています。学生や教職員にとっては誇れる大学として、広く社会には存在感のある大学として、そして、高校生や進学希望者には選ばれる大学であり続けられるよう、皆さまと力を合わせて職責を果たしていきたいと考えています。

学校法人関西大学理事長 芝井 敬司

第43代学長に就任されて

川畑幹事長:続きまして前田先生、第43代関西大学学長へのご就任、おめでとうございます。先生は2012年に副学長に就任、2016年に副学長に再任、本年10月1日から学長に就任されました。長らく教学の中枢で教育・研究の充実に力を注いでこられたと思いますが、今回学長に就任されたことで、今後の抱負についてお聞かせいただけますでしょうか。

前田裕学長:大学を取り巻く環境としては、少子高齢化の影響を受けて、「18歳人口の減少」という問題に直面しています。こういう状況の中で、芝井理事長が目標に掲げられた通り、「存在感のある大学」「選ばれる大学」であるためには何をすべきかを考えていきたいと思っています。その1つとして私は留学生にとって魅力のある大学作りという目標を掲げたいと思います。留学生を集めるということは、日本人学生にとって国際感覚を磨く環境が整備されるということにもつながりますので、関西大学の国際化は重要なポイントだと考えています。
また、産業構造の変化が激しい時代の中で、関西大学は「学の実化(がくのじつげ)」という学是を掲げています。これは、大学が研学の府として学問における真理追究だけに終わるのではなく、社会のあるべき姿を提案し、その必要とするものを提供することによって「学理と実際との調和」を求める考え方です。この学是に基づき、産業界のニーズを踏まえた上で大学教育がどうあるべきかを考えていかなければならないと思います。関西大学の伝統として守るべきものは守る、変えるべきところは変えていく、そのバランスを見ながらよりよい関西大学を作っていきたいと考えています。

関西大学学長 前田 裕

これからの取り組みについて

川畑幹事長:コロナ禍の中、各大学における動向は常に社会から注目されていますが、関西大学では具体的にどのようなことに取り組んでこられたのでしょうか。

芝井理事長:新型コロナウイルス感染症の第一報を受けて関西大学はいち早く新型コロナウイルス感染症の対策本部を立ち上げました。以後、「学校法人関西大学 新型コロナウイルス感染症に関する対策本部会議」において、様ざまな情報収集および対策の決定を行ってきました。他大学に先駆けて「秋学期は原則として対面授業を再開すること」を決定できたのは、社会安全学部を擁する関西大学の知見を生かした、危機管理および意思決定の仕組みがあったからだと自負しております。
また、今回のコロナ禍において関西大学は、きめ細やかな学生支援策を打ち出しています。一人暮らしをしている学生には一律5万円を支給、「関西大学家計急変者給付奨学金」制度を拡充し、年額24万円に加え新たに12万円を給付、学費の延納・分納制度で納入期日を延長するなど、様ざまな学生支援策を実施してきました。また、コロナ禍においても夢や目標を達成しようという意欲を持った学生を支援する制度として、「ゆめサポ─夢実現支援金─」を設定し、挑戦する学生に30万円を無利子で貸与。報告書によって夢や目標達成、あるいは活動の進展等が確認できた場合は返還義務を免除するという支援策を実施しています。誰一人取り残さないという覚悟を持って学生の支援に取り組んでいますので、皆さまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

吹田康雄会長:私もわが子が関西大学に通っている身としては、芝井理事長や前田学長がこれほど深く学生のことを考え、お心遣いいただいていることに心から感謝しています。
一方で、わが子に目を向けると、キャンパスに通えないというのは大きな問題だと感じました。もちろんオンラインでも勉強はできますが、友人との交流や課外活動など、総体的な意味で大学生活には大きな価値があるのだと改めて実感しました。特に新入生の皆さまは意気揚々と大学に入ってきた矢先に、このような事態が発生して同じ父母・保護者の一人として心を痛めています。教育後援会としても学生の皆さまを支援していく道を探っていきたいと考えています。
ところで、関西大学としては、これからのウィズコロナ・アフターコロナにおいて、どのような教育を実施していくお考えでしょうか。

関西大学教育後援会会長 吹田 康雄

前田学長:教学の長としてまずお伝えしたいのは、春学期のオンライン授業から秋学期の対面授業を再開するまでにあたって、教職員一同は大変な努力をしてきたという点です。学生の安全を最優先に考えるという前提の上で、対面授業の再開へのニーズをできるだけ叶えてあげたいという思いのもと、教職員一同は全力でその職責を果たしてきました。その点に関しましては、父母・保護者の皆さまにご安心いただき、評価していただけたら幸いです。
また、対面授業の再開にあたって、関西大学では0か100かの議論はしていません。検討に検討を重ねた上で、対面で可能な授業は再開し、大人数の授業は引き続きオンラインで実施するなどの配慮をしています。さらに今後は対面授業とオンライン授業のメリット・デメリットを考慮して、最大限の教育効果を発揮できる方法を探っていきますので、どうぞご安心ください。

「大学と家庭の心のかけ橋」として

吹田会長:私はこれまで教育後援会の本部役員として教育懇談会などの様ざまな父母・保護者の皆さま向けの行事に参加してきました。そこで得たご意見・ご要望を大学にお伝えすることでよりよい関西大学を作っていくことに協力させていただきたいと考えています。今年度は全国各地で実施していた地方教育懇談会が中止になってしまい、非常に残念に思っておりますが、今後とも教育後援会として父母・保護者の皆さまの声をお届けできるように取り組んでまいります。

前田学長:大学教育においては、衣食住の生活のすべてが学生の成長に欠かせない要因だと思っています。その中で父母・保護者の皆さまの「ご家庭の視点」というものは大きな役割を果たしていて、教育後援会はいつも大学に気づきを与えてくれるので心より感謝しています。
関西大学には学生の成長につながる多彩なプログラムが用意されているので、父母・保護者の皆さまには、ぜひそれを活用するよう学生にアドバイスしていただけたら幸いです。

芝井理事長:関西大学の教育後援会は、その規模も、取り組みの内容も、日本一だと自負しています。2025年に開催される「大阪万博」に向けて、世界に誇れる教育後援会に発展されることを期待していますので、今後ともご協力、ご支援賜りますようお願い申し上げます。

川畑幹事長:本日は皆さまのお話をお聞きし、大学と教育後援会の絆がますます盤石なものになっていることを実感させていただきました。教育後援会は「大学と家庭の心のかけ橋」というモットーを掲げています。これからも学生と家庭と関西大学が三位一体となって、よりよい未来を築いていけることを期待しています。

関西大学教育後援会幹事長 川畑 一成

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