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教員が語る専門領域の魅力 vol.19

伊澤 明香 准教授

文化的言語的に多様な背景をもつ子どもが活躍できる社会の実現を目指して

名部井 敏代教授

Profile 専門は地域・年少者日本語教育。外国人児童生徒への日本語教育・バイリンガル教育を研究している。文化庁、JICA、教育委員会、小中学校での研修講師を務め、外国人児童生徒への支援体制づくりに取り組んでいる。
ブラジル・サンパウロの日系人街(Japão-Liberdade)にある提灯を模した街灯

日本語が分からないクラスメートとの出会い

 「あぁ、この子は日本語が分からないから授業中なのに保健室にいるんだなぁ。」
 私がこの分野に進んだきっかけは、小学生の時、突然学校に編入してきた日本語が分からないブラジル人クラスメートとの出会いからです。外国人児童が公立学校に編入しても、日本語を教える先生も支援する学内外の体制もない・・。現在でも日本語指導が必要な外国人児童生徒は日本社会で増加傾向にあります。国内で日本語指導が必要な児童生徒の母語は、ブラジル人の母語であるポルトガル語が一番多いです。そのため、私は日本語教育を専攻する傍らポルトガル語や英語、韓国語も習得しました。これは、日本語を教えるだけでなく相手の言語・文化も理解した日本語教師になりたいと思ったからです。

子どものための日本語教育に必要なことは?

 小学校の頃に出会ったクラスメートのような外国人児童生徒が、日本だけでなく世界で活躍できる人材として育ち、生かされる社会の実現を願っています。そのため、外国人児童生徒が授業を理解できる言語能力を身につける方法や支援体制づくりを研究しています。子どもは大人と違って言語的、心理的、認知的にも発達段階にあります。また、子どもに対しては教科に関わる学習言語能力まで言語能力を引き上げる必要があり、そのためには長い時間がかかります。子どもの言語能力(日本語・母語)の実態を把握し支援方法を立案・遂行するために、実証研究を国内だけでなく、移民社会の先駆例として世界最大の日系社会を形成しているブラジルでも行っています。

子どものために大人・地域社会ができることは?

 外国人児童生徒の学びを支えるには、学校・教育委員会・地域・保護者など様々な大人のサポートも重要です。そのため、学校・自治体で持続可能な体制をどのように構築するかについて調査を基に協働で考えています。また、子どもへの教育方針は、保護者の意識が大きいので、保護者へのアンケートやインタビューを通して家庭でどのようなサポートが必要かを探っています。2019年に日本語教育推進法が施行されました。しかし、日本語教育の専門性を持ち合わせた教員は、学校現場や地域の学習支援教室ではまだ少ないのが現状です。そのため専門家として研修講師を依頼される機会が多いです。その際には、研究成果を現場の実践に生かせる助言になるように努めています。

学生のみなさんへのメッセージ

 地球は1つの太陽1つの月を使う1つの家族だ
 文化と土地が異なるだけだ
 地球に再び戦争が起こらないように
 私たちは平和を成さなければならない
 私たち同士お互い友愛して理解して
 助けてあげながら平和を成してこそ
 この平和が世界へと広がっていく (Josué.M)