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研究紹介

希薄水環境技術開発ユニット
希薄水溶液中の有価物・有害物質の分離を通じた水環境技術開発拠点の形成

研究代表者 環境都市工学部
教授 三宅 孝典
研究者 環境都市工学部
  • 教授 池永 直樹
  • 准教授 中川 清晴
  • 准教授 村山 憲弘
  • 教授 岡田 芳樹
  • 准教授 田中 俊輔
  • 准教授 荒木 貞夫
  • 教授 三宅 義和
  • 准教授 木下 卓也
先端科学技術推進機構
  • 研究員 小田 廣和
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水環境技術、例えば、上下水道・産業排水・農業用水・飲料用水などの水処理・造水に対する技術は、国際的にも関心の高い課題であり、省エネルギーかつ産業競争力の高い新しい水処理技術を普及させることが急務となっています。特にアジアにおいて、水環境問題は経済発展を阻害する大きな課題の一つであり、水環境技術開発の研究拠点を創ることにより、関西大学として日本を含むアジア経済の発展に大きく貢献したいと考えています。
本プロジェクトは、「水」に特化した技術開発を担うものであり、従来技術で対応可能な範囲よりもはるかに低濃度の有害物質あるいは有価物を分解・分離除去・回収する高度な水処理技術の創出を目指します。とりわけ、希薄水溶液中に存在するppmレベル、あるいはそれ以下のヒ素、鉛、セシウム、ストロンチウム、ハロゲンなどの有害物の選択的除去や、稀少金属などの有価物を省エネルギーで効率的に分離・回収する高度水環境技術の確立が重要です。希薄溶液からの有害物質の除去や有価物回収における原理に関する基礎的知見を得るとともに、さらにその原理に基づいた新材料の調製や清浄な水を得るためのプロセスを確立していきます。
世界的に先導的な役割を果たすために、これまで本学において推進してきた研究を基盤として、要素技術の開発と水循環システムに対する運営・管理に至る一連の実践的取り組みを、水資源循環工学として体系化します。水環境分野は多くの研究領域がかかわっています。本プロジェクトでは、化学工学、触媒化学、電気化学、材料化学などを専門とする幅広い研究者が参画することから、水供給、再利用、資源回収における水の質と量の両面の総合的な最適化が可能であることも、大きな意義と言えます。

具体的には、次の3つの要素研究領域を設け、これらの連携を図りながら技術開発を進めます。

1. 希薄水溶液中の有害物質(ヒ素、鉛、セシウム、ストロンチウム、ハロゲン)の除去に関する研究

特に飲料水においてはppmレベルの希薄なヒ素や鉛等の有害物質の新しい除去技術を確立します。また、放射性廃棄物の洗浄に由来する水溶液中のppm以下のレベルの極めて微量のセシウム、ストロンチウムを選択的に除去する技術を開発し、土壌汚染問題の解決を図ります。工業用水においては、プラント材料の腐食防止の観点から水中にppm濃度で存在する塩素、フッ素等のハロゲンイオンを安価に除去する技術を確立します。

2. 希薄水溶液中の有機物質の分解・除去・回収に関する研究

水中に微量溶存して存在する有機化合物を安価なラジカルにより分解除去する、あるいは、分離する新しい技術を確立します。

3. 希薄水溶液中の有価物の分離・回収に関する研究

希薄水溶液から各種貴金属、卑金属やレアメタルを回収する技術を確立します。

これらの技術開発により、従来は高濃度で混在する元素・イオン・有機物の除去や回収技術が確立されてきていたのに対し、今後問題となってくる低濃度で存在する有害物質や有価物を分離し、広く水環境を改善することに資する技術を確立することができ、人類の安全・安心な発展に貢献していきたいと考えています。