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教員が語る専門領域の魅力 vol.18

松永 薫 助教

海外留学で必要なスキル

松永 薫 助教

Profile

専門分野は国際教育(高等教育)、英語教育学。特に、留学における実践共同体のなかでの学習者の習慣的行為(プラクティス)とアイデンティティーの関係性や、学習者の主体性、エンパワメントに注目しており、教室内で実践できる効果的な指導方法を追求している。

実践共同体の中で活動するために必要な言語能力

 皆さんは、英語圏に留学する際に必要な知識やスキルというのはどのようなものがあると思いますか?留学先(英語圏)の大学で授業を履修するという事は、大学という組織、そして履修する授業・コミュニティーに属し、同じ目的を目指すものと一緒に行動を共にするという事です。これを、ウェンガーは「実践共同体」、英語で「Community of Practice (CoP)」と呼んでいます。実践共同体のコミュニティーの一員として活動するためには、生活言語能力(Basic Interpersonal Communicative Skills /BICS)や学問的言語能力(Cognitive Academic Language Proficiency/ CALP)と言った能力が必要となってきます。

生活言語能力(BICS)と学問的言語能力(CALP)とは?

 生活言語能力(BICS)というのは、日常生活において他者とのコミュニケーションを取るために必要な言語能力を表します。例えば、友人との会話、お店に入った時のやりとり、道案内、電話での会話などで必要とされる言語能力です。これに対し、学問的言語能力(CALP)というのは、知的理解力を意味するものです。例えばレポート課題にも文献レビュー、論証型レポート、調査型レポート、実験型レポート、実習レポートなどがあり、用途に応じ書き方や内容、使用する言葉などを変えなければなりません。学問的言語能力は文脈性が低く、身振り手振りといった非言語的ヒントが少ない分、認知的な要求度が高く、高度なコミュニケーションだと言えます。また、このような能力を発揮する為には、情報の整理、解釈、統合、分析、評価、批判・批評、理論の応用といったスキルも必要となってきます。

教育、研究、実践の結びつき

 以上のような2種類の言語能力以外にも、留学先で必要となる知識やスキルというのはたくさんあります。例えば、グループプロジェクトを行う上で重要な協働性、協働的な学び(collaborative skills/ learning)もその一つです。しかし、このような能力を身につけるのは決して簡単なことではありません。私の研究では、学習者が直面する課題や葛藤、適応、問題解決に至るまでの過程、またそのような活動とアイデンティティーとの関係性を研究しています。このような研究を重ねることで、留学前・留学途中・留学後に必要なサポートや教室内で実践できる効果的な指導方法や教授法を追求しています。また、学習者一人ひとりが主体性を持ち、自ら行動し、自身のポテンシャルを最大限に発揮することが出来るような教育を目指しています。

学生のみなさんへのメッセージ

“Education is not the learning of facts, but the training of the mind to think.” –Albert Einstein