文化財の現在(いま)
~発見、保存・修復そして破壊、世界の文化財に今、何が起きているのか~

中東最大級の舗床モザイク一般公開に向け日本が支援2016年10月31日

パレスチナ自治区のエリコにあるヒシャム宮殿遺跡には、

中東最大級といわれる舗床モザイク(約825平方メートル)が残っています。

これまで、このモザイクは保存のために砂と布で覆われていましたが、

国際協力機構(JICA)の支援で観光客が鑑賞できるようになる予定です。

ドーム型のシェルターの建設に先立って、

日本から専門家らが現地に行き、モザイクの現状記録をおこないました。

日本にはない舗床モザイクですが、

北アフリカや中東、ヨーロッパには数多く残っています。

それらの多くは考古遺跡の一部として、あるいはキリスト教会堂の床装飾として保存されていますが、

ヒシャム宮殿と同様に、屋外の遺跡では雨風に曝されることで劣化が促進されてしまうという問題があります。

今回のシェルター建設と一般公開のための展示計画は、モザイクの保存のためだけでなく、

パレスチナの観光促進のためにも重要なプロジェクトと言えます。

日本の支援による文化財の保存・活用の一例として、今後の展開に注目していただければと思います。

詳細はこちら

(2016年10月31日 02:04 朝日新聞DIGITAL)

シリア文化遺産、3D画像データベースをネット公開2016年4月5日

これまで幾度となくISによる文化遺産の破壊がニュースになり、

その都度、イスラム教の偶像否定・禁止という教義に関心が集まったと言えます。

イスラム教の教義に明るくないと、どうしても偶像否定=破壊と連想されてしまうかもしれませんが、

文化財を守り、また破壊を悲しむイスラム教徒のほうがはるかに多いのも事実です。

そしてそれは、文化財・文化遺産がそこに住む人々にとってかけがいのない大切な存在であるからで、

その気持ちは宗教・民族・立場を超えて共通するものだからです。

失われていくもの、失われてしまったものを、どのように守るのか?

もちろん破壊や劣化の被害にあわないよう守ることも大切な一つの保存活動ですが、

記録、ドキュメンテーションとして保存していくことも一つの手段と言えるでしょう。

シリアの文化遺産を記録し、それをもとにした活用への取り組み(Million Image Database)は、

多くの人命とともに危機に瀕している文化遺産の保存・活用のあり方として、興味深い視点だと思います。

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(2016年3月15日 14:50 AFP BB News)

TBS系「世界遺産」特番で2週連続災害と戦災を振り返る!2015年11月17日

TBS系ドキュメンタリー番組「世界遺産」が、

22、29日両日午後6時から自然災害や戦災の影響で姿を変えてしまった世界遺産の、

変化する前と現在の状況を映像で比較する特番を放送することが発表されました。

パルミラの破壊はまだ記憶に新しいと思いますが、このほかにも多くの世界遺産が変化を遂げています。

それは、悪い意味でだけでなく、良い意味でも。

特番では、22日に「自然が変えた世界遺産」、29日に「人が変えた世界遺産」を特集するとのこと。

世界遺産の変化を映像とともに振り返ることができ、文化財に関心のある方にはとても見ごたえがある特番だと期待しています。

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(2015年11月17日 10:30 産経ニュース)

国連の平和維持部隊が文化財を守るためにシリアへ!2015年10月20日

国連の平和維持活動(Peacekeeping Operations)とは、世界各地における紛争の解決のために国連が行う活動です。

平和維持部隊(各国部隊で編成)は、停戦監視・兵力引き離し、停戦監視団(原則として非武装の軍人で構成)による停戦監視といった伝統的な活動から、文民警察活動や、選挙、復興・開発、組織・制度構築を含む行政的支援活動まで、幅広くおこないます。

10月17日にイタリアは、イスラム過激派組織から文化遺産を保護するためにシリアに国連維持部隊を派遣することを国連に提案し、ユネスコがそれを承認しました。

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(2015年10月18日 20:32 AFP BB News)

相次ぐイスラム国によるシリアの文化遺産破壊をうけての今回の決定ですが、実際に現地に赴き文化遺産を保護する活動ができるのはいつになるのか。

今後の動向に注目したいと思います。

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(2015年10月20日 18:19 SPUTNIK)

長崎教会群で世界遺産登録に向けたイコモス調査終了2015年10月7日

来年の世界遺産会議にて世界文化遺産への登録を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」での、ユネスコ諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)による現地調査が実施され、10月4日に全日程を終了しました。

日本におけるキリスト教の布教と隠れキリシタンらによる継承、そして開国後の普及といった歴史を表象する教会群や聖地、集落等を専門家が見学し、県担当者や地元住民から説明を受けました。

欧米では、数多くのキリスト教関連遺産が世界文化遺産に登録されていますが、日本では本件が初めてです。

来年7月にイスタンブールで開催される世界遺産会議での登録が期待されます。

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(2015年10月4日 18:00 The Wall Street Journal(時事通信社))

世界遺産パルミラも破壊の被害に。。。。2015年8月24日

シリアの世界遺産、パルミラ遺跡のバールシャミン神殿がイスラム国によって爆破されたとの報道がありました。

先日には、長年パルミラ遺跡の保護と研究に心血を注いできたシリア人考古学者ハレド・アサド氏の殺害というとても残念なニュースに世界中が悲しみ、また遺跡を心配する声があがったばかりでした。

イスラム国によるパルミラの支配はまだ続くことが予想され、さらなる遺跡の破壊が懸念されています。

なすすべなく貴重な文化遺産が失われていくことに言葉がでません。

パルミラの博物館から移送された文化財の保管場所について、命をかけてもイスラム国に明かさなかったと言われているアサド氏。

ご冥福をお祈りします。

アサド氏ニュース詳細はこちら

パルミラの神殿破壊のニュース詳細はこちら

(2015年08月24日 16:05 Huffington Post; 2015年08月24日 12:08 Huffington Post)

