化学生命工学部

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理工学研究科 小川弘晃さんが第74回高分子学会年次大会において優秀オンデマンド発表賞を受賞

氏名

小川 弘晃

所属

理工学研究科 総合理工学専攻 化学・物質工学分野 機能性高分子研究室

受賞年日

2025年05月23日

大会・団体名

第74回高分子学会年次大会

受賞名

優秀オンデマンド発表賞

研究テーマ等

三次元網目構造体分子ネットと縫い込み重合により得られる可動的な架橋構造を持つトポロジカルゲル

賞の概要

公益社団法人 高分子学会主催の国内大会 第74回高分子学会年次大会において「三次元網目構造体分子ネットと縫い込み重合により得られる可動的な架橋構造を持つトポロジカルゲル」という演題でオンデマンド発表を行い, 351件の発表の中から優秀オンデマンド発表賞を受賞した。我々は、末端官能基同士が互いに縮合反応する 2 種の 4-arm PEG 誘導体を希薄溶液中で反応させ,水に可溶な高分子量の三次元網目構造体 (分子ネット, MN) を合成した。この MN の存在下で第2モノマーを重合すると,伸長する高分子鎖が何度も網目をくぐり抜ける「縫い込み重合」により,高分子鎖がMNに物理的に拘束されることで動的な「架橋点」が形成され、トポロジカルな構造を有する新規なゲル (MN gel) が得られることを見出した。本研究内容では調製条件を種々変化させ,MNとPNIPAAMから得られたMN-ゲルの物性について検討した。MNゲルの調製は, MN濃度を1〜5 wt%の範囲で変化させた水溶液に,最終濃度20wt%となるようN-isoprpylacrylamide(NIPAAm)を溶解し,ダンベル状鋳型に流し込み,レドックス系開始剤を使用して重合を行った。得られた試験片を使用して,引っ張り試験機により力学物性を調査したところ,MN濃度が増加するにつれて弾性率と破断応力が増加する傾向が見られた。弾性率は単位断面積あたりのポリマー鎖量が増加すると大きくなるのは当然であるが,今回のポリマー総重量に対するMN濃度の増加は,弾性率に影響を与えない程度のごく微少なものである。しかしながら, 弾性率と破断応力に顕著な増加がみられたことはMNが低濃度でも有効な架橋構造を提供していることを示している。一方, 破断ひずみはMN濃度が増加しても大きな変化はなく,どの程度変形すれば,MNの網目からポリマー鎖が引き出されるかには大きな差がないことが示唆された。 本研究成果は、MNgel研究の基礎的研究に該当し、この成果はMNgel研究全体への波及的貢献が期待される。

指導教員

大矢 裕一

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