ガラス乾板に記録された住吉大社の歴史景観的復元
研究代表者 | 黒田 一充 関西大学文学部・教授 |
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研究概要 | ![]() |
研究分担者 | 谷 直樹 大阪くらしの今昔館・館長 林 武文 関西大学総合情報学部・教授 |
研究期間 | 2015年10月~2017年9月 |
研究成果概要
(1)進捗状況
初年度には、合計473コマのデジタル化作業・内容の分析を行った。建造物や祭礼の様子を撮影したものが大部分だが、撮影年代については、昭和7年(1932)に発行された『住吉大社写真帖』の原板と思われるものがあることから、この前後の時期に撮影されたものであることがわかった。また、境内に分散していた石燈籠を整備するなど、現在の神社の景観がこの時期に形成されたことが判明した。
2年目は、残りの建造物を撮影したガラス乾板のデジタル化作業と分析を進めた。また、一般の方向けに境内周辺の地形図から、写真と解説の情報を開くことができるコンテンツの開発を行った。ガラス乾板を扱える技術者が少なくなり、乾板自体も劣化が進んでいることから、もう少し時期が遅れるとデジタル化が不可能になる状況であった。この時期に三菱財団の支援を受けたことは、文化財を救うことにつながったと考えている。
これらの成果をもとに、神事や祭りの様子が写った作品を平成28年(2016)11月に関西大学で、平成29年(2017)6月~8月には住吉大社回廊で展示を行った。
(2)今後の課題と展望
2年間に渡ってデジタル化したガラス乾板の調査・分析を行った。その中には社殿や境内が大きな被害を受けた昭和9年(1934)の室戸台風前後の状況記録が含まれているが、これらからは災害史について新たな事実を汲み取ることができるであろう。