世界遺産とは・・・・・2015年8月4日

日本の「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に新たに登録され、日本中が歓喜に沸いてから1か月程度が経過しました。

強制労働に関する言及の是非等に関するニュースや論評はまだまだ目にしますが、すでに次の2016年の推薦物件「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の話に気持ちが向いているかもしれません。(詳細は長崎の教会群インフォメーションセンターHPもどうぞ)

同じく2016年の世界遺産推薦物件である「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」には、3度目の審査に向けて、その構成要素に含まれている国立西洋美術館へ今月19、20日にイコモスから調査官が現地調査に来ます。

このように、先月終わったばかりの世界遺産会議ですが、すでに来年の推薦物件の登録に向けて動きが加速しています。

そしてさらに、7月28日には、再来年2017年の推薦物件「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」が国内暫定リストの中から選定されました。

女人禁制の沖ノ島をはじめ、その構成要素に関心が向けられています。

詳細はこちら

(2015年07月28日 19:55 朝日新聞デジタル)

2006年に世界遺産検定がはじまった際も世界遺産への関心の高さがうかがえましたが、昨今の世界遺産ブームとも言える状況はその時以上のものであるように感じます。その大きな要因は地域振興と観光促進への期待感なのかもしれません。

世界遺産を行きたい旅行先に選ぶ人も多く、世界遺産になった途端に観光客数は軒並み増加する傾向にあります。

地域経済の活性化にも寄与するだけでなく、世界遺産自体の保存・管理費の確保も望めることは、自治体が世界遺産登録を目指す原動力になっていると言えます。

これは日本に限ったことではありません。有名なスペインの世界遺産サグラダ・ファミリアもまた、観光客の増加によって工事費用が潤沢となり完成が早まると言われています。

詳細はこちら

(2014年12月5日 07:00 日本経済新聞)

世界遺産への登録が、世界遺産自体の保存修復に活かされることはとても喜ばしいことです。しかし、世界遺産になれない文化遺産はどうでしょう?

イタリアは1031件ある世界遺産(文化遺産802件、自然遺産197件、複合遺産32件、2015年8月4日現在)の中でも51件(文化遺産47件、自然遺産4件)と最多の世界遺産を有する国です。

しかし、世界遺産であるポンペイさえも保存が十分にできていない状況で危機遺産リスト掲載も懸念される事態であったように、多くの文化遺産が危機的状況にあります。

イタリアというと観光立国のイメージが強いですが、実際は観光客数は多いものの観光収入は少なく、GDPの約2%程度しかありません。そして、ギリシア同様に財政難が続くなかで、文化遺産群の保存は残念ながら進みづらい状況です。

詳細と写真はこちら

(2015年08月04日 15:15 Newsweek)

世界遺産ブームは、人々の歴史・文化・地域への興味関心を掻き立て、それまで地道に守られてきた貴重な自然・文化にスポットライトを当ててくれる、そして観光客が来ることで遺産の価値を広く知ってもらうことができるとともに保護意識も高まるといった喜ばしい効果があります。

しかし同時に、それまで守ることができていた自然や伝統が変質していく危険性も多分にあり、人々の往来によって保存修復の必要性がでてきてしまう場合もあります。

「世界遺産効果」とよく耳にすることが増え、それとともに「観光資源」「保護と観光の両立」「ツーリズム」といった言葉も頻用されるようになりました。

観光に偏向した報道も多くみられますが、今回の世界遺産ブームが本来の世界遺産の意義をもう一度考えてみる良い機会になってくれといいなと思う今日この頃です。

復興支援のなかで見つかった文化財をどう保存すべきか2015年7月24日

23日、宮城県山元町の防災集団移転計画予定地で、去年から発掘調査をおこなっている合戦原遺跡の横穴墓群から7世紀の古墳時代末期から奈良時代に描かれたとみられる線刻画が見つかりました。

これまでにも福島などで線刻画が見つかっていますが、まとまった数の線刻画が見つかったのは東北で初めてだそうです。

線刻画だけでなく、装飾の施された金銅製の太刀や馬具、くぎが打ち込まれた壁面などが確認されており、東北における古代の埋葬方法を知るうえで貴重な資料と言えます。

また、特に注目したいのは、今回の発見が被災地の復興事業にともなう発掘調査によるものであるという点です。

東日本大震災のあと、東北では博物館や寺社などをはじめとして、数多くの文化財レスキュー事業や文化財調査、保存修復事業が実施されています。

集団移転や新規建設の計画にともなう発掘調査も進められており、今回の発見もそうした発掘調査の結果見つかった遺跡からでした。

震災復興を進める東北で新たに発見される文化財をどのように保存していくのか。

将来的な防災計画として移転を進めていく必要もある中で、その予定地から見つかった文化財も守る必要があります。

人々の生活と文化財の両方を守っていく方法とは???

