教員紹介
本書は、現代の恋愛事情を、1970年代、1990年代、2000年代の雑誌記事の分析、及びアンケート調査、マンガの内容考察から読み解いたものです。「人間関係」、「魅力ある異性像」、「アプローチの仕方」、「別れの理由」などの視点から分析を行っています。
それらの分析から見えてくるのは、次の三点です。一点目は、恋愛が曖昧さや不確定性を味わう「遊び」の感覚を内包していること(=恋愛の遊戯化)です。二点目は、それと同時に、結婚や別れの決断が先送りされることです。三点目は、結婚イメージの恋愛への従属です。
かつては、ロマンティック・ラブ・イデオロギーによって恋愛は結婚によって支配されていました。つまり、結婚にふさわしい相手との関係=恋愛と規定されてました。今やそれが、むしろ恋愛が結婚を支配しています。まさに「ロマンティック・マリッジ・イデオロギー」の誕生ともいえるでしょう。
みなさんにとって身近なメディアを考察の対象にしています。具体的には、雑誌記事やマンガという素材です。一見、軽くみられ、「そんなものが学問の対象になるの?」と言われそうな素材をあえて考察しているのです。それは、見過ごされそうなものの中にも、「研究の種」がころがっていることを、みなさんに伝えたかったからです。どんなものの中にも、考えることのできる「何か」はあります。それを見つけることができるかどうかは、みなさんにかかっていると思います。