1. TOP >
  2. 会報『葦』のご紹介 >
  3. 2015年夏号 No.161 >
  4. 授業拝見

授業拝見

法学部『専門演習1』3年次 通年
資格試験対策にも役立つ民法への理解を深めるゼミ。
法学部 多治川 卓郎(たじかわ たくろう)教授

『専門演習1』は、民法財産法をテーマにした3年次のゼミナールです。『民法判例百選I・II』などから重要判例を取り上げ、年間を通して演習を行います。学生たちは6つの班にわかれ、報告者は担当するテーマをあらかじめ調査してレジュメを作成し、それを配付して判旨や学説を紹介します。また、報告後の議論・検討を深めるため、受講している学生たち全員に予習が求められます。
授業の目標は法情報の検索と収集、報告資料の作成や報告の作法、法解釈のあり方と議論の方法の修得、また重要論点の理解など広範囲に及びます。授業では報告者以外の学生たちにも積極的な発言が求められます。前回までの授業で学んだケースと何が異なるか、また類似した問題ではどう考えるべきか、担当教員の多治川教授による解説や問題提起を受け、議論は深まっていきます。
多治川教授は、『専門演習1』の特徴を次のように語ります。「当ゼミで特徴的なのは、受講生の大半が、ロースクール進学を含めた資格試験や公務員試験の受験志望者であることです。したがって、取り上げる判例と論点は各種試験に頻出される内容が中心となり、全員での議論・検討時に私が解説を加える際も、各種試験を見据えて役立ちそうなケースを紹介するようにしています。」
民法のエキスパートであり、学生たちの学ぶ意欲を引き出すモチベーターでもある多治川教授ですが、ご自身を「試験対策の専門家のよう」と仰います。「試験対策にはコツがあり、それを押さえて努力すれば合格の可能性がグンと高まります。

例えば、2014年度には、当ゼミから公務員志望者8名のうち6名が県庁・国家一般職等の採用試験に現役合格し、ロースクールにも7名が進学しました。ようやく司法試験にもコンスタントに合格者を輩出できるようになり、2014年度の当ゼミ出身の司法試験合格者は3名でした。」公務員試験は週末に行われることが多いため、4年次のゼミを月曜日に開講し、直近の試験を復習して次の試験に活かせるように指導されています。また、関西大学ロースクールに進学した学生たちを支援できるよう、ロースクールでも授業を担当されています。

最後に、多治川教授は「関西大学法学部の学生たちは本当に優秀です。司法試験であれ公務員試験であれ、彼らが意欲的に学んで高い目標をめざせば、未来の可能性を大きく広げられると私は信じています。そのための支援は惜しみません。アドバイスできることがあるかも知れません。質問もお受けします。目標をお持ちの学生さんは、まずは私の講義においでください」と語ってくれました。

法環境都市工学部『ユニットオペレーション1』2年次 春学期
化学プラントの設計に必要な力を身につける。
環境都市工学部 山本 秀樹(やまもと ひでき)教授

石油や天然ガスなどから化学物質を取り出す化学プラントの内部では、流動、伝熱、化学反応、蒸留、抽出、吸着などといった物理化学的な変化が起きています。これらの操作のことを、化学工学の用語で「単位操作(ユニットオペレーション)」と呼びます。化学工業での製造における複雑なプロセスを、単純化して効率的に扱うことを可能にする考え方です。『ユニットオペレーション1』では、なかでも重要な「流動」と「伝熱」に重点をおいて単位操作を学びます。
「化学プラント内で液体が流れるプロセスやポンプの動力などについて学び、プラント設計の基礎を修得することが本講義の目的です」と語るのは、講義を担当する山本教授。「プラント内の各種装置の設計に必要となる理論や計算が十分にできるよう、私が担当している『ユニットオペレーション1』では現象を理解することからスタートします。秋学期からはじまる『ユニットオペレーション2』では、ガス吸収や抽出操作といった専門領域の詳細を学習します。」
取材に訪れた日の講義では、流体をテーマに総復習を実施。各種の公式や法則を再確認し、問題演習にも取り組んでいました。経験に基づく多様な情報を織り交ぜながら進められる山本教授の講義に、学生たちは真剣に耳を傾けています。
最後に山本教授は次のように語ってくれました。「丁寧にゼロから教えることが私の流儀です。教科書は内容が飛び石のようになっていますから、そのすき間を埋め、知識がつながるように導いています。

覚えるだけでは現場で応用できませんので、『考え方』を理解することを大事にしています。ここで学んだ知識は石油コンビナートや食品工場など各種のメーカーで応用できるものです。自分たちの進路をイメージし、学生たちは目を輝かせて学んでいます。」
流動や伝熱の領域は学問的にも応用の幅が広く、山本教授のもとには全世界から共同研究の申し出が殺到しています。共同研究の例としては、血管を通る血液の流れをテーマにアメリカ国立標準技術研究所(NIST)やウィーン医科大学、また慈恵医科大学などとも連携したプロジェクトなどがあります。

講義では、そうした最先端の研究トピックについても語られます。さまざまな刺激を受けながら学び、学生たちは未来につながる知識を身につけています。

会報『葦』のご紹介