今後の対応に注目したいなと思います。

詳細はこちら(河北新報)

詳細はこちら(西日本新聞)

(2015年07月24日 河北新報Online News;2015年07月23日 18:44 西日本新聞)

最先端技術で新発見!!2015年7月23日

1970年に遺跡の灰の中から発見された炭化した羊皮紙の巻物を、最新のマイクロCTスキャン装置とデジタル画像化ソフトウェアを用いて解読することに成功したそうです。

羊皮紙には旧約聖書のレビ記の冒頭8節が書かれていることがわかりました。

こうした最先端技術が文化財の研究に応用されるようになり、新たな発見も多く発表されています。

以前紹介したドローンも、こうした最新の技術の応用の一例です。

また、今回のように新たな発見ができたのは、後世の技術に希望を託して、これまで過度な調査や処理をしなかったおかげと言えます。

修復における基本理念として「最小限の介入(minimum intervation)」という考えがありますが、今回のこのニュースを知り、その意義を改めて考えさせられました。

急を要する破損や劣化でない限り、後世の技術発展に期待し最小限の処置にとどめ、現状維持につとめる。

こうした基本理念は、今後様々な技術・材料が登場し文化財の世界に応用されることへの期待と文化財に対峙する人間への課題として、常に心に留めておく必要があります。

詳細はこちら

(2015年07月21日 10:26 AFP BB News)

キトラ古墳壁画の天文図はいつの星空か!?2015年7月15日

高松塚古墳キトラ古墳

この2つの古墳は、ニュースで取り上げられることも多く、また展覧会などもしばしば開催される、非常に注目度の高い古墳であると言えるでしょう。

どちらも奈良県明日香村にあり、内部から大陸風の壁画が発見されました。

壁画は様々な苦難を乗り越えつつ、保存修復作業が続けられています。

さて、キトラ古墳の天文図がいつの、どこから見た星空を表現しているのか。

10月9日から11月29日に奈良文化財研究所飛鳥資料館で特別展が開催されるそうで、その記者発表の場で、このことについての新たな見解が発表されました。

天文図に描かれている星の位置から、これまで平壌や百済から見た星図であるとの見解がありましたが、今回の新たな解析では長安や洛陽で4世紀頃に見られた星図である可能性もあるとわかったそうです。

また、時代も4世紀なのか紀元前1世紀なのか、解析によって様々です。

特別展を控えて、またこうした議論が活発になりそうです。

キトラ古墳の壁画は、高松塚古墳ほどではありませんが、大陸の影響が認められる興味深い壁画です。

そこに描かれている星空が、いつ、どこから見た星空の再現なのか。壁画の性格を知るうえで大切な情報といえます。

こうした学術研究の成果も楽しみにしつつ、特別展に足を運びたいと思います!!!

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(2015年07月16日 読売新聞;2015年07月16日 11:32 日本経済新聞)

文化財の保存は地域自治体の活動が基本です!2015年7月15日

国内の文化財のなかでも、発掘によって発見された考古遺物や遺構は多数あります。

各自治体には教育委員会(教育局など)に文化財課(自治体によって文化財保存課や歴史文化財課など名称は様々)が設置されており、管轄地域における埋蔵文化財の調査や研究、保護をおこなっています。

自治体によっては埋蔵文化財センターや教育(振興)財団、埋蔵文化財調査事業団などもあります。

行政発掘調査の多い自治体でも文化財課の専門職員数は少なく、また業務の多さから即戦力を望む雰囲気が多分にあり、採用は比較的抑えられている印象がありましたが、このたび、文化庁と大学が連携して、大学生に発掘や保護に興味を持ってもらおうという取り組みが始まったそうです。

また、専門職員の求人を再開する自治体も多く見受けられます。

地域の文化財は、その土地やそこに住む人々のアイデンティティーの形成と維持につながる重要な文化資源であり、守っていかなければなりません。また、注目度の高い日本文化遺産や世界遺産への登録や登録後の保存も、自治体や地域における保護活動が前提にあります。

若手の育成、そしてベテランから若手へのバトンタッチが、文化財保護の分野でも急ピッチで進められています。

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(2015年07月15日 00:45 日本経済新聞)

世界遺産アレッポの城壁が破壊されてしまいました!2015年7月14日

内戦の続くシリアで、またもや世界遺産が破壊・損傷を受けたとのニュースが報じられました。

アレッポでは、政府軍と反政府勢力がアレッポ城壁で激しく交戦を続けています。

内戦激化による破壊が懸念され、アレッポ城壁は2013年に危機遺産に指定されましたが、今回爆破による破壊・損傷が確認されました。

かつて十字軍の攻撃にも耐えたこのアレッポ城壁が、再び戦いの場所として利用されていることが残念でなりません。

政府軍による破壊であるとの報道と、反政府勢力による破壊であるとの報道がありますが、いずれにせよ内戦によってこのように文化遺産が破壊された事実に変わりはありません。

文化遺産だけでなく、そこに住む人々の生活のためにも、早くこの悲惨な状況が終息することを祈るばかりです。

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(2015年07月13日 07:55 NHK News)

新しい発見には保存という課題がつきものです!2015年7月9日

7月7日に、山形大学が世界遺産「ナスカの地上絵」(登録名は「ナスカとフマナ平原の地上絵」)において新たに24個の地上絵を発見したと発表しました。

山形大学には2012年に文学部付属の研究所として設置されたナスカ研究所があり、地道な調査研究を続けています。

ナスカ研究所HPはこちら

昨年にも同研究所は新たな地上絵を発見しており、いずれも有名な「ハチドリ」より規模の小さい、時代はより古いと思われる「リャマ」の図像だそうです。

ナスカの地上絵は、車の走行や住民の居住、開発の影響などにより、地上絵の破壊が危惧されています。

現地でも保存のために監視係を置くなど懸命に取り組んでいますが、今後、より市街地の拡大が続けばさらなる破壊・消失につながることが懸念されています。

詳細はこちら(2015年04月15日 夕刊 毎日新聞)

この神秘的な遺産をどのように後世に伝えていくか、大きな課題としてぜひ注目してみてください。

詳細はこちら

(2015年07月07日 20:20 毎日新聞)

ナスカのように有名な遺産でもまだまだ新たな発見があることに驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。こうした新発見は地道かつ綿密な調査の賜物であり、こうした調査成果は世界遺産や文化財を守っていくうえでも重要な基礎的情報となります。

