化学生命工学部 三田文雄教授が公益社団法人高分子学会において高分子学会賞を受賞
氏名
三田 文雄
所属
化学生命工学部 化学・物質工学科
受賞年日
2025年05月23日
大会・団体名
公益社団法人高分子学会
受賞名
高分子学会賞
研究テーマ等
共役型遷移金属錯体部位を有する配位高分子の合成と構造制御および機能開拓
賞の概要
公益社団法人高分子学会は,高分子に関する科学技術の基礎的研究およびその実際的応用の進歩,学術文化の発展ならびにそれらを担う人材の育成を図り,もって社会の発展に寄与することを目的として1951年に設立された。2025年現在の会員数は約1万名である。三田文雄教授は,金属含有タンパク質のような高度な光電気機能や触媒機能を有する新規高分子の開発を目的として,一次構造および高次構造を制御した含金属共役高分子,特に白金にリンや窒素が配位した錯体部位を主鎖や側鎖に有する高分子の合成,構造制御,そして機能探索を行ってきた。白金錯体は,エレクトロルミネッセンス(EL)やフォトルミネッセンス(PL)材料として活発に研究開発されており,三田教授は白金錯体部位を主としてポリアリレンエチニレンに組み込み,白金錯体と共役高分子の双方の特性を併せもつこれまでほとんど類例のない高分子材料を開発している。三田教授の研究手法は,実験と量子化学計算や分子動力学計算を併用して効率的な分子設計と緻密な構造および機能開発を達成するもので,配位子の構造制御による共役長や二次構造の精密制御などに成功している。さらに,これらの高分子のEL・PL材料,光波長変換材料,発光性エラストマー,不斉認識材料,触媒としての機能も明らかにしており,科学技術振興機構の可能性検証事業に採択される等,基礎から応用まで幅広く研究を展開している。これらの研究業績は独創的かつ優れたものとして国内外で高い評価を得ており,高分子科学の進展に大きく貢献することから,高分子学会賞(科学)を授与された。