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進路選択のための特別企画 司法試験現役合格者からのメッセージ

メリハリをつけることが大切。

私が司法試験の対策を本格的にはじめたのは法科大学院に入学してからで、司法試験合格者の中では遅い方だったと思います。3年次に友人に誘われてエクステンション・リードセンターの法科大学院入試対策講座を受けてはいましたが、学部時代から司法試験対策の勉強をしていたわけではありませんでした。それでも現役で合格することができたのは、法学部の授業をしっかりと聞き、基礎をおろそかにしなかったからだと思います。目標を決めて根を詰めて勉強するのは素晴らしいことですが、それだけだとどうしても息が詰まってしまいます。自分がすべきことや、そのタイミングを考えながら、メリハリをつけて努力をすることで、将来の進路が開けるのではないでしょうか。

2019年3月関西大学法科大学院卒、2019年度司法試験合格、法律相談所出身、多治川ゼミ

勉強スタイルを確立しよう。

学部時代に勉強に取り組む姿勢を学んだことが、司法試験の現役合格につながったのだと感じています。法科大学院でも司法試験の膨大な試験範囲をすべてカバーできるわけではないので、自習は必須です。私は学部時代に知識を詰め込むだけではなく、自分で考え、それを文章として自分で表現するという勉強のスタイルを確立したことで、法科大学院進学後も自習を効率的に進めることができました。また、ゼミで志の高い学生と切磋琢磨した経験が大きな力になったと感じています。あまりに熱心に大学に通っていたので、両親からは驚かれたくらいです。目標を持ってがんばる姿勢を理解してくれて、温かく見守ってくれたことに心から感謝しています。

2019年3月神戸大学法科大学院卒、2019年度司法試験合格、法律相談所出身、葛原ゼミ

頼れる先輩を探そう。

法学部は伝統的に先輩と後輩のつながりが強いという点が大きな魅力だと思います。私自身、学部時代に先輩たちにお世話になったので、今では後輩たちの面倒を積極的に見るようにしています。弁護士に限らず、関西大学には様ざまな分野で活躍する先輩たちがいるので、自分が話しやすい先輩を見つけてアドバイスをもらうことが大きな力になるのではないでしょうか。また、どの分野をめざす上でも、社会の動きは常に勉強しておくべきだと思います。例えば、最近は「○○ペイ」などのスマート決済が人気ですが、法的にどのように扱うのかは難しい課題が山積しています。どの分野に進む上でも最新のニュースを読み解く力は磨いておきましょう。

2019年3月関西大学法科大学院卒、2019年度司法試験合格、千里山法律学会出身、多治川ゼミ

憧れや感動の体験を。

私はテレビドラマがきっかけで法曹に憧れました。法学部では学生が一般の方の法律相談に無料で応じる「法律相談所」に所属していました。思い出深いのは相談者の方に、泣きながら「ありがとう」と言ってもらえたことです。弁護士になって、より多くの人から感謝されるような仕事がしたいと意志を固めた瞬間でもありました。私のように、憧れや感動体験があると将来の目標に向かって努力するきっかけや原動力になるのではないでしょうか。また、法学部では、卒業生の弁護士の方と交流する機会が豊富で、弁護士にも色いろなタイプの方がいることを知る貴重な機会でした。先輩たちの姿から自分の将来を想像できるのも素晴らしい環境だったと思います。

2019年3月大阪大学法科大学院卒、2019年度司法試験合格、法律相談所出身、多治川ゼミ

今すべきことに集中しよう。

私は法学部を首席で卒業し、法科大学院2年目で司法試験に合格したので、「才能が違う」などと色眼鏡で見られることが多いのですが、まったくそんなことはありません。司法試験に合格できたのは、ただ自分が今すべきことを積み重ねた結果だと思っています。司法試験に合格するにはどうしても一定の年月が必要ですから、合格というゴールに向かって限られた時間の中でどういうスケジュールで勉強するのかを常に考え、それをこなしていくことでしか目標は達成できません。これは弁護士に限らず、どんな将来の目標を実現する上でも同じではないでしょうか。自分の将来を長期的な視野で見て、自分が今、何をすべきなのかを考えることが大切だと思います。

関西大学法科大学院中退、2017年度予備試験合格、2018年度司法試験合格、現司法修習生、多治川ゼミ

学部は問いません。
─ご子女が法曹志望の皆様へ─

関西大学の学生は本当に優秀です。この5名は、法学部の同期生で、同じゼミで勉強した仲間です。彼らは互いに切磋琢磨し、第一回目の受験で司法試験に合格しました。早くに法律学の勉強を開始すれば、早くに司法試験に合格します。彼らの存在と経験がそれを物語っています。
法学部では、法曹志望者のための授業や演習を充実させておりますので、学部生は日々の勉強を大切になさってください。更に、次年度には全国の法学部で法曹コースが開設され、法曹志望者のための体系的な早期教育が開始します。関大法学部では、法曹コースは2年生よりスタートしますので、現1年生とご父母の皆さまには、ご注目頂ければと存じます。他方、関大では、法学部以外の学部ご出身の司法試験合格者も輩出しています。学部を問わず、法曹志望の学部生とご父母の皆さまには、法科大学院の窓口までお問い合わせ頂ければ幸いです。
彼らは、ご父母の皆さまのご理解とご支援に支えられ、司法試験に早期合格しました。この座談会が、ご父母の皆さまがお子様と将来の進路の一つとして法曹を語るきっかけとなりましたら、私ども、望外の喜びでございます。

法科大学院教授 多治川卓朗

校友・父母会館にある「関西大学・明治憲法下創立者の法廷」(鏝絵)前にて撮影

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