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130年の歩みをともに祝う、盛大な式典に
~関西大学創立130周年記念式典・祝賀会ルポ~
教育後援会 会報編集部

未来への期待が高まる式典プロローグ

秋晴れの11月4日(金)、千里山キャンパスにて、関西大学創立130周年記念式典が挙行されました。キャンパスでは、11月3日(木・祝)から学園祭が開催されており、この日も学生たちはもちろん、父母・保護者の皆さまや校友、地域の方々など多くの人でにぎわっていました。
式典の会場となったBIGホール100は、大学関係者をはじめ、多くの来賓や報道関係者で満席。創立130周年を記念して制作された「記念DVDプロローグ編」の上映で幕を開けました。DVDでは、校友で、プロフィギュアスケーターの髙橋大輔さんと、本田紗来さん(関西大学初等部3年生)が、「関西大学 たかつき アイスアリーナ」をステージに共演。受け継がれていく伝統や輝かしい未来が始まるワクワクが感じられました。

130年の歴史に思いを馳せ未来を見つめる

式典会場となったBIGホール100

続く式辞では、池内啓三理事長が登壇し、これまで関西大学の歴史に関わってこられた多くの方々への深い感謝を述べました。そして、創立百周年記念式典における久井忠雄理事長(第5代〜12代)の式辞を引用し「人間の生命は有限でありますが、関西大学の生命は、永遠の未来に生きる無限の可能性を秘めておると、わたくしはかたく信じます。過去をして意義あらしめるものは現在であり、現在をして意義あらしめるものは未来であります。」という印象的な言葉を紹介し、「今日がその未来永劫への厳粛な接点である。」と感慨を表するとともに「ここが未来への出発点である。」と力強く語りました。
さらに、次なる20年に向けての行動指針『Kandai Vision 150』についても紹介しました。これは、〝多様性の時代を、関西大学はいかに生き抜き、先導すべきか〟について、学園のすべての構成員が考え、行動するための指針だということです。池内理事長は、このビジョンに込められた思いを次のように話しました。
「生産年齢人口の急減、労働生産性の低迷、グローバル化・多極化の荒波が押し迫る環境下にある我が国において、従来と同じ教育を続けているだけでは、これからの時代に通用する力をもった人物を育むことはできません。こうした本学を取り巻く環境が今後一段と厳しくなるとの認識のもと、よりスケールの大きなビジョンを描く必要があると考えました。教職員はもちろん、卒業生や父母・保護者など、学園の全構成員が、将来を見据え、今、何を成すべきかを考え、コミュニケーションを図る契機とすべく、『Kandai Vision150』は対話形式で将来像を示すことといたしました。予測困難な時代にあって、未来を問い、対話を重ね、答えを模索し、挑戦する姿こそ、私どもの目指すべき将来像であります。」と熱く語りました。
現状に甘んじることなく、常に未来を見据えて時代を牽引する関西大学の志の高さが感じられ、会場では池内理事長の言葉に深く頷く人の姿も見られました。
続いては、10月1日付で第42代学長に就任した芝井敬司学長が登壇しました。1871年のドイツ統一を主導したオットー・フォン・ビスマルクの言葉「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」を引用し、「愚かな者は、個人の狭く浅い経験に振り回されて偏った判断に陥ってしまう。これに対して賢き者は、歴史すなわち人類社会の長く広い過去の歩みに深く学び、物事にあたっては、適切に考察し判断し行動することができる、という意味の言葉です。本日、130周年の記念式典を迎えた私たち関西大学にも、日々刻々、目まぐるしく変化する、目の前のこの現状とは別に、時間的にも空間的にも長く広いスパンとレンジで、大学という組織の姿を見つめ、そこから何事かを学んでいくことが必要であると考えます。」と、これからの関西大学が踏み出す方向性を語りました。
そして1886(明治19)年11月4日に関西で最初の法律学校として誕生した関西大学の歴史を振り返り、「創立者である若き司法官たちの活躍、あふれる情熱で学生を励まし指導した教師、その教えを必死に学び取ろうと刻苦勉励に務めた学生たちの間で、奇跡のように生まれた学術と技能、そして生き方や人間性までもが、人から人へと伝えられてきました。これこそが『教育』そのものであるように思います。」と、関西大学で育まれた教育の本質についても触れました。
最後に「現代に生きる私たちは、関西大学の名誉ある歴史と伝統を受け継ぎ、それを未来の世代に受け渡していく責任を担う存在です。過去、現在、未来を結び、未来に向けて勇気を持って歩み続けていきたいと考えています。爾後永遠に、ここに学ぶ若き学生の未来が、力強く拓かれんことを。」という情熱あふれる力強いメッセージで締めくくりました。

