研究概要

- 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 -

集合住宅"団地"の再編(再生・更新)手法に関する技術開発研究

■研究代表者  江川直樹(環境都市工学部 教授)
■研 究 期 間  平成23年度~平成27年度
関西大学 先端科学技術推進機構 HP

研究の目的

わが国の人口拡大・都市化の時代に大量に建設された集合住宅団地は、住宅の老朽化や設備の陳腐化などの物理的な問題のみならず、高齢化率の上昇やコミュニティの弱体化などの社会的問題をも抱えていますが、大量のストックがあり資金面の問題等から建て替えは困難で、その多くがストック活用による再生が目されています。その数は膨大で、旧公団賃貸住宅77万戸のうち57万戸がストック活用(建物の大規模改修など)の対象とされており、同様の事情を抱える公営住宅の総数は220万戸にものぼります。

本研究の目的は、事業主体が造りやすく管理しやすい画一的な空間構成となっているこのような集合住宅団地を、住宅等のストックの活用を図りつつ、住民が守り育て自立的に更新していけるような"まち"に再編する技術を開発し実践に活かすことにあります。団地建設の時代には産官学挙げて技術開発に取り組みましたが、団地再生・再編は、住戸・住棟改善のレベルで事業主体が単独で行なうにとどまっています。「学」が先鞭を切って再生・再編技術の開発とそれを担う人材の育成に取り組むことは、極めて有意義であると確信しています。

研究の方法

本研究は「学」の内外の研究者で「空間」「コミュニティ」「公共政策・マネジメント」の3つの分野ごとに研究グループを編成し、グループ単位での検討を進めつつこれを統合していきます。

学内外の参加研究者は、いずれも住宅(建築)設計、住宅計画、都市設計、都市計画の専門家であり、団地の形成期からの変遷に詳しく、その大半が実際の設計・計画の経験を有しており、再編計画案の作成も自ら実行します。また、住宅や都市に関する研究は人間に関わる課題であり、研究者は自ら人文的な分野の研究成果も 吸収する努力を続けています。参加研究者の実務成果のなかには、阪神淡路大震災からの住宅復興や先進的団地再生プロジェクトも含まれており、団地再編に関する本研究の成果に期待できます。因みにこれらはいずれも学会賞等を授与されており、学術的、社会的な評価は高い。 学外研究者にはUR(都市再生機構)職員の参加を求め、将来のUR及び自治体との研究連携を視野に入れています。再生指針および計画の検討は複数案を住民・ 事業者・設計・計画者などが比較・評価することを通じて進め、このプロセスを支援する設備として模型とその映像化(可視化)による「団地空間シミュレー ション・システム」を外部技術者の協力を得て開発・導入します。

本研究は、UR(都市再生機構)及び自治体との連携のもと、具体の団地の再編計画の策定、ワークショップ、検討を繰り返し進められます。既存住民が暮らしている団地の再編計画は個々に地域性や条件が異なり、再編に向けた、住民・地域・(従前・従後)管理主体・複数の事業主体・自治体等の"コラボレーションの仕組み"等の開発も重要な視点です。団地再編は、住民の参画を得て地域の民間活力を導入しつつ遂行されるべき"まちづくり"であり、地域再生・活性化にも貢献します。

研究メンバー(2015年度)

各メンバーをクリックするとプロフィールシート(pdf_2012年度)が開きます。

拠点リーダー 江川 直樹関西大学 教授
学内推進研究者
学外推進研究者
客員研究員
特任研究員
協力メンバー
事務スタッフ 高岡 淑恵
リサーチアシスタント 保持 尚志関西大学大学院(D3)
準研究員
元メンバー 片岡 由香愛媛大学
元学生メンバー
関西大学大学院(五十音順)

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