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関西大学大学院 理工学研究科長 長岡康夫

関西大学大学院 理工学研究科長 長岡康夫

関西大学には、「学の実化(がくのじつげ)」という学是があります。これは、関西大学の第11代学長、総理事 山岡順太郎によって提唱されたものであり、大学が研学の府として学問における真理追究にだけ終わるのではなく、社会のあるべき姿を提案し、その必要とするものを提供することによって、学理と産業界、官界との橋渡しをするという姿、すなわち、「学理と実際との調和」を求める考え方です。大学が、その成果を実社会へ還元すること、逆に、社会におけるニーズを吸収し、よりよい社会を目指した学問のあり方を追求することを学園に求めたもので、いまで言う、産学連携、産官学連携の基本となる考え方であると理解できます。山岡学長の在任期間は1922年~1925年ですので、この学是は100年近く前につくられたことになります。時代の変化とともに、その解釈は多少変化したとしても、現在も色あせることが無い、大学のあるべき姿を示している言葉だと思います。

理工学研究科では、この学是を一つの理念として、「システム理工学」「環境都市工学」「化学生命工学」の3専攻において、それぞれのコンセプトである「しくみづくり」「まちづくり」「ものづくり」を背景に、実社会に貢献できる実践的で有能な人材育成に取り組んでいます。これらの専攻の下には、「数学」「物理・応用物理学」「機械工学」「電気電子情報工学」「建築学」「都市システム工学」「エネルギー環境・化学工学」「化学・物質工学」「生命・生物工学」の9分野をおいて、細分化した理工学の学問領域を網羅した教育体制を整えています。当研究科が目指すのは、先端知識や新技術の背後にある現象の本質を理解できる能力、技術的課題に対してハード面だけではなくソフト面からもアプローチできる能力、物質の機能を様々なシステムやデバイス、そして生命体の中で発揮させる能力を涵養する場を提供することです。ここに集い学ぶ者達が、技術社会システムの先端的研究課題を解明できる力を有し、国際的舞台で次代の学会・産業界をリードできる有能な人材として輩出されることを目標とした教育・研究を行っています。