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教員が語る専門領域の魅力 vol.8

吉澤 清美 教授

学べば学ぶほど、自分が知っていることが本当に僅かであるということに気づかされる。だから、一歩一歩前を向いて踏み出す。

吉澤 清美 教授

Profile

専門は、応用言語学、特に、言語テストと外国語での読みの研究に焦点をおいています。

 外国語学部では英語総合、英語教育論(ライティング、リーディング)を担当しています。世界の多くの国々では、英語以外の言語を母語とする子供や青少年が学校教育を受けるために、いかにすれば第2言語としての英語でのリタラシー能力(L2リタラシー)を発達させることができるのかが重要な課題です。彼らは第2言語学習者(L2学習者)と呼ばれています。英語教育論では、L2学習者は英語母語話者と同じように英語でのリタラシー能力を発達させるのか、L2学習者が母語でリタラシー能力(L1リタラシー)を身に着けている場合、L1リタラシーはL2リタラシーにどのように影響するのか、社会文化的要因とリタラシーの発達などに関しての理解を深めます。「読める」、「書ける」ということは多くの人々にとっては当たり前なことと思われ、あまり意識のレベルに上がってこないのですが、実は多くの能力、要因が複雑に絡んでいます。そこにL1とL2が入ってくると一層複雑になりますが、そこがまた興味深い所でもあります。

 専門分野は応用言語学、特に、言語テスティングと外国語での読みの研究に焦点を当てています。テスティングの面白さはその奥の深さです。到達度テスト、入学試験、プレイスメントテスト、能力テストなど、テストは私たちの身近なところにありますが、一つのテストを作成、その質の実証には多くの時間と労力が必要であるということは、一般的には知られていません。まず、テストには仕様書(test specifications)が必要です。コンピュータの仕様書は聞いたことがあるが、テストの仕様書って何だ。これは、それぞれのテストがどのような能力をどのように測定するのかということを、テスト問題作成前に決めておきます。テスト仕様書の決定後に、実際のテスト項目(問題)を作成しますが、それらは完全なものではなく、必ずパイロットテストを実施し、よい項目だけを選択し、実際のテストが完成します。しかし、そこですべてが終わるのではなく、テスト実施後、そのテストの質を実証するための分析、研究をしなければなりません。それは、テストの得点が、テストで問われている能力や知識について推測を働かせるのに十分の信頼性、妥当性があるということを確認すると言うことです。ここまでは、テクニカルなことが多いのですが、テスティングの面白さのもう一つの側面は、テストは社会と深くかかわっているということです。テストでよい結果を出そうとすると、テストで問われている能力や知識をしっかりと身に着けなければなりません。また、教える側もそれらを教えます。このようにテストは受験する人たちを含める関係者に影響を与えます。この影響は一方的なものだけでなく、逆の場合もあり、双方的なものです。

学生のみなさんへのメッセージ

I shall be telling this with a sigh
Somewhere ages and ages hence:
Two roads diverged in a wood, and I--
I took the one less traveled by,
And that has made all the difference.

(The last verse of The Road Not Taken by Robert Frost)