特別研究

なにわ大阪「笑い」文化の再検討

研究代表者 浦 和男 人間健康学部・准教授
研究概要

なにわ大阪の「笑い」に関する調査と研究本研究は、以下の課題を通してなにわ大阪の「笑い」に関わるなにわ大阪文化を見直し、その本質を再検討する。

①漫才、落語の上方演芸の分析では、本学図書館「大阪文芸資料」に島ひろし、長沖一旧蔵の漫才台本が約450冊所蔵され、その全貌が前年度の研究で明らかになったので、台本のテキスト分析、発話分析を通して、大阪人に好まれた漫才の「笑い」の特徴を明らかにする。

②織田作之助は「大阪人はリアリズムを好む、リアリズムを突き詰めればユーモアとなる」と述べているが、大阪人のリアリズム好きを心理学的な立場から解明する、具体的には現代なにわ大阪の広告・コマーシャル、女性の化粧・衣裳・「かわいらしさ」の嗜好の傾向という、非言語で可視的な側面における「笑い」のあり方を考察する。

③なにわ大阪の社会的な変遷における「笑い」概念の発展を考える、具体的には興行場配置の時代的変遷と上演内容の変遷、戦前からのラジオ番組と戦後のテレビ番組の「笑い」のあり方を検証する。

④なにわ大阪の「笑い」は日本でも独特であるのかという点を、海外の視点から考察する、の四点を中心に、2016~2017年の特別研究を継続発展させる。あわせて、「笑い」を視座の中心とする大阪地域研究の拠点化形成を試みる。


以上の課題解明を進め、大阪の「笑い」とは何かを再考し、大阪文化研究の新しい領域を開拓したい。

研究分担者

雨宮俊彦 社会学部・教授

日高水穂 文学部・教授

木戸彩恵 文学部・准教授

Till Weingaertner コーク大学・准教授

Matthew Shores コロラド大学・客員准教授

研究期間 2018年度~2019年度(2年間)

研究成果概要

2019年度には、次の事業を行った。
  • 『季刊「大阪春秋」』176(秋)号掲載座談会公開収録、於阿倍野区社会福祉協議会ビル、「大阪春秋」編集室と共催
  • 第22回図書館フェスティバル講演会「再考 長沖一の文学世界」(講演会、座談会)、於大阪市立中央図書館、大阪市立中央図書館、「大阪春秋」編集室と共催
  • 公開研究会「大阪人の『かわいい』~『笑い』との接点」、於関西大学なにわ大阪研究センター
  • 『季刊「大阪春秋」』176(秋)号「特集 お父さんはお人好し―長沖一の作品世界」編集協力
  • 公開研究会「なにわ大阪の暮らしのおもしろさ~地域とのつながりを考える」、於関西大学なにわ大阪研究センター、地域活性学会関西支部、「大阪春秋」編集室と共催
  • 成果報告会・公開研究会「なにわ大阪『笑い』文化を考える」、於関西大学なにわ大阪研究センター
  • 成果報告書として資料集『秋田實戦前作品集Ⅱ』を刊行

  •  2018年度から2019年度の間に、なにわ大阪の「笑い」を昭和初期から支えた秋田實、長沖一のご遺族とともに、新資料の発見に努めた。大東文化大学、群馬県立女子大学の研究班・研究者との情報交換、研究会の共同開催、地域活性学会との共同研究会、「大阪春秋」編集室との協力関係の構築など、学術機関や民間団体との連携を深めることができた。落語家の桂文我、林家染太、笑福亭風喬の各氏、講談師の旭堂南海氏とつながりを作り、研究者にとどまらないネットワークを構築し、その基幹としての役割を果たすことになった研究の代表の浦は、2019年10月から大阪府立上方演芸資料館ワッハ上方の運営懇話委員会委員(企画部門)に招聘され、大阪府との研究連携の種をまくことができた。
     この種を今後どのように発芽させ、育てるかという問題は、特別研究が終了するため、今後きちんと検討しなければならない大きな課題である。
       

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