2025年1月23日(木)11:15〜12:15
これまで環境に優しい有機合成を可能にする触媒の開発に従事してきましたが、香川大学医学部着任後は触媒研究を継続しつつ、医学や他分野の先生方と幅広い共同研究を展開しています。特に、材料がもともと有する機能を上手に組み合わせて活かすことで、廃棄物をほとんど出さずに医薬品やその原料を温和な条件で選択的に合成でき、繰り返し再利用が可能な種々の固体触媒を開発しました。
また、香川大学で盛んに研究されている希少糖を活用して、新しいPET(陽電子放出断層撮影)用薬剤を開発する一方、触媒分析の必要から得た分光分析技術を活用して、新しい診断技術の開発も進めています。さらに、医薬品合成のための触媒技術が、水素の利活用にもつながることを明らかにしました。このように、思わぬ経緯で分野を跨いで広がった研究の経緯に加えて、香川大学で進めている分野横断的な教育や国際戦略についてもお話ししたいと思います。
1992年3月 京都大学大学院工学研究科石油化学専攻博士課程修了。同年4月より京都大学工学部助手。2001年4月より2002年5月までカナダ・ブリティッシュコロンビア大学理学部訪問研究者、2003年12月京都大学工学研究科講師、2010年12月京都大学工学研究科准教授、2013年香川大学医学部教授(現在に至る)、2021年10月から2023年9月まで香川大学学長特別補佐、2023年10月より香川大学副学長(現在に至る)。
現在は、国際戦略・グローバル環境整備担当副学長を務める一方、「環境に優しい化学」に軸足を置き、種々の低環境負荷有機合成を可能にする新触媒の開発と、医療材料の創製、分光イメージング技術の医療応用研究、そして教育に取り組んでいる。