特別研究

道頓堀の景観変遷―芝居町から「食い倒れの街」へ―

研究代表者 長谷洋一 文学部・教授
研究概要 道頓堀の景観変遷―芝居町から「食い倒れの街」へ―本研究では、これまでの明治後期を中心とする道頓堀芝居町研究の成果を受けて、その後の時期、具体的には大正12(1923)年に建 設される松竹座以後の道頓堀の「暮らしと景観の変遷」を跡付けることを課題とする。具体的な課題は以下の通り。

①ランドマークとなる松竹座に関わる道頓堀の舞台美術に関する研究。
本年に遺族から寄贈された山田伸吉資料の調査研究を進めるとともに、同業者である舞台美術家の大塚克三資料を通して道頓堀の舞台美術の様 相を明らかにする。大塚克三は道頓堀を代表する芝居茶屋三亀の次男で、父大塚春嶺は日本画家、また芝居茶屋大彌は後に「ダイヤ画廊」となるなど、芝居町と大阪近代の文芸・美術は深くかかわっている。

②道頓堀を構成する茶屋・料理店・土産物屋・料亭・旅館などの飲食店に関する調査研究。
都市遺産研究センターで収集した明治~昭和初期の商標ラベル・チラシなどをデジタル化し、さらに地図上に落とすことで、 大正期から昭和初期の道頓堀グルメマップが作成できる。山田伸吉自身も戦後、グルメマップを作成しているが、芝居町から食い倒れの街への転換が跡付けられる。

③伝統的な和風空間としての道頓堀に、洋館の松竹座が建つことで、街全体に洋風化がすすんだ過程を建築景観として究明する。なかでも実際には建てられず幻となったが、洋風浪花座は、その先駆けとなるものであった。中村儀右衛門資料の中で建築的資料がもっとも充実した芝居小 屋洋風浪花座であるが、秋田県小坂町・康楽館(創建は浪花座と同じ1910 年)を参考にCGによる復元を行う。
研究分担者 橋寺 知子 環境都市工学部・准教授
林  武文 総合情報学部・教授
森本 幾子 尾道市立大学・講師
研究期間 1年間

研究成果概要

本研究は、松竹座が開場した大正 12 年(1923)以降の道頓堀の「都市文化と景観の変遷」を跡付けることを課題に、研究実施計画にもとづき推進された。その成果は以下の通りである。

① 松竹座に関わる道頓堀の舞台美術に関する研究
松竹座座付美術家山田伸吉資料に関して、遺族から新たに寄贈された約165点について整理・調査を行い、その成果を、関西大学博物館で開催された「関西大学博物館冬季企画展 新収蔵資料展」、センター主催で本学東京センターにおいて開催されたパネル展や早稲田大学演劇博物館で開催されたコラボ展に出品し、公開した。

②CGによる洋風浪花座の復元
「大阪の劇場大工 中村儀右衛門資料」にもとづき製作された「洋風浪花座復元模型」をもとに、CGを制作し、CG「幻の洋風浪花座編」として、センターHPで公開している。CGの制作に際しては、秋田県小坂町・康楽館に内部映像の撮影で協力を得るとともに、道頓堀商店会の斡旋で、かつての店舗の面影を残している店舗の実測調査を行い、それらをもとにCGでは道頓堀の通りから浪花座内部までを復元している。

③ 茶屋・料理屋・土産物屋・料亭・旅館などに関する調査研究
明治期から昭和初期にかけて大阪を中心とする店舗の商標ラベル303点のコレクションである「浪花贅六庵蒐集ラベルコレクション」の整理・調査を行い、データベース化して、センターHPで公開している。コレクションのほとんどの店舗が、道頓堀を中心に大阪市内の川沿いに分布しており、データベースでは、店舗をマップ化して、地図から検索できるようにしている。 本研究は、美術史・商業史・建築学・情報学という学際的な成果を生み出し、新生「なにわ大阪研究センター」での共同研究のモデルとなるとともに、研究や成果の公開においては、本学が連携協力関係にある道頓堀商店会や早稲田大学との連携を一層強化するという成果をもたらした。

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