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こんな留学、あんな留学─。
5人の個性→穴場狙い・現地活動に飛び込め・アフターケア?
教育後援会 会報編集部

毎年、関西大学教育後援会総会などで行われる各種相談会。中でも留学コーナーは人気で、これを訪ねるご父母や保護者は1日100人前後にのぼります。背景には、何千キロも離れた土地にご子女を送り出す不安や期待があります。次に紹介する5人の個性的な留学経験は、保護者にとって何がしかの参考になりそうです。

(経済学部3年次生、2018年秋アメリカ・ゴンザガ大学に留学)

穴場は「田舎」の大学

入学した時から、アメリカの大学に留学したいと考えていました。将来は英語を使って世界中の人々とつながりながら仕事をしたかったからです。ゴンザガ大学を選んだ理由はいくつかあります。一つ目はあえて「田舎」の大学。ワシントンやニューヨークなど巨大都市のマンモス大学はありふれています。留学中で一番大切なことは友達を作って多くの時間を過ごすことだと思うので、必ずしも都市部の大学に行く必要はありません。その点、ゴンザガ大学は学内の大半の生徒がキャンパス内または徒歩で通える場所に住んでいる、比較的こじんまりとした学校です。授業が終わっても帰宅せず、友達の部屋に遊びに行くのが日常的で、友達作りには最適な環境と規模でした。もう一つの理由は、関大に進むまで長い間バスケットをしており、ゴンザガ大学はこのスポーツでは全米でトップレベルだったからです。おまけにゴンザガ大バスケ部のエースが、あの八村塁君だったのです。

「RUI !! 」

留学期間の約7カ月間、週5日でほぼ毎日、学内のジムのコートでバスケットボールをしていました。最初は友達もおらず、一人でシュートを打つ日々でした。しかしある日、現地の学生が声をかけてくれ、日本人だと伝えると八村君を連想したのか「RUI !! 」と叫んでくれました。それから一緒にプレイをし、顔も覚えてもらいました。大学内のチームに参加し、学内大会で優勝はできませんでしたが、オールスターゲームの選手に選ばれ、MVPがとれました。僕がボールを持つと「ソウタ!!なにかすごいことして!」と声援をもらうほどでした。その後、あるご縁でなんと僕がいる授業に八村塁君がゲストとして登場したのです。びっくりでした。

大学からいただいた八村塁さんの
ユニフォーム
バスケットボール部のホームゲーム
(文学部4年次生、2017年秋、国立台湾大学に留学)

私の穴場は非英語圏のトップクラス大学

私は非英語圏の大学を狙いました。英語圏では日本人留学生が多く、どうしても日本人だけでかたまったり、現地の人との交流が少なくなってしまう可能性があると聞いていたからです。もともと漢字が好きで中国語を勉強していました。それにトップクラスの大学という点も重要でした。とても単純ですが、学ぶことに貪欲な人が多いのには驚きました。留学生が持ち込んだプロジェクトが発端で、大学同士の大規模な共同プロジェクトに発展したりといったことが日常的に行われていました。

台湾人の友だちとその子を通じて知り合った日本人の友だち(左から2人目)

中国語を中国語で学ぶ?

私は中国語の授業は中国語で、その他の専門授業は英語で学びました。中国語で中国語を学ぶという経験はとても新鮮でした。授業の9割が「書く読む」ではなく、「聞く話す」という方式でした。そこで学んだ中国語は、もとより音や感覚で覚えたものなので、日常の会話の中で使うことができました。他の言語(例えば日本語)から訳して対応したものとして学ぶのではなく、実際のシチュエーションや感覚と結びつけて覚えることで、自然に習得できていました。

現地の市民活動に飛び込め ─激安のすき焼き店やおすすめの化粧品─

留学してすぐに私も参加できそうな市民の活動を探しました。現地の小学校でのボランティア活動は関西大学でもしていたのでなじみやすかったです。台日学生交流会では、焼肉パーティーが思い出に残っています。焼肉といっても、みたことのない野菜や食パンなど、台湾では定番でも日本では使わないような食材が沢山あり、会話が盛り上がりました。知人も増え、激安のすき焼き店やおすすめの化粧品がある薬局などを教えてもらいました。

