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教員が語る専門領域の魅力 vol.18

金 佳 准教授

「音声×教育」って意外と面白いかも!

金 佳 准教授

Profile

第二言語習得(特に中国語と日本語の音声・音韻)に関する理論研究及び第二言語習得論の観点から見た日中対照研究を行っています。

外国語の勉強、あなたは音声重視派?

 音声による言語コミュニケーションは非常に重要であり、人間の言語の本質は音声言語にあると言われています。ほとんどの赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる頃から韻律情報を聞き取っていて、生まれた後にとても早い段階で清音・濁音(例えば、日本語では/タ/と/ダ/の違い)といったような個々の音も簡単に習得できます。一方、大抵思春期以降より、外国語を勉強しはじめた人にとっては、音声の習得に非常に苦労しているようです(完全にできないというわけではありません)。どのレベルの学習者にとっても、音声に対するニーズが高いにもかかわらず、何らかの理由でうまくいかないケースは多々あります。先ほど述べた生理的な理由や言語間の違いのほかに、学習者の心理や客観的な学習時間の制限や現場教師の力量など・・・たくさんの要因が絡んでいるのです。

「わかる」と「できる」の隔たり

 音声学のできる先生だったら絶対外国語の発音も綺麗だろうと思われる方は多いのではないでしょうか。事実だったら非常に嬉しいのですが、残念なことにそうでないことも少なくありません(自分もその中の一人)。むしろ、何でこんなにできないのだろうかと問い詰めて、自分と闘いながらこの世界に入ってしまった方も多いのかもしれません。実は、音声知識が「わかる」ことと、音声がネイティブ並みに「できる」こととは別のことなのです。会話分析をやっている研究者であれば、人と会話する時に困ることがないというわけではないのと同様に、音声学と音声習得の間では関連性があって、音声学の知識が何らの形で部分的に音声習得に役立つと思われますが、何が、いつ、どのように習得されるかは予想以上に複雑な問題のようですね。

いろいろ気になりませんか?

 中国語や英語における/L/と/R/は聞き取りも発音も難しいので、聞き取りと発音はいつも連動しているのかな?アナウンサーの発した/が/と普段我々が使っている/が/は同じ発音?今の若者はそれらの違いを聴き分けることができる?またアナウンサーみたいに発音できる?ある言語の音を習得する際に、より簡単にできるのはどんな音?音声評価においては、音の高さ、速さ、強さといった韻律のほうが音声の全体をカバーしているため、子音や母音と比べて、韻律は評価結果により大きく影響しそう?方言ができる学習者は標準語の発音も非常に綺麗。だから、方言を勉強させることは、標準語の音声習得に役に立ちそうなのかな?これらの問題を一緒にクリティカルに考えていきましょう。

学生のみなさんへのメッセージ

 学而不思則罔、思而不学則殆
 (学びて思わざれば、即ちくらし、思いて学ばざれば、即ちあやうし)

−『論語』より−