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JSTサイエンスキャンプ報告(高校生対象)(於:関西大、薬科大、医科大)(14.8.19-22)

更新日:2014年12月25日

2014年度 サマーサイエンスキャンプDX

"くすりを「知る」・「創る」・「活かす」"

実施日:2014年8月19日(火)~22日(金)
場所:関西大学 千里山キャンパス(吹田市)、大阪薬科大学、大阪医科大学(高槻市)
対象:高校生(20名)

 サマーサイエンスキャンプDX"くすりを「知る」・「創る」・「活かす」"をテーマに初日と3日目は関西大学、2日目は大阪薬科大学、最終日の4日目は大阪医科大学にて、全4日間の日程で全国から集った高校生を対象に講義、施設見学、実験実習を実施しました。それぞれのキャンパスに足を踏み入れた高校生たちは医学・看護学、薬学の専門大学と総合大学の雰囲気を肌で感じ取りました。

・初日(会場:関西大学 千里山キャンパス)
「医薬品の働きを知る -ヒトの消化と消化薬の働き-」 

 日本各地から受講生の高校生たちが集合場所である関西大学千里山キャンパスに集いました。開講式で機構長による4日間についての説明後、各自に準備された白衣を受け取り、グループに分かれました。担当の先生から実験の目的・概要が説明され、実験補助の学生・大学院生(TA)の指導の下、いろいろな実験器具の取り扱いの説明を受けました。実験ではカビ培養プレートからデンプン分解酵素を抽出後、試薬の酵素や市販の消化薬も合わせてアミラーゼ活性を測定し、酵素の反応pH特性や基質特性の比較を行いました。上手く結果が出なかった班も「もう一度やり直したい!」とファイトを見せて実験に取り組んでいました。

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「医薬品を創り出す-薬のシードの発見から製品まで-」

 宿泊先で夕食後、創薬についての講義が行われました。
 新薬の開発について、市場に出される際のポイントなど、医薬品の開発から製造までには医学・薬学だけではなく、獣医、工学、バイオ関連や、精製・製造プロセスなどの工業化研究などあらゆる分野の人材が関わり、総合力が問われる業種であることが語られました。

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・2日目(会場:大阪薬科大学)
「薬用植物の観察」・「薬用植物の成分をクロマトグラフィーで分離してみよう」

 吹田市から高槻市の大阪薬科大学に移動し、日本の民間薬や漢方薬などに使われる生薬の講義を受けました。その後、薬用植物園にて多くの薬用植物を実際に観察し、匂いや味の特徴も感じとりました。実習室では生薬の中でも良く用いられている黄連、桂皮、杏仁から一人ひとりが有効成分の抽出を行い、標準試薬と同時に薄層クロマトグラフィーで分離後、紫外線照射や発色試薬を用いて検出し、それぞれの有効成分を同定する実験を行いました。

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「ミクロの世界を覗いてみよう」

 午後からは顕微鏡の使用方法や試料調製に関する講義が行われました。一人1台の光学顕微鏡でじっくりとピント合わせに集中して標本を観察することができました。受講生たちは接眼レンズ越しに観察した画像をデジタルカメラやスマートフォンのカメラで熱心に撮影していました。
 また、消化管の絨毛など表面積を大きくしている構造と薬物・栄養素の吸収や動態についても講義が行われました。
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「身近なくすりを創ってみよう」

 医薬品にとっての剤形の重要性が説明され、受講生たちはカプセル剤と錠剤づくりに取り組み、日本薬局方に基づく崩壊試験や溶出試験なども体験しました。作成したビタミンCカプセルと複合ビタミン錠は、小瓶に移し、記念品として持ち帰りました。


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「交流会」

 実験後には夕食を兼ねた交流会を行いました。和やかな雰囲気の中、受講生たちと先生方とで、歓談がなされました。


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・3日目(会場:関西大学 千里山キャンパス)
「消化酵素の活性の測定(電気泳動法による測定や顕微鏡による観察、分子模型など)」

 初日に抽出したカビの酵素と、試薬のアミラーゼと消化薬をサンプルとして、電気泳動や酵素活性の検出を行いました。また、実体顕微鏡や光学顕微鏡を用いた様々な試料の観察と、分子模型を用いてグルコースとデンプンの立体模型を組み立てました。


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「ポスター作成・プレゼンテーション準備」

 各班の研究テーマが決定され、午後から最終日の発表用のポスター作成が始まりました。パワーポイントなどのプレゼンソフトを使わない、スケッチブックとカラーペンを使った手書きのポスターです。受講生たちはアドバイスを受けながらそれぞれの役割を担い、ポスター作りを進めました。夕食後もポスター作成は続き、受講生たちは夜遅くまでプレゼンテーションのプランを練っていました。


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・最終日(会場:大阪医科大学)

「発表」・「講評」

 大阪医科大学にて受講生たちによるポスターのプレゼンテーションが行われました。最初に各班が個別にプレゼンテーションを行った後、班ごとの二交代制でポスター発表も行い、先生方や参加したTA、他班の高校生からも多くの質問を受けたのち、受講生たちに講評・感想が伝えられました。


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「医薬品の効果的な使い方 -医療現場で薬を扱う立場から-」

 大阪医科大学付属病院の薬剤部の先生より、医薬品全般から吸収、分布、代謝、排泄の話や、医療従事者の立場から薬剤師の詳細な仕事内容についての講義が行われました。薬剤師の立場で患者さんから相談を受ける際の話や、服薬指導など業務についての話もありました。また、実際のさまざまな薬やデモ用の器具などを使い、医薬品の取り扱いについて説明を受けることも出来ました。


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「閉講式」

 昼食後に4日間の感想などが受講生から語られました。講堂に移動し、大阪医科大学学長より受講生たち一人ひとりに修了証が手渡されました。最後は全員で集合写真を撮り、記念として各自のポスターのコピーを手渡されました。受講生たちは4日間の日程を怪我無くすべて終え、元気にそれぞれの帰路につきました。終了後のアンケート・感想文では、「レベルの高い実験に参加できた」、「高い意識を持った科学に興味のある仲間に出会えて良かった」、「将来の進路の選択を考える上で役立った」など大変高評価でした。


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