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三大学医工薬連環科学シンポジウム(第8回)報告(於:医科大)(12.12.08)

更新日:2014年3月13日

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平成24年12月8日(土)、大阪医科大学において、三大学医工薬連環科学シンポジウム(第8回)を開催しました。
シンポジウムには、三大学を中心に約40名が参加されました。

出口寛文副機構長(大阪医科大学教授)の司会により、三大学医工薬連環科学教育研究機構長の土戸哲明(関西大学教授)から三大学医工薬連環科学教育研究機構の取り組みについての紹介と開会の挨拶が行われました。

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特別講演の一番目は、大阪医科大学医学部教育機構准教授の寺﨑文生先生より、「心血管病におけるリモデリング」の演題で行われました。

講演では、心筋構造の再構築の過程である心臓リモデリングや、短期的に血行動態変化による血管壁へのストレス増大に対して血管拡張することで対応し、長期的には血管が血管構造の変化や再構築を生じて、適応・代償する現象である血管リモデリング、なんらかの介入治療により、一度生じた心臓リモデリングが構造的あるいは機能的に改善するリバースリモデリングについて、風船やビデオを交えて講演されました。

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特別講演の二番目の講演は、大阪大学大学院医学系研究科内科学講座老年・腎臓内科学講師の神出計先生より、「腎血流評価による心腎連関の解明」の演題で行われました。

講演では、我が国における透析患者数や腎機能別の死亡、心血管事故および入院の相対危険などを踏まえ、慢性腎臓病(CKD)は、CVD、死亡、入院の独立した危険因子であることや、体液調節障害、内皮障害による動脈硬化、貧血が悪循環をきたすこと、腎機能障害と血圧日内変動、動脈硬化や血管障害を反映されるとされるRIの相互の関連性などが示され、RIが腎障害時の腎予後の予測因子となる可能性や血圧変動を生じる要因に腎血行動態の悪化が関連している可能性などを示唆するものと考えられたことなどについて講演されました。

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招待講演の一番目は、関西大学システム理工学部機械工学科教授の宇津野秀夫先生より、「脈波伝搬モデルの構築と循環器系疾患の診断」の演題で行われました。

講演では、波動理論に基づく全身血管モデルの構築に関する研究や位相線図を用いた脈波速度測定法の提案などにふれ、動脈の分岐に伴う総断面積増加率に着目した末梢血管モデルを提案し、さらに手首における反射率について、末梢血管モデルに基づく数値計算結果と実験値との整合性を検討し、末梢血管モデルの妥当性について示されました。
また、各反射点からの反射波が心臓出口の脈波に及ぼす影響を定量的に評価し、実効反射点が腹大動脈、左右の総腸骨動脈、および上腸間膜動脈に存在することが示され、現在の研究活動等について講演されました。

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招待講演の二番目は、東北大学大学院医学研究科中心血圧研究寄附講座准教授の橋本潤一郎先生より、「中心血圧 ~新たな血圧評価法の基礎理論から薬物治療への臨床応用まで~」の演題で行われました。

講演では、中心血圧は大動脈起始部の血圧を指し、心臓や脳、腎など主要臓器に直接かかる血圧を意味し、近年の研究から、中心血圧は従来の上腕血圧に比べて臓器障害および予後と密接に関連することや、種々の降圧薬による治療効果は中心血圧と上腕血圧で異なることなどが示されていることや、血圧は本来、波の特性を有しており、中心弾性動脈から末梢細動脈までを含む動脈樹全体を通した圧波の伝播と反射という視点に立って血圧の概念を理解することが、動脈硬化や循環器疾患を予防するための高血圧管理を行う上で重要であると考えられることについて示され、中心血圧に基づく高血圧の診断と治療、脈波分析を用いた心血管リスクの評価、動脈硬化と臓器障害に関する病態生理学的検討、血管系の構造と機能に関する評価技術の開発などのテーマとした臨床研究を推進していることを踏まえ講演されました。

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最後に、三大学医工薬連環科学教育研究機構副機構長の出口寛文より、本シンポジウムの4名の講師への謝辞と三大学医工薬連携の取り組みへの協力・支援の要請があり、閉会の挨拶とされました。

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