博物館情報庫

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考古(本山)その他
2010.05.01

鞭型角質製品(アイヌ)

鞭型角質製品(アイヌ) 鞭型角質製品(アイヌ)

むちがたかくしつせいひん(あいぬ)


 鞭型角質製品の中央にはカジキが彫刻され、裏面には白老(シラオイ)の字が刻まれている。白老町は北海道の南西部に位置する。かつてはアイヌの大集落があり、昭和初期まで、イタオマチプ(丸木舟の底をくり抜き、床板を張った船)とキテ(離頭銛)を用いた伝統的なシリカプ(カジキ類)漁が行われていた。
 収獲されたシリカプには「送り儀礼」が行われ、供え物や丁寧な見送りをして神の世界へ送り届け、再び自分たちのもとを訪ねてくれるように祈った。送り儀礼はアイヌにとって重要な生き物に対して行われるもので、熊へのイオマンテが有名であるが、シリカプを送る地域は少ない。白老アイヌにとって、シリカプがいかに重要な生き物であったかがうかがえる。