大学の歩みと教育後援会の絆

祝辞を述べられる河田悌一氏

各界を代表して、文部科学省 文部科学副大臣 水落敏栄氏、一般社団法人 日本私立大学連盟会長 鎌田薫氏、日本私立学校振興・共済事業団理事長であり、関西大学の第38代・39代学長を務められた河田悌一氏、大阪府教育長向井正博氏から祝辞をいただきました。
なかでも印象的だったのは、関西大学で教鞭をとり、学長を2期務められた河田悌一氏が、「関西大学の5つの魅力」のひとつに教育後援会の存在を挙げられたことです。その内容は次のようなものでした。
「私が思う関西大学の魅力の1つ目は、教授陣が教育と研究に全力を注ぎ、日本のみならず海外でも広く活躍されていることです。2つ目は、学生たちが向学心に燃え、考えて実践する「考動力」をしっかりと培っていることです。3つ目は、事務職員の方々の職務能力と献身性の高さです。
そして4つ目は、教育後援会組織が比較的早期に創設され、大学や学生の強力な支えとなっていることです。教育後援会が大切にしている「わが子の母校はわが母校」の思いを、全国各地の父母・保護者の方々が共有し、大学のために尽力されています。さらに、教育後援会の役職経験者による後援組織「千寿会」においても、「子どもは卒業させても親は卒業させない」というユニークなモットーを掲げ、70代、80代の高齢になっても大学への支援に尽力しておられます。ご子女の卒業後も、父母・保護者がこんなにも大学のことを思ってくれる大学を、私は他に知りません。
さらに5つ目の魅力としては、日本はもちろん世界に広がる44万人超の校友の強いネットワークがあることです。関西大学で学ぶ方たちには、これからもこうした校友会や教育後援会のつながりを持ち、大学との強い絆を結び続けてほしいと願っています。」
こうした河田氏の言葉に、会場からは拍手が起こり、関西大学でつながる絆の素晴らしさを改めて感じることができました。

能楽特別公演で祝いの舞

最後に式典を華やかに飾ったのは、校友である、山本章弘氏が代表理事を務める「山本能楽堂」の能楽の特別公演です。
今回は特別に、山本氏と親交の深い野村萬斎氏も出演されました。演目は、野村萬斎氏による「三番叟(さんばそう)」と、山本章弘氏による「高砂(たかさご)」。繊細さとダイナミックさを兼ね備えた動きと声、そして会場の空気感までも一瞬で変えていく舞の迫力に、会場の人々は魅了されました。
盛大な拍手で能の舞は幕を閉じ、関西大学創立130周年記念式典は閉式となりました。

山本章弘氏による演目「高砂」

百周年記念会館にて祝賀会を開催

挨拶を述べる宮原知子さん(右)と
本田真凜さん(左)

式典のあとは、百周年記念会館にて祝賀会が行われました。ステージでは応援団が演舞・演奏で会場をさらに盛り上げ、そのあとには、関西大学が誇るフィギュアスケートの女王・宮原知子さん(文1)と本田真凜さん(関西大学中等部3年生)がサプライズゲストとしてお祝いに駆けつけました。二人の突然の登場に、会場の盛り上がりは最高潮へ。
宮原さんは「関西大学の歴史を受け継ぐ一人として、私も勉学とスケートに励みたいと思います。そして、2018年の平昌オリンピックでのメダル獲得を目指します。」と、今後の意気込みを語りました。
本田さんは「この創立130周年に在籍できたことをうれしく思います。関西大学の恵まれた環境を活かし、人々に感動を与える演技ができる選手を目指します。」と笑顔で語りました。
お二人の今後の活躍を願い、会場からは惜しみない拍手が送られました。
祝賀会は盛況のうちに幕を閉じ、関西大学130年の歴史の1ページに、多くの方の笑顔が刻まれました。関西大学学歌にも歌われる「人の親和」や「燦たる理想」を感じられる、まさに関西大学らしさがにじむ式典と祝賀会となりました。
関西大学の前身である関西法律学校の創立に名誉校員として参画した児島惟謙先生のご子孫である児島百代さんから、この度の創立130周年記念式典に参列できたことへの感謝のお手紙が池内啓三理事長宛に届きました。ここにその全文を紹介いたします。

この度は、関西大学創立百三十周年、誠にお目出とうございました。御挨拶状をいただきまして誠に恐縮いたしております。素晴らしい記念式典に参列出来まして私自身感動いたしました。
四日にお招きいただき、三日が鎌倉合唱祭、五日に結婚式の主賓をお約束したこともありましたので、大阪に日帰りせねばならないので迷ったのですが、考えてみますと、惟謙の孫は私だけ生き残っていたものですから、どうしても伺いたいと思い、出席させていただきました。
出席させていただき、感動することばかりで、素晴らしい一日となりました。
最も感動しましたのは、大学の皆様がひとつになってそれぞれのお役を温かく迎えて下さり、何から何までお心配りいただき、素晴らしい記念式典をされておられた事でした。私は芸大卒業と同時に北鎌倉女子学園の音楽教諭となり定年退職するまで四十三年間勤務しましたので、私立学校の独自の良さを感じています。現在八十四才になりましたが、大好きな合唱を続けて今でも六つの合唱団の指揮をしています。教師をしていた頃、中三の生徒に廊下で呼び止められ、「先生、児島惟謙の孫って本当ですか?」「そうだけどどうして?」「エー社会の先生が言われたの本当なんだー」と走り去りました。私はこの時、初めて祖父のことが教科書に出ていることを知りました。そして十年くらい前に兄に連れられて関西大学を訪れました時、祖父がどれ程関西大学で大切にしていただいているかを知り心から感謝申し上げています。
感じましたことを長々と書いてしまいましたが、貴大学に心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
これから益々、素晴らしい大学となられます様心からお祈りいたします。
乱筆にて失礼申し上げます。

十一月十四日 児島 百代
池内啓三理事長様

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