大阪の防災・減災をめざした体験型水防災教育
研究代表者 | 尾崎 平 環境都市工学部・准教授 |
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研究概要 | ![]() 実施内容は以下のとおりである。 A. ジオラマ都市水害模型を用いた防災教育実施方法 1)ゲリラ豪雨などでマンホールなどから溢れて浸水する内水氾濫、2)川が増水して堤防から溢れて浸水する外水氾濫、3)津波や高潮による氾濫、4)町に浸水した水が地下室に流れ込む地下空間浸水という4種の現象と、対策の一つである、5)地下トンネルによる洪水対策、について説明するとともに、実験の前後に、アンケート方式で質問に答えてもらい、理解が深まったかどうかを調査する。 B.浸水時体験ドア模型を用いた防災教育実施方法 6)ドアの両面にある水槽に水を入れ、その水深差によってドアにかかる水圧を設定する、7)水深差は0~60cmの間で、体験者に、自分が開けることができると予想した水深差を申告してもらい、設定する、8)ドアを開けてもらい、ドアが15cm開くまでに要した時間を測定する、ただし、開けられなかった場合には中断する、9)体験後に、簡単なアンケートを実施する。これにより、水圧は、水の量ではなく、水深に関係していることを知ってもらうのも、本実験の目的とする。 |
研究分担者 | 安田 誠宏 環境都市工学部・准教授 石垣 泰輔 環境都市工学部・教授 |
研究期間 | 2017年度~2018年度(2年間) |
研究成果概要
本研究では、大阪と周辺都市の主に小学生を対象としたジオラマ都市浸水模型を用いた観察型の防災教育と、浸水時体験ドア模型を用いた体験型防災教育をとおして、水災害知識の習得および防災意識の向上を目的としている。
2017、18年度にのべ4校の小学校、4年生の児童232名を対象に開発した装置を用いて水防災教育を行った。その研究成果、は以下の通りである。
A.ジオラマ模型を用いた水防教育効果
水災害の種類や発生メカニズム、被害、防災対策に関する事前アンケートと事後アンケートの得点化を行い比較した結果、ジオラマ模型を用いて水防災教育を行った後の得点が大幅に増加しており、本教育の有効性を確認することができた。また、教員ならびに児童の感想からジオラマ模型実験は楽しく参加でき、興味を惹くことが分かり、防災に繋がる自発的な行動を促すことに有効であるということも確認できた。
B.実物大ドア模型を用いた避難体験実験による効果
両校共、水深20㎝までは男女共に高い成功率を保っていたが、水深30㎝から開けることが困難になる生徒がいる。そして、水深40㎝から急激に成功率が下がる結果となった。2017年度では、水深40㎝の成功者は鷺洲小学校の男子児童1名のみであり、2018年度は一人もいなかった。これにより児童による限界水深を明らかにすることができた。また、児童たちも水災害によって車が水没した時の危険性を体験することができ、早期の避難が重要であること認知してもらうことができた。
これらの成果により、本研究で開発したジオラマ模型ならびに実物大ドア模型による避難体験実験が、防災教育として有用であることを確認できた。