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教員が語る専門領域の魅力 vol.12

嶋津 百代 准教授

覚悟を決めたら、道は開けます

嶋津 百代 准教授

Profile

専門は、日本語教育学および談話分析。日本語学習者のストーリーテリングや日本語ノンネイティブ教師のライフストーリーの分析を研究の中心に置き、日本語教育および日本語教師教育に取り組んでいる。

日本語教育と出会って

 私が日本語教育に出会ったのは、ハワイに英語留学していたときでした。当時、私は東京芸術大学の美術学部の学生で、自分が進むべき道を探していました。ある日、アメリカ人の友人に「日本人としての強みや専門性を生かして、アメリカで日本語を教えれば?」と提案されたのが、日本語教育に興味関心を持つようになった最初のきっかけでした。

 それから、私と日本語教育の長い長い旅が始まりました。

 自分の母語なのにどうやって教えたらいいのかわからなくて途方にくれたことも、自分は教師や研究者に向いていないと思って落ち込んだこともあります。でも「日本語と一生付き合う!」と覚悟を決めたら、目の前に道が開けました。そして、飽き性の私が日本語教育の場に居続けるのは、この旅の途中で出会い、私が立派な教師・研究者になれるように手を差し伸べてくれた人々に対して、私なりの責任を果たすためだからです。

外国語学部での私の担当科目

 現在、私は二つの教育分野を担当しています。一つは、日本語を母語としない外国人留学生に対する日本語教育です。もう一つは、将来日本語教師になりたい学生に対する日本語教師教育です。

 これからもずっと、外国人留学生が日本語を学ぶ教室に参加していたいと望んでいます。なぜなら、私のキャリアは日本語教師として始まったからです。そして、日本語教育の実践の場に立ち続けながら、日本語教師や日本語教育専門家を育成することにも力を注いでいきたいと思っています。

次世代の日本語教育環境の構築に向けて

 今後の日本語教育は、日本語や日本文化を伝えていくだけでは不十分です。「日本語を通して世界をどう見るか」「日本語を使って世界にどう向き合うか」このように、グローバルな視点で大局的に日本語教育を捉えることが必要になってきます。日本語学習者もそのような感覚を会得してほしいと思います。日本が迎える多文化共生社会においてどのような日本語教育環境を構築していくべきかを、私も常に考えています。

 具体的に言えば、理想の日本語教育環境とは、日本語のネイティブ教師とノンネイティブ教師が協働して現場を共有することです。特に日本語のノンネイティブ話者が日本語教師として日本でも活躍できるようになることです。そのような日本語教育環境の構築こそ、多文化共生社会が実現できることの一つであると信じています。

学生のみなさんへのメッセージ

 母語であれ外国語であれ、それらの言語が使える自分に自信を持ってください。学生の皆さんが、自分の母語を大切にして、学んでいる外国語に惚れ込んで、それらの言語を使ってたくさんのことを成し遂げてほしいと心から願っています。私がそうであったように、ことばを通して世界の人々とつながることのできる喜びを経験してほしいと思います。そのために、私は全力でお手伝いさせていただきます。