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三大学医工薬連環科学シンポジウム(第7回)報告(於:薬科大)(11.09.10)

更新日:2014年3月13日

kaijyou.JPGのサムネール画像平成23年9月10日(土)、大阪薬科大学において、三大学医工薬連環科学シンポジウム(第7回)を開催しました。
シンポジウムには、三大学を中心に教員21名、学生3名、一般参加11名、関係参加5名、名計40名が参加されました。

梶本哲也大阪薬科大学特任教授の司会により、三大学医工薬連環科学教育研究機副構長の辻坊裕・大阪薬科大学教授から三大学医工薬連環科学教育研究機構の取り組みについての紹介と開会の挨拶が行われました。

siraimidori.jpgのサムネール画像最初の講演は、大阪市立大学大学院の白井みどり教授より「その人らしさを支持する環境支援」の演題で行われました。

講演では、高齢者や障害者の「ノーマライゼーション推進」や「QOLの向上」について一般的な説明がなされ、続いて認知症高齢者の欲求を理解し、QOLを向上させるための実践について話題が提供されました。
具体的には、車椅子で生活している重度認知症の高齢者の座位が、身体拘束のY字ベルトや車椅子の構造上の不都合から「座り直しができない」などのストレスにさらされ、その結果、「体が傾き、前に滑り落ちそうになる」姿勢が誘発されていること、ならびに、長くこのような状態にある患者に足台やクッション、さらには(車椅子ではなく)椅子を使うことでQOLが向上し、患者の表情も豊かになり、「安心できる、自分らしい、尊厳ある暮らし」に変えることができたという成功例が紹介されました。
最後にまとめとして、これらの結果をもとに、高齢者ケアに対する基本的な考え方が説明されました。  

kuratajuninchi.jpgのサムネール画像二番目の講演は、関西大学システム理工学部の倉田純一准教授より「思い込みの産物?―生活支援機器を考える―」の演題で行われました。

講演では、まず、セコム社が開発した「マイスプーン」という四肢障害者の食事支援機器が動画を使って紹介され、QOL向上に発揮した効果が説明されました。
また、これとは対照的に、製作者の思い込みで作った介護機器が実用的ではなかった例も示され、障害者のQOLを向上するには、障害者が使いたくなるインターフェースが必要であることが説明されました。
さらに、生活支援機器の開発においては、「誰でも使えるものでは、実際に使えない」場合が多く、「利用者それぞれの要求によって異なるものを作る」必要があり、これを実践することで障害者や患者の尊厳を守ることができるという方向性が示されました。

tyataniyuuji.jpgのサムネール画像最後の講演は、小野薬品工業株式会社 研究推進部・探索臨床研究推進室の茶谷祐司室長より「アルツハイマー型認知症治療剤『リバスタッチパッチ剤』の開発経緯」の演題で行われました。

講演では、まず、アルツハイマー型認知症とその他の認知症との違いや、アルツハイマー型認知症の現状についての説明があり、今年になって本邦でも認可された「リバスタッチ」の化学構造式や薬理学、薬物動態学的データが示されました。
さらにパッチ剤としての利点や国内での臨床試験の結果について詳細な説明がなされました。
また、本医薬品が利用者(医師や介護師)から強い認可への要求があったことなども話題として提供されました。

最後に、三大学医工薬連環科学教育研究機構機構長の土戸哲明関西大学教授より、本シンポジウムの3名の講師への謝辞と三大学医工薬連携の取り組みへの協力・支援の要請があり、閉会の挨拶とされました。

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