一方、不意の出来事から新たな発見がなされることもあります。

静岡県沼津市で、道路工事のために神社を撤去したところその下から東日本最古・最大級の古墳がみつかりました。

朱塗りの器や武器類が多数出土し、卑弥呼と同時代の古墳であることから、卑弥呼と戦ったとされる王の墓ではないかと推測されています。

渋滞緩和のための道路工事と貴重な古墳の保存、そのどちらを選択するのか、あるいは両立させるのであればどのように両立していくのか、今回の報道を機に道路工事を再検討することとなり専門者会議を設けて議論していくようです。

文化遺産・文化財の多くが直面する問題として、人々の生活と保存の両立があります。

道路工事が計画されなければ発見されることもなかった古墳。しかし、道路は人々の快適な生活の実現のために計画されているわけで、古墳の保存に対する考えも住民の中でさえ様々であるに違いありません。

観光資源としての活用による地域活性や歴史的所産への敬意といった視点だけでは、保存を実現・継続していくことは難しいかもしれません。工事の予算だけでなく古墳の整備・管理費など、どうしても金銭的な問題もでてきてしまいます。

古墳に被害を与えず、道路も整備できる、そうした新たなアイデアの着想に向けて今後議論が進められることと思いますので、注目していきましょう。

詳細はこちら

(2015年07月07日 日刊SPA!)

Twitterで「文化遺産ウィーク」が始まりました!2015年7月7日

文化庁が運営するオンライン文化財アーカイブ「文化遺産オンライン」が、7月6日からTwitterで「文化遺産オンラインキャンペーン」を開始しました。

Twitterはこちら

このキャンペーンは、毎月5日間、全国の博物館・美術館が共通のテーマでTwitterから情報発信する活動です。

7月のテーマは「刀剣」。

各博物館・美術館が所蔵する刀剣の紹介がすでに多数ツイートされています。

このツイートを参考に刀剣めぐりも面白いかもしれません。

全国には刀剣を所蔵する博物館も多く、なかには刀剣に特化した博物館もあります。

(以下にいくつかを紹介します。この他にも全国に多数の博物館・美術館・資料館があります。)

刀剣博物館の詳細はこちら

倉敷刀剣美術館の詳細はこちら

巡回展大関ヶ原展の詳細はこちら

最近は「刀剣女子」(2015年06月15日 10:51 毎日新聞)とやらもいるそうで、今回の刀剣ツイート、なかなか盛り上がるかもしれませんね。(もちろん節度は守って鑑賞しなければなりません!!!)

刀剣女子がまとめた情報サイトの詳細はこちら

(2015年07月06日 19:08 ITmediaニュース)

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「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録決定!!2015年7月5日

ドイツのボンで開催されているユネスコの世界遺産委員会で、日本が登録を目指して韓国と協議を重ねてきた「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産への登録が決定しました。

4日に予定されていた審議が延期され、日本でもニュースになっていましたが、無事登録されました。

日本の世界遺産はこれで、文化遺産が15件と自然遺産が4件となりました。

今回の世界遺産会議では、5日までに文化遺産23件と自然遺産3件が新規登録されました。

これらの中には、以前のニュースでお知らせしたように長年世界遺産登録を目指してきたトルコのエフェソス遺跡や、サウジアラビアの岩絵、韓国の百済歴史地区などが含まれています。

(2015年07月05日 23:39 Huffington Post)

詳細はこちら

UNESCOのHPで最新情報を確認されたい方はこちら

万里の長城の大半の保存状況が劣悪!!2015年7月4日

中国の世界文化遺産である万里の長城が、風化や人的破壊によって消失していることがわかりました。

屋外にある遺跡なので、風化は避けることはできませんが、保存方策が十分に講じられていないことによる被害と言えます。

また、広大な範囲にひろがる遺産であることも保存管理を困難にしているでしょう。

ただ、最も残念なのは人的被害、つまり近隣住民による煉瓦の抜き取り=盗難です。

 

世界遺産の部材がお土産として売られることが問題となることがありますが、家を建てるために安価な材料として盗難されるというのは、中国の社会問題とも関係のある根の深い問題かと思われます。

今後どのような対策が講じられるのか、しっかり見届けたいと思います。

(2015年04月04日 12:49 産経ニュース)

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ISにより破壊されたハトラ遺跡が危機遺産に!2015年7月2日

みなさん、イラクのハトラ遺跡を覚えていらっしゃいますか?

ISISがハトラ遺跡を破壊する様子は、今年の4月6日にインターネット上で公開され、世界中に衝撃を与えました。

イスラム国」また遺跡破壊映像 世界遺産のハトラ遺跡

ダーイシュ(イスラム国)、ハトラ遺跡の「破壊」映像をYouTubeに公開

 

(2015年04月07日 08:22 朝日新聞デジタル; 2015年04月06日 09:58 The Huffington Post)

悲惨な破壊から約3ヶ月が経ちましたが、相変わらずISによる文化遺産の破壊は続いています。

このたび、ドイツのボンで開催されているユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会で、ハトラ遺跡が危機遺産リストに追加されることが決まりました。

危機遺産リストに掲載されることを避ける努力(例えば今年の事例としてはオーストラリアのグレートバリアリーフ)を促したり、あるいは紛争や開発で危機に瀕している遺産への注意喚起や抑止力として、この危機遺産リストの意義があるわけですが、ISISによる破壊行為を前にして、ただただ悲しい気持ちと無力感を感じながら、イラク・シリア地域の遺産群の存続を願い、今回の危機遺産リスト掲載を受け入れるしか今はできません。

(2015年07月02日 09:50 日本経済新聞)

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世界遺産委員会がはじまりました!ISISへの非難声明続出!そして日本の新規世界遺産登録なるか!2015年6月30日

28日からドイツのボンでユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会が開幕しました。

去年からあいつぐISISによる文化遺産破壊のニュースに対する非難のコメントが多数述べられるなど、シリアおよび中東への懸念と今後についての協議も今回の世界遺産委員会の最重要課題と言えそうです。

