【公募研究班】大阪の災害の実態解明とデジタルメディア技術を用いた防災教育
研究代表者 | 城下 英行 社会安全学部・准教授 |
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研究概要 | 本研究は、大阪の防災・減災をテーマに課題解決に向けた研究を行うことで、防災・減災に関する成果はもちろんのこと、学の総合化という地域研究のさらなる進化を目指すものであり、具体的には、以下の2つの取り組みを実施する。 |
研究分担者 |
奥村 与志弘 社会安全学部・准教授 井浦 崇 総合情報学部・教授 |
研究期間 | 2021年度~2022年度(2年間) |
研究成果概要
本研究では、社会安全学部と総合情報学部の連携を基盤に複数の学問領域を射程とする研究班を組織し、防災・減災という地域課題について、社会安全学と情報学の観点からその解決に向けた取り組みを行った。
サブテーマの一つである大阪の災害の実態解明については、2018年の大阪府北部地震の際の家具・家電転倒率(屋内落下物の発生率)の大規模アンケート調査を実施し、それらの多くが特段の対策がなされずに元に戻されていたことも明らかにした。また、茨木市民を対象に低頻度巨大水害時の避難の意向に関するアンケート調査も実施した。その結果、浸水深や流速の関係で、自宅に止まっていては助からない可能性が特に高い住民の半数以上が、自宅の上階に垂直避難を行うという意向を持つことなどが明らかとなった。これらの成果については、2023年2月に開催された茨木市防災会議においても報告を行った。
他方、教育手法の開発については、2021年度に泉大津市立浜小学校において「防災プロジェクションマッピング」を実施した。本研究では、単に小学校を会場にプロジェクションマッピングを行うのではなく、上映する作品については小学生も制作する取り組みを行った。当日は、保護者や地域の方をはじめ、泉大津市長や泉大津市職員など、約200名の方に来場いただくことができた。2022年度は、国土交通省がオープンデータとして提供している3D都市モデルを活用して、大阪駅付近の都市模型を3Dプリンタで制作し、そこに防災情報を投影するというプロジェクションマッピングに取り組んだ。研究期間内に防災情報のマッピングまでは至らなかったが、オープンデータと3Dプリンタを用いることで、高精細な都市の模型を安価に制作できることが分かった。他方で3Dプリンタからの出力に要する時間が、とりわけ広範囲の都市模型を制作する上での制約条件になることも分かった。