理工学研究科 清野 謙二郎さんが第50回医用高分子シンポジウムにおいて学生奨励発表優秀賞を受賞
氏名
清野 謙二郎
所属
理工学研究科 化学生命工学専攻 化学・物質工学分野 生体材料学研究室
受賞年日
2021年07月07日
大会・団体名
第50回医用高分子シンポジウム
受賞名
学生奨励発表優秀賞
研究テーマ等
リン酸結合を骨格に有するポリマーによる骨芽細胞分化の促進
賞の概要
公益社団法人 高分子学会 医用高分子研究会主催の国内学会第50回医用高分子シンポジウムにおいて「リン酸結合を骨格に有するポリマーによる骨芽細胞分化の促進」に関する研究で,ポスター発表を行い,15件の学生奨励発表(ポスター発表)の中から優秀賞を受賞した。
近年、高齢化に伴う運動器機能不全が世界的な問題となっている。その原因のひとつとされる骨粗鬆症は、骨芽細胞による骨形成よりも破骨細胞による骨吸収が過剰に行われることで骨リモデリングのバランスが破綻し、骨量低下と骨折リスクの増加を引き起こす疾患である。現在、骨粗鬆症治療薬として骨吸収抑制剤、骨形成促進剤、カルシウム製剤などが使用されている。骨粗鬆症治療の第一選択薬に挙げられるビスホスホネート(BP)は、骨吸収を抑制するが、長期使用における非定型大腿骨骨折などの副作用との関連性が問題視されている。一方、骨形成促進剤についても使用期間の制限、発がん性、循環器疾患との関連性などが指摘されており、新たな薬剤の開発は急務である。そこで本研究では、新たな高分子医薬の創出について検討した。核酸の主鎖と類似した構造を有する種々のポリリン酸エステル(PPE)を合成し、骨芽細胞分化に及ぼす影響を詳細に調査したところ、リン酸ジエステル骨格を有するPPE(PPDE)が、骨芽細胞の分化を促進することを遺伝子発現と細胞機能の双方から明らかにした。さらに、PPDEがin vivoで骨指向性を有することも見出し、骨粗鬆症治療薬としての可能性を示した。
指導教員
岩﨑 泰彦