化学生命工学部

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理工学研究科、河上 綾花さんが第72回高分子討論会において高分子学会優秀ポスター賞を受賞

氏名

河上 綾花

所属

理工学研究科 化学生命工学専攻 化学・物質工学分野 機能性高分子研究室

受賞年日

2023年09月28日

大会・団体名

第72回高分子討論会

受賞名

高分子学会優秀ポスター賞

研究テーマ等

低分子薬物の徐放を意図したナノ粒子封入インジェクタブルゲル製剤の開発

賞の概要

公益社団法人 高分子学会主催の第72回高分子討論会において 生体高分子及び生体関連高分子というカテゴリーで「低分子薬物の徐放を意図したナノ粒子封入インジェクタブルゲル製剤」という研究テーマのポスター発表を行い、合計835件のポスターの中から高分子学会優秀ポスター賞を受賞した。
研究内容は、低分子薬物の徐放を意図したナノ粒子封入インジェクタブルゲル製剤の開発である。
当研究室では、生体内に注入すると体温に応答してヒドロゲルを形成する温度応答型生分解性インジェクタブルポリマーとして、カプロラクトングリコール酸ランダム共重合体 (PCGA) とポリエチレングリコール (PEG) から成るトリブロック共重合体 (PCGA-b-PEG-b-PCGA, tri-PCG) の医療応用について検討してきた。
tri-PCGは生体内に注入すると直ちにゲル化し、懸濁した薬物等をその場に留めることができるため、薬物徐放デバイスとしての応用が期待されている。
しかし、低分子薬物の場合、ゲルファイバーの網目に対してその分子サイズが小さいため、早期放出されることが問題であった。
そこで、本研究では、リポソームやナノゲルといったナノ粒子に薬物を内包することで見かけの分子サイズを大きくし、ゲルからの拡散を抑制し、徐放を可能とする製剤の開発を行った。
その結果、モデル薬物として親水性蛍光物質をゲルに直接封入した系では初期バーストが生じ、3日で全てのリリースが確認されたのに対して、リポソームを介して封入した系では、初期バーストが抑制され、10日間に渡って徐放されることが分かった。
このことから、リポソームに薬物を内包することで見かけ上の分子サイズが大きくなり、ゲルからの拡散が抑制されることが示唆された。
一方で、ナノゲルを用いて行った系ではtri-PCGのゲル化の際にナノゲルが崩壊する可能性が高いことが示唆された。
これらの結果から、tri-PCGの界面活性作用に対してはナノゲルよりリポソームの方が安定であると考えられる。

指導教員

大矢 裕一

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