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教員が語る専門領域の魅力 vol.8

水本 篤 准教授

語彙学習方略の要諦と正しい測定・評価を求めて

水本 篤 准教授

Profile

語彙学習における学習者要因を対象として研究,教育実践を行っている。教育測定・評価も研究テーマとしており,研究,教育の両方において,「正しく測定し,正しく評価する」方法を追求している。

効果的な語彙学習方略はあるのか?

 私のこれまでの研究で、語彙を意図的に学習する際に使用する語彙学習方略を調査してきました。外国語を学習する場合に語彙は、「とにかく、ただ覚えればよい」というものであると思われがちです。しかし、学習者がどのように効果的に学んでいくかというプロセスを調査することによって、より良い語彙指導のモデルを提案できるようになるだろうというのが私の研究の出発点でした。

語彙学習方略研究によってわかってきたこと

 数年にわたる日本人大学生を対象とした調査では、多くの学生が語彙を意図的に学習しようとするとき、何度も書いて覚えるという方略を使っていました。この方略は、漢字を覚えるときに書いて覚えるということもあり、日本人英語学習者が語彙学習でよく使用する方略ですが、TOEICのような英語能力試験との相関を調べてみると、あまり効果がないということがわかりました。そして、より効果的な方略としては、実際に声に出したりするというような音声の利用であり、さらに効果的なものとしては、記憶に残りやすいよう関連づけを行う方略であることが明らかになりました。しかし、それよりも、語彙学習を計画的かつ自主的に実行することがさらに重要であることがわかりました。それには具体的な目標設定をはじめとする動機づけが重要になります。これらの結果から、現在は語彙学習に対する動機づけをどのように高めるかを研究しています。

正しく測定し、正しく評価する

 私のもう一つの研究テーマは、測定と評価です。テストは常に英語学習に関連するテーマです。能力がきちんと測定できない英語テストを使って、学習者の評価を行うことはできません。特に入試のようなテストでは正しい測定が重要になります。また、研究において測定がきちんとできていないデータを使って、何かを主張しようとしても意味がありません。このように、測定と評価は常に表裏一体の関係にあるため、これを正しく行う方法を追求しています。

 外国語学部では一年次生、三年次生のスキル科目の他に、英語教育論(テスティング)を担当しています。この授業では、英語教育における言語テスティングの位置づけを理解し、望ましいテストが備えるべき特性について学ぶことを目標としています。また、そのようなテストを作成する具体的な技法を学び、実際に問題を作成したり、テスト結果を分析する演習を行っています。

学生のみなさんへのメッセージ

 自分の目標を探して下さい。そして、その目標に向けてがむしゃらに努力してください。自分で決めた目標であれば努力も辛くないでしょう。そのためにも、誰かの意見に流されるのではなく、何事も自分で決めることができる人になってほしいと思います。みなさんの成長を楽しみに見守りたいと思います。

Success is the ability to go from failure to failure without losing your enthusiasm. (Winston Churchill)