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教員が語る専門領域の魅力 vol.14

井上 典子 教授

詩はことばの音楽

井上 典子 教授

Profile 専門分野は英詩研究。特に、14世紀頃に書かれた頭韻を特徴とする頭韻詩の韻律構造に興味があり、韻律(リズム・音)がどのように詩の意味と関わっているかを研究しています。

英詩との出会い

 皆さん、こんにちは。外国語学部では、「基礎演習」、「Academic Listening and Speaking」、「地域言語文化論(英米)」などを担当しています。専門分野は英詩研究です。
 私は幼少の頃からピアノが好きで、高校も音楽科に通い、学校でも家でもピアノ漬けの毎日を送っていました。大学も音楽学部のピアノ科に入学しましたが、1年生の時に、初めてネイティブの先生が担当する英語コミュニケーションの授業を受けた時に、英語を話す楽しさを実感しました。その後、音楽学部から文学部英文学科に転学することを許可してもらい、本格的に英語で書かれた文学作品とじっくりと向き合う機会を得ることができました。様々な作品に触れましたが、私が一番惹かれたのは、英詩でした。今から思えば、それまでピアノに打ち込んできた私にとって、音とリズムが重要な要素である詩に惹かれたのは自然なことだったのかもしれません。

英詩の魅力

 皆さんは詩に対してどのような印象を持っているでしょうか?私は、詩はことばの音楽だと思っています。どの言語で書かれていても、素晴らしい詩というのは、ことば・リズム・音が一体となり、私たちの想像力をかきたてて感動を与えてくれます。数学のように「一つの正しい答え」があるわけではなく、よい詩ほど複数の解釈が可能です。一つの単語が2重、3重の意味合いを持つこともあり、詩の解釈を試みることは謎解きの感覚に似ているかもしれません。また詩へのリスポンスは、私たちそれぞれの生き様や経験がベースとなりますので、以前の自分には「難しい」と感じた詩でも、例えば2,3年後にもう一度読んだ時には、「あれ、この詩、意外と面白い!」と思うことや、前には感じなかった感動を覚えることもあります。異なった時代に生きた詩人たちの感情、経験や知識をもとに書かれた詩と向き合うことで、その時代の社会、文化、思想も見えてきます。私は地域言語文化論(英米)の授業で、16世紀の作家シェイクスピアの詩から20世紀の現代詩人まで、各時代の代表的な作品を読んでいます。詩のことばと向き合う中で、学生さんたちが「英詩って思っていたより面白い!」と感じると同時に、英語を読み解く一層深く多様な視点を学び、英語に対する感性を磨いて下さればとても嬉しいです。

学生のみなさんへのメッセージ

 大学の4年間は、自分の将来の方向性を模索し、色々な可能性にチャレンジして何度でも失敗することができる貴重な時間です。1年間の目標を立てることも大切ですが、「10年後、自分はこうありたい!」という大きなヴィジョンを持つことが大切です。人生は一度きり。敷かれたレールの上を進む人生ではなく、時には思い切って「脱線」と思えることをやってみる勇気、受け身の人生ではなく、人生を自分で切り開いていくタフさを身に付けてほしいと思います。