研究活動

【基幹研究班】なにわ大阪研究センターにおける研究成果の可視化

研究代表者 乾 善彦 文学部・教授
研究概要

 2021年から改正されたなにわ大阪研究センター規程によって、同センター長を研究代表者とする基幹研究班を設置し、基幹研究のテーマのうち、2022年度に引き続き、①道頓堀五座、芝居小屋大工中村儀右衛門資料調査研究、上方演芸ならびにCGによる可視化の促進と発信、②鉄砲鍛冶屋敷井上関右衛門家に関する堺市との共同調査に基づく鉄砲ならびに「モノ作り」に関する研究、④豊臣期大坂図屏風に関連する海外研究機関との共同研究成果の継承の三つのテーマに取り組むものである。 

 ①については、2022年度、道頓堀CGの通行人入りバージョンを完成させたが、2023年度は、英語版の完成とブラッシュアップをおこなう。

 ②については、2022年度、鉄砲製造過程のCGを作成したが、2023年度はそのバージョンアップを期し、鉄砲の製造過程の解明に向けて、鉄砲に用いられた和鉄の鍛造加工性とたたら製鉄原料由来の化学成分に注目した調査を行う。また鉄砲鍛冶屋敷のCG等の作成を推進し、2023年度の「(仮称)堺鉄砲鍛冶屋敷ミュージアム」開館に向けたコンテンツの完成を目指す。

 ④については、2022年度に復旧をおこなった豊臣期大坂図屏風のデジタルコンテンツの公開とバージョンアップに加え、新たにエッゲンベルク城博物館の日本の間のVRの作成に着手し、あらたな段階として博物館展示用コンテンツとWebによる情報発信の準備を行い、2025年度の完成を目指す。

研究分担者

林 武文  総合情報学部・教授

藪田 貫  関西大学名誉教授

井浦 崇  総合情報学部・教授

橋寺 知子 環境都市工学部・准教授

丸山 徹  化学生命工学部・教授

北川 博子 関西大学非常勤講師

研究期間 2023年度(1年間)

研究成果概要

2022年度に引き続き、基幹研究班の研究テーマの内、①道頓堀五座、芝居小屋大工中村儀右衛門資料調査研究、上方演芸ならびにCGによる可視化の促進と発信、②鉄砲鍛冶屋敷井上関右衛門家に関する堺市との共同調査に基づく鉄砲ならびに「モノ作り」に関する研究、④豊臣期大坂図屏風に関連する海外研究機関との共同研究成果の継承の三つのテーマについて研究を進めた。それぞれに対する成果を以下に記す。

1.テーマ①に関して
(1)大大阪時代の道頓堀のCG復元
昭和10年から15年までを復元対象期間とし、松竹座~戎橋~角座付近までの映像・画像資料を収集した。取得した映像から、建物の3次元的な形状と位置を推定しプレビュー版のCGモデルと映像を制作した。次年度には、建物の色や質感を再現し、モデルの精緻化を目指す。また、松竹株式会社提供予定の松竹座の図面や演目のデータに基づいた可視化や芝居と歴史建築に関する研究を展開する。
(2)大正時代の道頓堀復元映像の改編
大阪万博や海外に向けた情報発信を目的に、英語版や現代の街との比較映像を作成した。これらは次年度以降の講演会やセンターWebサイト等で公開予定である。

2.テーマ②に関して
(1)火縄銃製作の可視化
火縄銃製作過程のCG映像が完成し、2024年3月3日にオープンした堺鉄炮鍛冶屋敷ミュージアムでの上映を開始した。また、2024年度にはセンターのホームページでも公開予定である。
(2)火縄銃のデジタルコンテンツの開発と展示
CGデータを基に大きさと重さを体感できる模型を製作し、上述のCG映像やARコンテンツを併用した一般向けの展示を堺市・関西大学共催のシンポジウムとなにわ大阪研究センター報告会にて実施した。今後も展示による情報発信を継続する予定である。
(3)鍛冶屋敷のCG復元とメタバースコンテンツの開発
明治14年の家相図と堺市提供の復元図面に基づく屋敷のCGのモデルを制作した。また、そのモデルをメタバース空間にアップロードして内部を探索できるメタバースコンテンツを制作した。これらの成果は、堺鉄炮鍛冶屋敷ミュージアムにて展示を行っている。

3.テーマ④に関して
豊臣期大坂図屏風のWebサイトを更新し、センターのホームページで公開可能とした。また、浪花名所図屏風の寄贈を受け、これを対象としたデジタルコンテンツの開発に着手した。

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