VIVA!学び場 マーケティング分析コンテストに挑戦! 社会課題を読み解く力を育む「小林ゼミ」の実践的学びとは? 経済学部
小林 創(こばやし はじめ)教授 

 経済学部の小林創教授によるゼミでは行動経済学をベースにして、消費者行動を学びます。2年間を通してマーケティングとプログラミングを基礎から学び、グループワークやコンテストへの参加を通じて学ぶ楽しさや達成感を得ることができると学生たちから好評です。学生の関心の芽を育てる実践型のゼミを覗いてみましょう。

データ分析の基礎~応用を2年間で学ぶ

少人数のグループワークが特徴

 小林ゼミは、3年次から2年間を通じてマーケティングとプログラミングの基礎を学び、データで社会課題を読み解く力を身につけます。
 ゼミ生は例年15人前後。3〜4人の少人数グループで課題に取り組みます。CMの視聴データやアンケートなどのリアルなデータを活用するのも特徴で、実社会に即した視点で研究が進められます。

251118_kobayashi01.s.jpg

プログラミング初心者も成長できる

 3年次の春学期は、データ分析の基本を知る期間です。統計分析に使われる「R言語」を身につけ、データ分析の基礎をしっかりと習得します。本格的なプログラミングは初めてという学生も、基礎学習の期間を通じて成長していきます。グループで課題に取り組むため、スケジュール管理などチームのマネジメントも重要な学びです。

251118_kobayashi02.s.jpg

野村総研のコンテストにグループで挑戦

 3年次の秋学期からは各グループがテーマを設定し、野村総合研究所が主催する「マーケティング分析コンテスト」に挑戦します。2007年から続くこの大会は、近年ますます注目を集めており、学生のみならず社会人や大学院生も多数参加する本格的な大会です。
 学生にとってハードルは高いものの、企業の実課題に近いテーマに取り組むことで、社会で通用する実践的な研究力を磨く貴重な機会となっています。4年次にはコンテストで得た知見をもとに研究をさらに深め、卒業論文として成果をまとめます。

251118_kobayashi03.s.jpg

深く学び、視野を広げるためのゼミ設計

外部との交流で刺激を受ける 

 実際の3年次のゼミでは、コンテストに向けたテーマの絞り込みのため学生たちが活発に意見交換を重ねます。小林教授は学生の自主性を尊重しながらも専門的な視点からアドバイスを行い、研究の質を高めるよう導きます。温かく的確な伴走が、学生たちの成長を支えています。
 コンテスト前には中間発表会が行われ、卒業生や企業で活躍するデータ分析の専門家が参加。実務的な観点から助言を受けることで、学生たちは研究の完成度をさらに磨きます。こうした外部との交流の機会は、小林教授が重視する「実社会とつながる学び」を体現したものです。「大学の外で活躍する人たちの多様な考え方に触れることで学生の視野を広げたいと考えています。社会課題や問題意識とアカデミックな知識を結びつけることで、卒業後も学びを活かせると考えています」と小林教授は語ります。

251118_kobayashi04.s.jpg

学び合う力が生む達成感

  2年間を通じて培ったグループの関係性は、学生たちにとって大きな支えです。互いの得意分野を活かし合い、苦手な部分を補い合う、そんな学び合いを大事にするゼミのありかたも、小林教授自身の大学院時代の経験から生まれたものだといいます。
 文系から理系的要素の強い分野へ転向したため、膨大な量の勉強をしなければいけなかったという当時を支えてくれたのは、同じゼミ生だったといいます。理系分野を教わる代わりに自身が得意な経済系の分野を教えることで、学び合いのコミュニティができたのだそうです。

251118_kobayashi05.s.jpg

アカデミックな知識を社会へ還元

 小林教授の研究テーマは入札談合の発生と抑止や消費者の購買意思決定などです。
 現在は大学での研究や教育を通じて得た学びを社会に還元するため、公正取引委員会との制度設計に関する研究交流や企業との共同研究など、産学官連携にも取り組んでいるのだそうです。
 「学生にもゼミでの学びを通して、学びを社会に還元する第一歩を踏み出してほしい」と小林教授。
 データを扱うスキルはもちろん、現実の課題を見つめる洞察力を磨けるこのゼミは、社会に出てからも長く生きる実践知を育てる場となっています。

251118_kobayashi06.s.jpg

学生の視点で語る、学びと成長の実感

「"かっこいい"から始まった挑戦。不安はやがて自信に変化」
高橋彩佳さん(経済学部 4年次生)

 ゼミを選んだ理由は「プログラミングができたらかっこいい」という憧れからでした。
 実際にはプログラミングだけでなく、普段の生活に関わるテーマが多く想像以上に面白かったです。最初はパソコン操作も苦手で不安でしたが、チームの仲間や小林先生のサポートのおかげで、コンテストや卒論までやり遂げることができました。
 先生は本当に学生一人ひとりをよく見てくれており、安心して挑戦できるゼミだと思います。

251118_kobayashi07.s.jpg

「わたしを成長させてくれたグループワーク。大学の学びを仕事につなげる」
金侑奈さん(経済学部 4年次生)

 マーケティングに興味があり、経済学部でその分野を学べる唯一の小林ゼミに入りました。
 特に思い出に残っているのは3年次からのグループワークです。課題も多く大変でしたが、仲間と一つずつ課題を乗り越えるたびに成長を実感できました。先生からの的確なフィードバックも成長を後押ししてくれました。
 グループワークが好きだったり、達成感を求めている人にはとくにおすすめのゼミです。
 将来はデータ分析の力を活かして金融系コンサルティングの現場で働きます。

251118_kobayashi08.s.jpg

459c55e3e0dbc3d1f90d3bbfd1a990cb3bb06547.jpg

経済学部
小林 創(こばやし はじめ)教授

● プロフィール
法政大学経済学部を卒業後、筑波大学経営・政策科学研究科を修了。さらに神戸大学経営学研究科博士後期課程を修了し、博士(経営学)を取得。
大阪府立大学経済学部講師、同大学経済学部准教授を経て,2011年4月に本学経済学部准教授として着任し,2013年4月より現職。
近年の研究テーマは「チームにおけるリーダーシップの出現」,「長期的関係における協調行動の出現に対する情報の役割」,「消費者の意思決定における考慮集合の形成」について、それぞれ理論構築を行い、それらの結果を実験によって検証するという形で研究を進めている。