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高槻家族講座(第5回)報告(於:薬科大)(11.07.16)

更新日:2014年3月13日

平成23年7月16日(土)に、高槻家族講座(通算5回目)
シリーズ『食と育み』第1回「伝統とおいしさを受け継ぐ発酵」を開催いたしました。

第1部、第2部の講演には171名が、第2部のこども体験コーナーには、小学生28名とその保護者21名が参加されました。

P1000908.JPGのサムネール画像第1部 招待講演「醸す」とは -「発酵」と「腐敗」の違いについて-
寿酒造株式会社 代表取締役社長 橋本 憲治 氏


江戸時代末期1822年創醸の清酒『國乃長』の七代目蔵元である橋本氏は、まずはじめに、
「醸す」とは麹(こうじ)に水を加えて酒や醤油などをつくることと説明され、「発酵」は微生物が人にとって有益なものを作り出すことに対し、「腐敗」は微生物が人にとって害になるものを作り出すことであり、「発酵」と「腐敗」は作用としては同じで人間の都合によって読み分けていることを説明されました。次に、酒米に使う70%精米や60%精米や玄米のサンプルを会場内で回覧し、それらがふだん私たちが食す白米(90~92%精米)より小さく、よりデンプンだけを残し日本酒の原料としていることを実感させていただきました。
さらに、日本酒を作る過程で加える麹菌(こうじきん)と酵母(こうぼ)について、麹菌の酵素による糖化反応と、酵母によるアルコール醗酵が同時に行われるようすを図解で詳しく説明され、両方一度に行われる日本酒は世界中でトップクラスの優れた発酵技術が使われていることを熱弁されました。
参加者からは日本酒のオリについてや微生物とウイルスの違いなど、多くの質問が出ました。

P1000919_1.JPGのサムネール画像第2部 講演「酒かすの秘めたパワーとその利用」
関西大学化学生命工学部 准教授 河原 秀久氏

河原准教授は、日本酒製造に関わる微生物(酵母・麹カビ・乳酸菌などの細菌)について学名を交えながらマンガを使って親しみやすく紹介し、ビールなどアルコール類の起源や微生物学者ルイ・パスツールによる発酵技術の確立などを説明されました。

P1000922.JPGのサムネール画像また、酒かすの秘めたパワーその一では、体内の油を吸着して排出してくれるというコレステロール減効果を持つレジスタントプロテインについて紹介され、その二では、酒かすから乳化剤を作ることができ、その乳化剤によりこれまで不可能であったマヨネーズを冷凍する技術や卵を使わないアイスクリームへの応用などを説明されました。
今後酒かすからバイオエタノールや活性炭の生産も研究されているということで、廃棄物である かすの再利用方法はエコが叫ばれる世の中において関心の高まる講演でした。

 

P1000946.JPGのサムネール画像こども体験コーナー「おいしい漬物(酒かす漬)を作ってみよう!」

小学生を対象としたこども体験コーナーは、寿酒造株式会社の大宅(おおや)氏をはじめ寿酒造の方々により、高槻市服部産の越瓜(しろうり)を使った酒かす漬作りと、酒かすのみで作る甘酒の糖化を観察する体験が大阪薬科大学食堂にて行われました。
まず、甘酒で糖化観察の準備をします。
ホーローのビーカーに70度のお湯を入れ、酒かすを加えます。
これを恒温槽の中で70度の温度を保ちながら30分間混ぜ続けます。
だんだんと糖化が進み、混ぜるさじに重みが加わりとろみがついてきます。
今回は短い時間で作りましたが、本来は7、8時間かけてゆっくり混ぜ続けるのだそうです次に酒かす漬作りです。
切ってわたをくり抜いたしろうりの腹に酒かすを埋め込み、塩と酒かすを敷いた桶の底にそのしろうりを敷詰め、酒かすで隠れるようにふたをします。
子どもたちにとっては酒かすがちょうど泥のような感覚で、夢中になって詰めることを楽しんでいました。
そのまま3、4週間寝かせて酒かすを発酵させることで漬物ができあがります。
最後に30分間混ぜ続けた甘酒と、8時間混ぜ続けたものとを飲み比べました。
今回受講した小学生の皆さんは「発酵博士」の称号の修了書を受け取りました。

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