今回の審議の中では、以前お知らせした日本の「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録可否も含まれています。

予定通りに審議が進めば7月4日頃に登録の可否の知らせが日本に伝わるはずです。

今から楽しみですね~~~~♪

(2015年06月29日 15:18 読売オンライン)

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ISISにより世界文化遺産パルミラ遺跡が危機的状況に!2015年6月24日

パルミラがISISによって制圧されてから、 パルミラ遺跡 の破壊が常に懸念されてきましたが、このたび遺跡の近くにある聖者廟の破壊活動を示す動画が公開されました。

ISISによってこれまでも多くの文化財が破壊されてきましたが、今回もまた非常に残念なニュースとなってしまいました。

22日にはパルミラ遺跡にも爆弾を設置したというニュース(2015年06月22日 14:55 テレ朝News) が流れ、今後パルミラ遺跡に対しても破壊活動が実施されてしまう可能性は否定できません。

(2015年06月24日 06:15 時事ドットコム)

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この10年間で失われてしまった文化遺産はこんなにもたくさんあります2015年5月13日

ISISによる破壊ニュースや、ネパールの地震被害は記憶に新しいと思いますが、この10年間で様々なかたちで「破壊」され失われてしまった、あるいは失われる可能性がある文化遺産がこんなにもあることをご存じでしたでしょうか?

自然災害に私たちは抗えませんが、住む人々の生活や観光のための開発ともいえる損傷・損失は、別の方法があったのではないかと考えさせられます。

また、ISISのような意図的な破壊活動は、どんな理由もたたない非道な行為であり、腹立たしいばかりです。

このような文化遺産の損失を記憶し、教訓として次の遺産に注意を払いみんなで守っていくことも、今私たちができることの一つかもしれません。

(2015年05月11日 16:17 The Huffington Post)

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トルコの文化遺産、明と暗・・・・2015年5月7日

このGW、トルコの文化財・文化遺産に関するニュースがいくつも伝えられました。

まず、ハタイ考古学博物館のモザイク修復に関するニュース(2015年05月07日 09:17 AFP BB News)。

これまでにも、スペインのキリスト教フレスコ画の修復例や中国の修復例などがありましたが、こうした「失敗」と言われるニュースを見ると心が痛みます。スペインのフレスコ画は、この一件で有名になり、観光客が大幅に増加したそうですが、、、、、確かにこの修復の出来栄えは笑うしかないといったところではありますが、笑い話ではないというのが正直なところです。

スペインのフレスコ画修復の詳細はこちら(2013年08月17日 15:39 CNN.co.jp)

中国の壁画修復の詳細はこちら(2013年10月25日 15:04 The Huffington Post)

ただ、良いニュースも届きました。エフェソス遺跡もイコモスによってユネスコに世界遺産登録が勧告されたそうです!(2015年05月05日 TRT net)

何より、これほどに有名な遺跡がまだ世界遺産でなかったことに驚きました。イコモスの報告書でも、「すでに世界遺産リストに入ったと言える」とのこと。1994年からずっと活動を続けていたんですね・・・・。日本の産業遺産群といいエフェソスといい、今回の世界遺産会議の結果がとても楽しみになりました。

さて、最後に、1890年に発生したエルトゥールル号遭難事件を題材に、両国の時を超えた友情を描く「海難1890」の合同撮影報告会見がトルコで開催されました。このエルトゥールル号遭難事件は、今でもトルコの親日の原点と言われる出来事です。日本でも12月に上映予定です。


軍艦島など産業革命遺産群、イコモスがユネスコに世界遺産登録を勧告!!!2015年5月5日

以前のニュースで少しお知らせした通り、新たな世界遺産登録を目指して、2015年は、国内の暫定リストから「明治日本の産業革命遺産」が推薦されていました。

昨年9月28日~10月5日に実施された調査の結果、イコモスは「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」を名称変更した上で、世界文化遺産に登録するようユネスコ(国連教育科学文化機関)に勧告しました。 この勧告をもとに、6月28日~7月8日にドイツのボンで開かれる世界遺産委員会で正式に世界遺産登録が決定となる見通しです。 2013年の富士山、2014年の富岡製糸場に続き3年連続の登録が期待されており、登録が決まれば国内の世界遺産は19件(うち文化遺産は15件)になります。

最近の世界遺産登録の傾向として、文化的景観や複数の地域・遺産の包括的評価が増えてきていることは以前もニュースでお伝えしましたが、今回のような産業遺産や近代建築なども登録が増えています。これは、世界遺産登録物件のバランスをとろうという動きによるもので、歴史的建築物や遺跡といった物件だけでなく、人類の遺産として近代の建築や生業・産業施設も残していく必要があるとの考えに基づいています。

ただ、今回の「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」もそうですが、近代産業遺産の多くは風化や劣化が著しく、たとえば軍艦島では塩害に関してこれまでも、研究者らによって様々な対策が検討されてきました。また、八幡製鉄所のように一部操業中の場合、どのように今後公開していくのかも問題になってきます。詳細はこちら(2015年05月05日 05:57 時事ドットコム)

ニュースでは韓国との関係性も騒がれていますが、まずはこの産業革命遺産群の今後の保存と活用に注目していきたいですね。

(2015年05月04日 23:55 時事ドットコム; 2015年05月05日 10:21 The Huffington Post; )

時事ドットコム記事の詳細はこちら

The Huffington Post記事の詳細はこちら(画像集あり)

奈良京(ならのみやこ)と表記された最古の木簡が発見されました2015年4月30日

4月30日に奈良文化財研究所が、平城京跡で奈良京(ならのみやこ)と表記された木簡が発見されたことを発表しました。この木簡は、710年の遷都前後のものだそうです。「奈良京」の表記はこれまで、762年の正倉院文書の記述が最古とされていましたが、それを半世紀さかのぼる発見だそうです。
(2015年04月30日 20:52 毎日新聞)

