特別講演(ウェビナー)Special Lecture

若山 正人(わかやま まさと)氏
日本電信電話株式会社 NTT基礎数学研究センタ統括・数学研究プリンシパル
国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター 上席フェロー
国立研究開発法人 理化学研究所数理創造プログラム 特別顧問・科学アドバイザー
九州大学 名誉教授
ZEN大学(仮称,設置構想中、2025年開学予定オンライン大学) 初代学長就任予定
若山 正人(わかやま まさと)

2024年125日(木)11:15〜12:15

ご講演テーマ
AI時代の研究と人材育成

言葉の役割は、人それぞれが固有にもつ感覚や印象等を互いに共有する、あるいは同一視することにある。アンリ・ポアンカレは、数学について「一見異なるものを同じとみなす手段を与えるもの」と喝破した。数学では一方、明確な前提に基づき論理的な帰結を求める。そのため、その帰結は信頼感・公平感を与える。ただし、数学が現実の判断を行う訳ではない。AIや機械学習にも、僅かだが数学が使われている。さらに、現在や発展系のAIがもたらす利点は多様で期待も大きい。しかし、ブラックボックスも甚大であり懸念事項も多い。じっさい、生成系AIが人間の知的作業全般に急速な変革をもたらすことはおそらく確実である。したがって、批判精神を如何に育み、その導出方法や主張を吟味できるかどうかが、興隆が止まる兆しのないAI時代において重要になる。たとえば私たちがもつ感覚や暗黙知は、データに相反あるいはそれを越えることも多い。本講演では、ガリレオ・ガリレイの「宇宙は数学の言葉で書かれている」という言明と人が持つ身体性、法と規範などにも目を向けて、AI時代の研究と人材育成について数理的側面から考察してみたい。

プロフィール

1985年広島大学大学院理学研究科博士課程修了(理学博士)。鳥取大学、九州大学の助教授、プリンストン大学数学教室客員研究員を経て1997年に九州大学教授。同大学大学院数理学研究院長・学府長、主幹教授、副学長(教育)、マス・フォア・インダストリ研究所初代所長、理事・副学長(研究・産学連携)を歴任後、東京理科大学副学長・理学部教授。2021年10月、NTT基礎数学研究センタ統括・数学研究プリンシパルに就任。科学技術振興機構・研究開発戦略センター上席フェローを兼務。九州大学名誉教授。この間、ボローニャ大学客員教授、KIAS招聘研究員、インディアナ大学客員教授・Distinguished Lecturer等を務める。ナイスステップな研究者2007。現在、内閣府ムーンショットプログラム数理科学分科会主査、同目標2・副構想ディレクター、外務省科学技術外交推進会議委員等を務める。専門は表現論、数論、数理物理。

PAGETOP
参加申し込み(無料)