博物館情報庫

博物館情報庫

考古(本山)海外・参考資料
2010.04.17

墓壁断片(エジプト)

墓壁断片(エジプト)

ぼへきだんぺん(えじぷと) 
 

 古王国時代(紀元前27〜紀元前22世紀)のヒエログリフ(古代エジプトの象形文字)が刻まれた石灰岩断片。磨滅した部分もあるが、死者に捧げる供養文の1節、それも書き出しの部分が読み取れる。
 中央にヘテプ(またはホテプ、供物の意)という語があり、それを文頭語として左右対称に同種の2文、左⇒右横書の文(右文)と右⇒左横書の文(左文)とが刻まれている。
 意味は、「王が、西方の第一のもの・大神・〔欠落アビドス?〕の主であるオシリス神に与える供え物」で、近似的な発音は、「ヘテプ・ディ・ネスウ・ウシル・ケンティアメニテト・ネチュルアア・ネブ」となる。オシリスは、冥界の王、死者の神で、アビドスは同神の聖地である。ケンティアメニテト(西方の第一のもの)は、アビドスを聖地とする古い冥界の神である。
 その後は欠落しているが、常套句であれば、死者の生前のすべての官職名と氏名が続き、「死者のカァ(霊)にビール・パン・布・油・鳥肉・牛肉そのほかすべての良き清きものを与える」と続く。