特別研究

近代大阪文化の多角的研究 ― 文学・言語・映画・国際事情 ―

研究代表者 笹川慶子 文学部・教授
研究概要 近代大阪文化の多角的研究 ― 文学・言語・映画・国際事情 ―大阪の歴史的変遷とともに、当然、文学、芸術・文化、言語も変化していった。宮本又次氏の多数の著作に見られるように江戸期の大阪文化は、以前より注目されてきたが、近代の大阪文化は、未だ解明されていないことが山積されている。 そこで本研究は、明治から昭和までの大阪の歴史的変遷をとらえ、近代大阪文学、大阪映画文化、大阪弁、近代大阪文化研究の国際事情の4つの領域に焦点を当て、大阪の近代文化がどのように変化していったのか、多方向から研究を進めていく。
方法としては、関西大学の『大阪文藝資料』、大阪府立中之島図書館『織田作之助文庫』『藤澤桓夫文庫』、ワッハ上方の近代上方落語・大阪昔話資料、メリーランド大学『プランゲ文庫』、ハーバード大学燕京図書館、アメリカ議会図書館などの大阪文化資料を利用し、さらに、『大阪時事新報』など、なにわ大阪研究センター所蔵の資料を用いる。
これらの資料を精査し、文学、映画、言語、国際事情など多角的な観点から研究を進めることによって、大阪近代文化を総合的に捉え、その研究発展に尽力したい。
研究分担者 増田周子 文学部・教授
日高水穂 文学部・教授
Cronin, Michael Paul College of William and Mary・助教授
研究期間 2年間

研究成果概要

大阪映画研究
『大阪時事新報』の明治期および大正期を調査し、大阪の映画館の映画興行状況に関する基礎データベースを作成した。
とりわけ大阪最大の映画会社であった帝国キネマ演芸の活動を重点的に調査した。
また、その比較対象として、同時代に横浜に設立された大正活映の活動を明らかにした。
さらに、帝国日本の統治下にあった朝鮮および台湾の映画市場における帝国キネマ演芸の活動を調査分析し、比較した。加えて、アメリカとアジアの関係に着目しつつ、帝国キネマ演芸の存続した時代の世界映画配給システムを明らかにした。
これら一連の調査分析により帝国キネマ演芸の全体像が明らかになりつつある。

近代大阪文学研究
昭和大阪の文士劇「風流座」の公演について研究を進め、大阪や関西の文士達の芸能への関りを追求した。
さらに、大阪作家宇野浩二の芥川龍之介を揶揄した「龍介の天上」という童話について考察し、中国の杭州師範大学で基調講演を行った。
その他、朝日新聞社初代編集長の津田貞や、藤澤桓夫の文学について考察し、講演を行った。
津田や藤澤は泊園書院とも関係する人物で、なにわ大阪センターの他の班との連携を意識した。

近代大阪方言研究
昭和初期に大阪で生まれた「しゃべくり漫才」の由来と現在に至るまでの展開について調査・分析し、2つの成果報告論文にまとめた。
「漫才の賢愚二役の名称と役割の変容―「ツッコミ」「ボケ」が定着するまで―」では、漫才コンビの賢愚二役の役割関係と名称の変遷を、演芸事典(辞典)、演芸評論、国語辞典等の漫才に関する記述・言説を分析することにより明らかにした。
「漫才の賢愚二役の掛け合いの変容―ボケへの応答の定型句をめぐって―」では、漫才の掛け合いの型の変遷を、昭和初期から1980年代までの漫才台本分析することにより明らかにした。

近代大阪文化研究の在米資料調査および近代大阪文化の国際事情研究
ハーバード大学燕京図書館とメリーランド大学の訪問、及び他大学のデータベースの調査を通じ、大阪関係資料や大阪文化関連雑誌の所蔵状況を調査した。
調査結果は、2016年度研究成果報告書に掲載した。
谷崎潤一郎研究と織田作之助研究を中心に発表し、著書を出版した(単著)。
谷崎の絶筆を翻訳し、出版した。大阪と済州島の繫りを研究し、学会において英語で発表した。

月例研究会の成果をもとに、なにわ大阪研究研果報告書『近代大阪文化の多角的研究―文学・言語・映画・国際事情』をなにわ大阪研究センターから出版した。
執筆者は研究メンバーの笹川慶子、日高水穂、増田周子、Michael P. Croninに加えて、関西大学文学部の森勇太氏にご参加いただいた。

  • 近大大阪文化の多角的研究
    近大大阪文化の多角的研究

特別研究一覧に戻る