詳細はこちら

ネパールの世界遺産が壊滅的な被害、修復には10年も2015年4月29日

4月25日に大地震に見舞われたネパールには、1979年に世界文化遺産に登録された「カトマンズ盆地」がある。世界遺産の構成要素のうち、カトマンズとパタン、バクタプルの三つの古都にあるダルバール広場の5~8割の建造物が倒壊し、チャングナラヤン寺院も壊滅的打撃を受けたことが、これまでにわかっています。専門家らによる支援が今後計画されますが、少なくとも修復には10年程度かかると予想されています。 東日本大震災の時もそうですが、こうした自然災害の時には、人命救助と被災者支援が第一です。人類の遺産として文化財の救援の必要性についてもこのようにニュースとして取り上げられることがありますが、まずはそこに生きる人々の生活の安定を図ることが優先されるべきことは文化財に携わる人間はみな理解しており、こうしたニュースを聞くたびに胸を痛めています。 現地の人々が元通りの生活を取り戻すことができた時に、その地域やそこでの生活、彼らのアイデンティティを表象する文化や文化財が失われてしまったということがないように、そしてその地域に観光客が戻ってくるよう観光資源としての文化財が維持されるように、文化財の救援も必要と言えるのではないでしょうか。
(2015年04月29日 14:42 時事ドットコム)

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「日本遺産」、最初の18件が決定!!!2015年4月24日

みなさんは「日本遺産」をご存じですか?2015年度から新しく文化庁が設けた認定制度で、認定の条件として、地域に根ざし世代を超えて受け継がれている伝承や風習を踏まえたストーリーであること、ストーリーの中核には建造物や遺跡、祭りなど文化財にまつわるものがあること、国が指定している重要文化財や史跡、名勝などを必ずひとつは含んでいることなどとし、文化財を保存しながら観光など地域活性化に繋げることを目的としています。

文化財・文化遺産の認定は、これまで特に保存に焦点をおいて取り組まれてきました。ただ、文化財・文化遺産を保存した先には、必ずと言っていいほど、地域のアイデンティティの再確認や観光資源としての活用があり、特に観光とは切っても切れない関係にあると言えるでしょう。旅行番組や電車の広告では、文化遺産を全面に押し出して町をPRするものを多く見かけますし、文化遺産を見るために遠くから足を運んで来る人も大勢います。この日本遺産の認定制度は、文化遺産の保存への取り組みはもちろんのこと、それと同時に文化遺産を観光資源として積極的に活用することも促し、支援していきます。

この点で、世界遺産や国内暫定リストとは少し性格の違う制度であることがわかります。今回日本遺産に認定された18件の地域文化遺産をみると、その違いがより明確にわかるかもしれません。

たとえば、水戸市や備前市など4市から構成される「近世日本の教育遺産群 -学ぶ心・礼節の本源-」では、日本の教育のはじまりである藩校や私塾と、礼節を重んじた教育活動の歴史や文化財を、地域や個々の遺産を点として評価するのではなく、「教育」という共通する目的によって線でつなぎ、総合的に評価しています。この教育遺産群は、2012年から世界遺産運動を推進してきた経緯があり、今回の日本遺産認定によって今後観光が盛んになることが期待されます。

また、京都府の宇治をはじめとした8市から構成される「日本茶 800 年の歴史散歩」。これは、茶道などの伝統文化と製茶の歴史、そして独特で美しい茶畑、茶問屋、茶まつりなどの文化的景観がどれも優良な状態で揃っており、日本人の生活に欠かせないお茶を軸にしたストーリーをもつ文化遺産群です。このほかにも、「「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~」のように、すでに観光地として有名な場所も含まれています。

このように、伝統文化や歴史、文化的景観といった複数の価値を備える文化遺産として、複数の地域や遺産を一括りに評価する考えは、シルクロードや巡礼路が世界遺産に登録されたことからもわかる通りです。

複数の文化遺産や無形文化財を一括で世界遺産にしようと考えた場合、それぞれの価値評価と保存への取り組みが必要となります。しかし、世界遺産=観光客誘致のきっかけとしての意義は否定すべきではなく、地域活性化につなげていくことも文化遺産を保存していくうえで重要な考え方ではないでしょうか。保存のみを主眼にするのではなく、保存しつつも観光資源としての地域活性化を促進し、文化遺産の保存に取り組みやすい状況を確保することを目的とした日本遺産制度への期待は大きいと言えます。

世界遺産や国内暫定リストへの登録を目指し活動を続けてきた文化遺産群が、今回認定された日本遺産の中にみられるのもそのためと言えるかもしれません。

今後、東京オリンピックまでに約100件の認定が予定されていますが、ただのブランドとしてではなく、活用と保存の両立を可能とする有意義な制度として、この日本遺産が周知されることを期待し、今後の動向を注視してみてください。
(2015年04月24日 15:37 The Huffington Post)

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ドローンが考古学を変える!?2015年4月22日

ドローンをご存じですか?無人の航空機のことで、もとは軍事目的の無人機のことを指したそうですが、最近では小型のラジコンやロボットのこともドローンと呼ぶそうです。 考古学の現場では、このドローンによる空撮とそれに基づく遺跡復元や遺跡発見がニュースになることも少しずつ増えてきました。 たとえば、ポルトガルのアマイア遺跡の復元ではローマの都市遺跡を復元し映像で公開しています。 ドローンによる文化遺産調査は、2011年のスキタイの墓所の航空地図作成が最初の例だそうで、メキシコのテオティワカンでも小型ロボットによる地下墓地の探査がおこなわれています。 考古学の現場では、以前からレーダー探査など発掘前に遺跡の場所や状態を把握する試みが多くみられました。ドローンによる考古学調査ならびに文化遺産調査は、今後ますます増えることが予想されます。ダメージを与えずに文化遺産の記録、調査をおこなうこと、それは後世に人類の遺産を引き継いでいくことにもつながります。
(2015年04月17日 The new classic;2013年04月29日 14:00 GIZMODO; 2015年04月19日 12:01 The Huffington Post)