サークルメンバーと小学校へ訪問(2列目の左から2人目)
(社会学部3年次生、2018年秋、オーストラリア・クイーンズランド大学に認定留学)

VOGUEを出版・暖かい・海・ただで美術館→それはブリスベン

ファッションに興味のあった私は①ファッション誌VOGUEを出版している国、②暖かい、③海がある、④タダで美術館に行ける土地を探しました。すべての条件がそろっているのがブリスベンでした。また、ブリスベンにある大学はすべて非推奨校で関大生が少なく、たった一人で新しいコミュニティに飛び込んで行けると思ったのです。

留学のアフターケア

帰国後は留学前と同様に定期的に学内のMi─Room(※)へ行って、留学生と交流を深めたり、関西空港でアルバイトをしたりして、英会話に磨きをかけています。Mi─Roomは、異文化コミュニケーションを実体験し、外国語で活動する機会をつくる学習空間です。
Mi─Roomでは、ネイティブの教員や留学生が講師となり、12の英語セッションに加え、11の多言語セッションを展開しています。
先日は、ニューヨークでファッションを学ぶ学生さんと交流がしたいという私の願いを職員がかなえてくださって、とてもうれしかったです。

日本と世界のファッションをつなぎます

高校生の時にVOGUEが大好きで、もっとそこで紹介される服を広めたいと思い、メディア専攻に進学しました。今はたくさんの経験をしたため、いろんな可能性を考えて就活を始めています。現在は関西空港のアパレルでアルバイトをしています。海外の方もたくさん来られるため、世界中の方々と大好きな服を共有できることがうれしいです。

※Multilingual Immersion Room。千里山キャンパスにある外国語学習スペースのこと

夜景を楽しむ小山さん
(文学部3年次生、2018年春、タイ・タマサート大学に留学)

ルーツを知りたい

自身が日タイハーフにもかかわらず、タイ語を話せない、タイについて知らないという状況を変えたかったために、この大学を選びました。留学中は勉強のほか、様々な活動に飛び込みました。例えば松山大学のミャンマーでのボランティア活動。一週間ヤンゴンに滞在し、郊外の小学校で外壁のペンキ塗り、小学生との交流に加え折り紙などの日本の遊び、お絵描き、鍵盤ハーモニカの授業を行いました。英語が通じないので、事前に自分でミャンマー語を勉強して行きました。

タイの飲食店で友人たちと談笑する澤井さん(写真中央)
(都市設計研究室 修士2年、2019年春フランス・クレテイユ大学などに留学)

そして最後に登場するのは井上さん。渡仏したばかりですが早くも世界の多様性を感じています。

トゥール市の38度は「猛暑」なのか「涼しい」のか?

今年のフランスは例年にない猛暑となり、私の住むトゥール市では38度を記録しました。これが日本であれば、日中の外出は避け、室内で過ごしましょうという話になるところですが、そうはいきません。フランスの家庭には一般的にクーラーが備わっていないからです。平年は最高でも25度台で、気持ちの良い風が窓から入ってくるので、クーラーは不要です。
しかしアメリカの学生らはクーラーが無い生活なんて無理だと訴え、逆にサウジアラビアの学生は「自国は今46度でそれに比べたら涼しいじゃないか」。教室の中で改めて世界の多様性を実感しています。ちなみに日本人の私からすると、湿度が低い分、日本の猛暑よりはまだ過ごしやすいようです。

フランスに留学して1カ月の井上さん

保護者にも海外留学フェアを

毎年秋に千里山キャンパスで開催している「海外留学フェア」。今年度は保護者の皆様にもご案内します。目的に合わせた海外プログラムを選んでもらえるよう、実際に海外プログラムに参加した学生からの体験談や、具体的なプログラムの特徴を紹介するイベントです。保護者の皆様には、留学制度や費用に関する相談、留学後の就職活動に関する現状をご紹介させていただきます。ぜひ一度海外留学フェアにご来場ください。

《海外留学フェア》

日時:2019年10月9日(水)13時00分〜17時00分
場所:関西大学千里山キャンパス凜風館1階
内容:留学相談(留学制度や留学資金のアドバイス)

留学体験談および留学経験者の就職活動の紹介
短期から長期まで、各種留学プログラムの魅力紹介

会報『葦』のご紹介