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大学院進学のご案内 深い知識と優れた能力を備えたスペシャリストを育む大学院教育(理系編)

今号では本学大学院理工学研究科の紹介と在籍する院生二人の声を掲載しました。現在取り組んでいる研究内容や大学院進学に至るまでの思いなど、これからご子女の大学院進学を検討されている父母・保護者の皆様のご参考になれば幸甚です。

現代の様々な産業において活躍できる理系の技術者・研究者には、高度の専門知識と技術に加えて幅広い素養と創造力をもつことが求められております。近年の科学技術の進展は著しく、多くの企業では大学院(博士課程前期課程および後期課程)修了者の採用を拡大しています。
理工学研究科では、このような社会的要請に応えるため、総合的、学際的な教育・研究を行い、科学技術の急速な発展に対応できる人材を育成しています。
理工学研究科は、理工系3学部の各学科が大学院では1研究科、9分野として、理工学的分野を網羅する研究科として躍進しています。また、外部研究機関(他大学、研究機関、企業)との共同研究を積極的に行っております。
多くの学生や社会人の方に大学院進学の門戸を広げるため、一般の入試に加えて前期課程に社会人入学試験や特別選抜入学試験、後期課程に社会人入学試験を設けているほか、各種奨学金の拡充に努めています。
また、外国人留学生入学試験を実施し、広く海外からも学生を募集しています。課程修了および学位取得後の就職などの進路については、本大学院における勉学の成果が生かせるよう、指導教員をはじめ理工学部キャリアセンターのスタッフが熱心に対処しています。

大学院
理工学研究科長
山本秀樹やまもとひでき

実践的な研究を通じて、即戦力となるエンジニアをめざす。

大学院理工学研究科

日本ペイントホールディングス株式会社内定

物性値を明らかにする、先進的な研究に挑戦。

私は化学工学を専攻しており、化学技術を使って社会の課題を解決する研究に取り組んでいます。具体的には「Hansen溶解度パラメータ」という物性値を用いて、材料の相性を定量的に計測するための研究を行っています。例えば、水とアルコールは混ざりますが、水と油は分離します。こうした材料Aと材料Bがどういう関係にあるのかは、従来、経験則に委ねられることが多かったのですが、私の研究を用いれば、具体的に数値で、そして視覚的に表すことができるようになります。どんなことに役立つのかというと、例えば、化学プラントなどにおいては、膨大な種類の洗浄剤の中から最適なものを選択しなくてはいけないのですが、私の研究を応用すれば、どんな洗剤を使えば効率的なのか、あるいは環境への負荷が少ないのかといったことを定量的・視覚的に表すことができるわけです。私たちの研究室では、物質間の相性を予測することができるHansen溶解度パラメータを化学からバイオまで幅広い分野へ応用しており、世界でトップクラスであり独自性の高い研究を行っています。

エンジニアとして成長できる、実践的な研究環境が魅力。

私が大学院に進学しようと思ったのは、将来は研究職に就きたいと考えていたからです。私が所属する「プロセスデザイン研究室」では、学部時代に培った基礎を土台に、研究を通じてより深く実践的に学べるので、私には最適の環境でした。企業との共同研究も行っており、化学技術の最前線で活躍する技術者や研究者の方と交流する機会も豊富です。実際に企業が抱える課題を考える上ではコスト面等も非常に重視されるので、研究室にいるだけでは気づかなかった新しい視点を身につけることができました。こうした実践的な研究に携わった経験は、将来、化学のフィールドにおいて活躍する上で大きな力になると感じています。修了後は、塗料のリーディングカンパニーに就職することが決まったので、自らの代名詞となるような製品の開発に携わることをめざしてがんばりたいと考えています。

The 18th Asian Pacific Confederation of Chemical
Engineering Congress 2019においてExcellent Poster Award
APCChE 2019を受賞した際の写真

長期的なキャリアを考えて大学院に進学。

大学院理工学研究科

医療に役立つ化学の研究。
学内外での発表の機会が豊富。

私は医薬品工学研究室に所属しており、統合失調症の治療薬の候補となる化合物が、マウスでどのように作用するのかを研究しています。モデルマウスを作って実験をしなければならないので、まずはマウスの飼育方法から学んでいる段階ですが、生物を相手にする研究なのでその難しさを実感しています。私はもともと生物に興味があって化学生命工学部に進学し、学部時代に生物の不思議を解明するためには、化学の力が必要不可欠であることを学んだので大学院に進学してより深く研究しようと考えました。この研究室では、学内外で発表する機会が豊富で、先日にいたってはタイに渡航して学会でポスター発表をしてきました。自分の研究を人に説明するだけでも難しいのに、不慣れな英語を使っての発表なので、事前に先生に何度も添削してもらい、入念に準備をして臨みました。それでも完璧な出来とは言えなくて、勉強不足を痛感しましたが、私にとっては自分を成長させるための素晴らしい経験となりました。

長期的な視野で将来を考えて、自分らしいキャリアの形成を。

将来は化粧品業界に進んで、化学の力で美容やアンチエイジングに役立つ商品の開発に携わりたいと考えています。就職や大学院進学など、自分の進路を決めるのはどの学生にとっても難しい課題だと思いますが、私はあまり固定観念にとらわれずに柔軟に軌道修正することをおすすめします。私は学部時代に食品の勉強などを通じて就職する道も考えていましたが、化粧品メーカーでのインターンシップに参加したときに、もっと専門的な知識がある方が将来のキャリアに役立つと考え大学院への進学を決意しました。社会に出てからの時間の方が長いので、長期的な視野で考えて、自分にとって最良の選択肢を常に考え、軌道修正していくことが大切だと思います。正解があるわけではないので、俯瞰して考えながら、自分らしいキャリアを形成できるといいのではないでしょうか。

研究室の仲間と出席した大学院入学式

会報『葦』のご紹介