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2017年の世界文化遺産、国内候補を7月に選定予定2015年4月20日

ユネスコの世界遺産会議は毎年夏に開催され、そこでその年の世界遺産新規登録物件が審議されます。 世界遺産になるまでの手順は次の通りです。 ①まず国内候補として暫定リストに掲載され、その後②世界遺産会議への推薦物件として、暫定リストの中から毎年1件が国内文化審議会で選択され、ユネスコに推薦されます。 ③ユネスコ諮問機関(イコモスなど)はこれらの推薦物件を現地調査・評価し、その結果をもとに、④世界遺産委員会で審査され、晴れて世界遺産となります。 すでに2015年と2016年の推薦物件は決定しており、今回の記事は2017年の推薦物件の審議に関するものです。推薦、そしてその後のユネスコ諮問機関による調査のために、こんなにも早くから念入りに準備を進め、世界遺産登録を目指します。 2015年は「明治日本の産業革命遺産」が推薦される予定で、すでに2014年9月末に現地ではイコモスによる現地調査が実施されました。
(2014年9月28日 22:50 朝日新聞デジタル; 2015年04月20日 21:25 日本経済新聞)

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ISISがニムルド遺跡を破壊2015年4月11日

また、ISISによる文化遺産破壊のニュースが報じられました。今回は、古代アッシリアのニムルド遺跡を破壊する映像を公開しています。彼らの「偶像崇拝の禁止」を根拠にした破壊活動は止まるところをしらず、貴重な文化遺産が次々と標的にされている印象を受けます。動画を公開するたびに、彼らへの注目がまた高まり、ニュースとして報じられることで、彼らの行為が宣伝されるという、好ましくない状況が繰り返されています。ニムルド遺跡は、ハトラ遺跡よりも以前に破壊された可能性が伝えられていましたが、今回、明確な犯行声明と動画が公開され、破壊の事実がはっきりとしたことは残念でなりません。 ユネスコも非難声明を出しています。これ以上の被害が出ないことを祈るばかりです。。。。。
(2015年04月12日 17:07 The Huffington Post; 2015年04月12日 10:48 時事ドットコム)

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国宝重文に油、被害約40件2015年4月10日

ISISの文化財破壊のニュースが相次ぐ中、日本でも文化財の被害が見つかりました。紛争だけでなく、そこに住む人が意図的に文化財を傷つけることもあります。 4月10日に文化庁が、各地の国宝・重要文化財に油のようなものがかけられて染みになっている被害が確認されたことを発表しました。関東、四国、関西とその範囲は日本各地におよび、文化庁のその後の調査で、4月16日までに計9府県、33カ所で被害が確認されています。何の目的でこのようなことをするのかは未だ不明ですが、調査が進み、1日も早く同様の被害が出ないことを望むばかりです。
(2015年04月11日 05:26 時事ドットコム; 2015年04月21日 11:18 弁護士ドットコム )

4月10日記事はこちら

4月21日記事はこちら

ISISが世界遺産ハトラ遺跡を破壊2015年4月6日

ISISによるモスルでの文化財破壊が報道されてから約1か月経ったこの日、再びISISによる文化遺産破壊の動画がインターネット上で公開されました。今回、破壊される様子が公開されたのは、世界遺産でもあるハトラ遺跡です。ハトラ遺跡は、約2000年前の古代パルティア王国の要塞都市で、1985年に世界遺産に登録されています。 相次ぐ文化財・文化遺産の破壊に、言葉もありません。。。。。

イスラム国」また遺跡破壊映像 世界遺産のハトラ遺跡

ダーイシュ(イスラム国)、ハトラ遺跡の「破壊」映像をYouTubeに公開

  (2015年04月07日 08:22 朝日新聞デジタル; 2015年04月06日 09:58 The Huffington Post)

流出文化財の返還に向けた努力2015年3月16日

先のニュースでも取り上げた通り、紛争時には多くの文化財が略奪され、それらは闇市場で売買されています。アメリカは今回、流出文化財60点を取り戻し、イラクに返還しました。 博物館や資料館などでは、常に所蔵品のリスト化、カタログ化が進められています。しかし、膨大な数の収蔵品を管理することは容易ではありません。また、リスト化にあったては、その記録形式や記録方法にも注意を払う必要があります。 文化財の保存に向けた記録の整備の重要性を改めて考えることのできるニュースでした。
(2015年03月16日 Artdiary.org )

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チュニジアのバルドー博物館で観光客が襲撃される事件が発生2015年3月18日

チュニジアで最も有名な観光地として、このバルドー博物館(Musée national du Bardo)が挙げられます。所蔵品には、チュニジアで発掘された床モザイク群など、古代北アフリカ地域における技術力の高さと豊かな表現力を示す文化財が多数あり、チュニジア観光では必ずと言っていいほど訪れる博物館です。 このニュースを受けてユネスコも声明を出しました。 ユネスコは世界遺産、文化財保護の中心的役割を果たす国際機関ですが、そのユネスコ憲章の前文で、次のような一文があります。

That since wars begin in the minds of men, it is in the minds of men that the defences of peace must be constructed. (ユネスコ憲章全文はこちら)

「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」(日本ユネスコ協会連盟HPに記載の和訳を引用)

ユネスコの発足は、教育と文化の振興を通して戦争を繰り返さないという理念に基づいています。今、世界各地で紛争が続き、文化財・文化遺産が危機に戦争によって失われ、このニュースのように文化的施設である博物館で死者が出る事件が起きてしましました。こうした状況で、ユネスコ代表による声明が続いている、この意味を改めて考えさせられるニュースでした。
  (2015年03月18日 21:30 UNESCO HP)

