研究活動

【公募研究班】交野市森古墳群の基礎的研究-鍋塚古墳の検討を中心に-

研究代表者 井上 主税 文学部・教授
研究概要

 大阪府交野市森に所在する森古墳群は、古墳時代前期(3・4世紀)を代表する古墳群として著名である。なかでも1号墳(雷塚古墳)や6号墳(鍋塚古墳)は、出現期の前方後円(方)墳として、この時代を研究するうえでも歴史的意義は大きい。

 古墳時代はその時代名称の通り、全国に古墳が数多く築造された時代であり、なかでも前方後円(方)墳という特殊な形態の古墳が、北は岩手県から南は鹿児島県まで汎列島的に分布している。3世紀中葉の箸墓古墳(奈良県桜井市)の築造を、定型化した前方後円墳の出現として、これを古墳時代の始まりとする見解に立つと、箸墓古墳以降の3世紀後半代に築造された古墳が出現期古墳にあたる。出現期の古墳は、瀬戸内海沿岸から近畿地方中央部にかけて主に分布するが、なかでも奈良県(大和地域)に分布の中心がある。このほか、近畿地方中央部では、淀川右岸(山城地域)に元稲荷古墳(向日市)、淀川左岸(北河内地域)に森1号墳および6号墳、大和川地域(南河内)に玉手山9号墳(柏原市)などが分布している。

 鍋塚古墳の既往の発掘調査(1996・2000年)では、墳丘のトレンチ(調査のための発掘溝)から葺石が一部検出され、前方後方墳の可能性が高いとされた。また、後方部中央の埋葬施設については、竪穴式石室の一部とみられる石材等が確認されたが、その規模や構造などの詳細は不明であった。

 このような状況のなか、鍋塚古墳について、墳丘形態や埋葬施設の構造を明らかにする調査計画が持ち上がり、それに先立ち古墳の立地や墳丘形態を把握できる詳細な測量図を作成する必要が生じた。

 本研究は、大阪府(河内地域)に所在する森古墳群を対象とし、発掘調査に先立ち、古墳の立地や墳丘形態を把握するための測量調査を実施し、これを通じて得られた資料や既往調査の出土資料などをもとに、森古墳群の築造時期や性格、歴史的な意義について考察することを目的とする。

研究分担者

徳田 誠志  文学部・客員教授

村元 健一  文学部・教授

研究期間 2025年度(1年間)

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