研究活動

【公募研究班】「大大阪」の形成・発展と山岡順太郎―山岡家文書の総合的研究―

研究代表者 官田 光史 文学部・教授
研究概要

 本研究は、なにわ大阪研究センターの公募研究として2022年度に採択された「「大大阪」の時代と関西大学―山岡家文書の調査・研究を中心に―」を発展的に継続しようとするものである。 山岡家文書は山岡順太郎とその家族(父・美章、長男・倭)の旧蔵資料である。前述の公募研究が採択されたこともあり、目録の作成は順調に進んでおり、山岡家文書所収の本学関係書類、山岡が関わった会社の書類・営業報告書、政官財界関係者が山岡に宛てた書簡など、約2000点の全貌が明らかになりつつある。
 この目録の完成は山岡家文書の利便性を飛躍的に高め、山岡家文書内の諸資料はもちろん、学内外で所蔵される同時代の諸資料と山岡家文書をリンクした研究を可能にする。こうした山岡家文書の総合的研究によって、山岡をはじめとする本学関係者が「大大阪」の形成と発展に貢献した姿を描き出すことが本研究の目的である。

 本研究の特色は、山岡家文書という質・量ともに充実した資料の総合的研究から、「大大阪」時代の政治や社会のあり方に光を当てることにあり、そのポイントは①「大大阪」における政官財界ネットワークの機能の解明、②「大大阪」における「加賀閥」の構造と実態の解明の2点である。

 これらの研究の集大成として、最終年度に開催する報告会については、1910~20年代の東京など、他の都市と大阪の比較も視野に入れて企画する。山岡家文書に関する本研究の成果は、今後の大阪・関西の地域史研究、日本近現代史研究に大きなインパクトを与えると期待している。

(2024・2025年度)
 「大大阪」の政官財界ネットワーク研究では、山岡が重要な地位を占め、山岡家文書にも多数の資料が含まれる会社として、大阪商船、大阪鉄工所、大阪住宅経営、日本電力などの活動を検討する。「大大阪」の「加賀閥」研究では、山岡に宛てられた書簡から、石川県在住者や大阪在住の石川県出身者の書簡を抽出し、解読する。また、金沢市立玉川図書館、金沢市公文書館、石川県立図書館などでも資料調査を実施する。

(2025年度)
 研究成果の報告会を開催する。可能であれば1910~20年代の都市史を専門とする研究者をコメンテーターとして招く。

研究分担者

伊藤 信明  博物館・学芸員

研究期間 2024年度~2025年度(2年間)

研究成果概要

 本研究は、なにわ大阪研究センターの公募研究として2022年度に採択された「「大大阪」の時代と関西大学―山岡家文書の調査・研究を中心に―」を発展的に継続しようとするものである。山岡家文書は山岡順太郎とその家族(父・美章、長男・倭)の旧蔵資料である。山岡順太郎(1866~1928年)は石川県生まれ。逓信省を経て大阪商船に入社、やがて大阪財界で頭角を現した。大阪商業会議所会頭を務めたころから本学との関わりをもち、1922年には総理事として本学の大学昇格を成し遂げた。
 本学年史編纂室は2021年4月に山岡家から山岡家文書を借用し、目録の作成に着手した。前述の公募研究が採択されたこともあり、目録の作成は順調に進み、2025年3月に『山岡家文書目録』が刊行された。これにより山岡家文書を構成する資料、すなわち本学の関係資料、山岡が関わった会社の営業報告書・事業報告書、政官財界関係者が山岡に宛てた書簡など、約3700点の全貌が明らかになった。
 期間全体の成果としては、まず分担者の伊藤が山岡家文書内の諸資料の構造を把握したことが挙げられる。また、代表者の官田が大阪財界の石川県人脈について、本学博物館(年史編纂室)学芸員で、研究協力者の佐藤健太郎が日本電力社長としての山岡の活動について研究に取り組んだ。これらの研究は、『山岡家文書目録』の情報を活用し、山岡家文書と学外の同時代資料をリンクする形で進められたものである。
 その成果については、当研究班の研究成果報告会(2026年1月24日、於・なにわ大阪研究センター1階セミナー室)にて、伊藤が「山岡家文書の構造と概要について」、佐藤が「山岡家文書日本電力関係資料について」、官田が「山岡順太郎と関西加越能同郷会」と題して、それぞれ発表を行った。また、この報告会には京都大学の望月みわ氏をお招きし、地域史や企業史の視点からコメントをいただいた。さらに、なにわ大阪研究センター2025年度研究成果報告会(2026年3月7日、於・千里山キャンパス第1学舎5号館)にて、官田が「第一次世界大戦後のカフェーパウリスタ―山岡家文書所収の営業報告書等の紹介―」と題して発表を行った。
 

研究活動一覧に戻る