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イラク国立博物館が12年ぶりに再開2015年2月28日

2003年のイラク戦争の際に、混乱に乗じて多くの所蔵品が略奪されたイラク国立博物館。戦争から12年が経過し、イラク復興の一つの出来事としてこのニュースはあるのかもしれません。紛争時、博物館は破壊の危機とともに略奪の危機にもさらされます。イラク国立博物館での略奪は、日本でも会議で議論されるほど、当時は注目され、その返還への努力も続けられてきました。しかし、まだ3分の1も取り戻せていない状況での再開、そして奇しくも2日前にISISによるモスルの博物館での破壊。12年経った今、イラクの流出文化財の問題も残るなかで、シリアの文化財流出が懸念される現在、研究者らは様々な会議やシンポジウムを開き、対策を検討しています。日本でも先日シリアに関するシンポジウムがありましたが、こうした流出文化財の流出先として日本も含まれていることは、残念な事実です。
  (2015年03月01日 06:04 時事ドットコム)

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ISISがモスルのニネヴェ博物館で文化財を多数破壊2015年2月26日

このニュースを覚えている方も多いのではないかと思います。ISISに関わる様々なニュースが連日流れるなかで起きた、衝撃的な知らせでした。 このニネヴェ博物館には、数多くの文化財が保存されていました。考古学者らの悲鳴が聞こえてきそうな、そんなニュースでした。。。。。彼らが主張する「偶像崇拝の禁止」。かつて、アフガニスタンのバーミヤンでも、同じ理由を挙げてタリバンが大仏像を破壊しました。共通するのは、文化財の破壊をメディアが取り上げることによるインパクトの大きさ、そして破壊後にも延々と続く文化財が失われたことへの落胆とそれとともに必ず彼らの存在を、そして蛮行を思い出すという点です。 ISISによる攻撃的活動が文化財に対して向けられたときに、UNESCOもICOMも、すぐさま非難する声明を発表しました。Facebookでは写真や動画がシェアされ、瞬く間にこのニュースは世界中に広まり、たくさんの人々が憤りを感じました。

動画1

動画2


  (2015年02月28日 18:22 The Huffington Post; 2015年02月26日 UNESCOPRESS)

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日本の「和紙」が無形文化遺産に登録されました2014年11月27日

11月27日、フランス・パリで開催されたユネスコの政府間委員会で、日本政府が推薦した「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」が無形文化遺産に登録されることが決まりました。日本の和紙は、国内外で文化財の修復に使用されるなど、これまでもその特性が評価されてきました。無形文化遺産は、世界遺産(世界文化遺産と世界自然遺産)の登録をおこなうユネスコが、「無形文化遺産の保護に関する条約(無形文化遺産保護条約)」に基づき2006年から登録を進めています。2014年11月25日までに、世界で281件が登録されており、日本からも「能楽」「歌舞伎」「京都祇園祭の山鉾(ぼこ)行事」、そして新しいものでいえば「和食」など22件が無形文化遺産として保護されています。
  (2014年11月27日 07:44 The Huffington Post)

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シリア世界遺産「クラック・デ・シュバリエ」の破壊2013年7月12日

紛争状態にあるシリアで、2013年7月12日に世界遺産のクラック・デ・シュバリエ(Crac des Chevaliers)が、空爆によって破壊されたとのニュースが世界を駆け巡りました。 紛争時には、文化遺産の多くが、基地や武器庫として利用され、どうしても攻撃対象となってしまいます。このクラック・デ・シュバリエもまた、もともとが城塞であるために、今回の事態は避けられなかったでしょう。 記事にもありますが、爆撃による破壊や盗掘が相次ぐと言われていますが、その被害すら確認できない状態です。このニュースが2年近く前のものだということに、より一層悲しい気持ちになります。
  (2013年07月14日 10:14 The Huffington Post)

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アメリカ大陸最古のピラミッド破壊2013年7月7日

文化財・文化遺産に興味をお持ちの方々がこのHPを見てくださっていると思います。ありがとうございます☆ 文化財・文化遺産は、人々に歴史や文化を教えてくれる貴重な存在です。そうした考えをもって文化財・文化遺産の保護に懸命に取り組んでいる方もたくさんいます。 しかし、文化財・文化遺産の保存とそばで生活する人々の快適さとを両立することが難しい場合もあります。 日常生活や生業、開発による文化財・文化遺産の破壊は珍しいニュースではありません。 この記事の不動産業者は、遺跡に使われている石材を転用しようと考え、ピラミッドを破壊しました。彼らのように営利目的での破壊は言語道断、許せません! ただ、文化財・文化遺産の保護よりも生活の維持を最優先にせざるをえない地域があることも事実です。 このペルーのピラミッド破壊のニュースは、人々の生活と文化財・文化遺産保護の両立について考えさせられるニュースでした。
  (2013年07月07日 11:30 The Huffington Post)

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世界遺産会議にてシリア世界遺産すべてが危機遺産に指定2013年6月20日

最新記事として取り上げているシリアでのISISによる文化財破壊。 けれど、シリアでの文化財破壊のニュースは、ISISが注目されるもっと前から始まっていました。 それがこの記事です。 この時、シリアにある6つの世界遺産全てが、ユネスコの「危機遺産」に指定されました。 「危機遺産」とは、武力紛争、自然災害、大規模工事、都市開発、観光開発、商業的密猟などにより、 その顕著な普遍的価値を損なうような重大な危機にさらされている世界遺産のことを指し、 2014年12月までに「危機にさらされている世界遺産リスト」には合計46件の世界遺産が登録されています。
  (2013年06月20日 15:37 発信地:プノンペン/カンボジア)

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