本書は「メディア文化」というタイトルをつけていますが、「メディア文化」をより広く捉えた構成になっています。いわゆるメディアも、一般的にはメディアと思われていないようなものも、学問対象として扱っています。
具体的には、スポーツ中継、映画、台所、テレビ番組、記念日、ラジオ、雑誌、マンガなどです。例えば、テレビのスポーツ中継に注目しアナウンサーの「絶叫」について分析するもの、NHKのテレビ番組「きょうの料理」や映画『男たちの大和』やマンガ『スラムダンク』を分析したもの、女性雑誌が「若い女性」なる読者イメージを作り出していくことを考察したもの、ミニFMと呼ばれるメディアのブームを考察したもの、などなど。
また、メディア文化を分析するにあたって、社会学やマスコミ論などを適用させていくところも本書の特徴があります。社会学の理論を「紹介」することも念頭に置きつつ、それらの理論を「応用」してみせようとしたわけです。本書タイトルにある「社会学する」の「するdoing」というのはそういった意味を込めてつけています。
なお、『週間読書人』(2009.12.25号)に書評が掲載されました。
この本は、普段は、あまり気にとめることなく見たり聞いたりして受け入れているようなモノや事象を、「どのようにしたら学問として扱えるか」について、実践的に示そうとしたものです。これまでただ単に「消費」していたモノや事象に、ある時に意識が向いて学問の対象にしようと考えたとき、本書が少しでも役に立ってくれたなら、執筆者一同にとって存外の喜びです。
また、その時に、少しでも皆さんが「学問する楽しさ」を感じてくれたら、さらなる喜びとなります。本(テキスト)はあくまで材料であって、それを読む人が、他の人とも対話し、議論し、時には調査し、考察していく中で、はじめて「生きた」学びとなります。だから、この本が、活用されるにしろ、逆に批判されるにしろ、社会学「するdoing」営みの中におかれることを願っています。