理工学研究科、加藤 匠真さんが第45回日本バイオマテリアル学会大会において日本バイオマテリアル学会優秀研究ポスター賞を受賞
氏名
加藤 匠真
所属
理工学研究科 化学生命工学専攻 化学・物質工学分野 機能性高分子研究室
受賞年日
2023年11月07日
大会・団体名
第45回日本バイオマテリアル学会大会
受賞名
日本バイオマテリアル学会優秀研究ポスター賞
研究テーマ等
経鼻投与が可能な対コロナウイルスワクチンとしての ヒアルロン酸被覆高分子ミセルの開発
賞の概要
一般財団法人 口腔保健協会 日本バイオマテリアル学会主催の第45回日本バイオマテリアル学会大会において「経鼻投与が可能な対コロナウイルスワクチンとしてのヒアルロン酸被覆高分子ミセルの開発」という研究テーマでポスター発表を行い, 合計 194件のポスター発表中,受賞対象となる140件の中から日本バイオマテリアル学会優秀研究ポスター賞を受賞した。
以下にその研究内容を示す。
本研究は,新型コロナウイルス感染症に対する経鼻ワクチンの開発である。
通常の筋肉・皮下注射によるワクチン以外にも、鼻に噴霧するタイプの経鼻ワクチンがあり、患者に痛みがないことや,自己接種も可能であることから、医療従事者の負担低減が期待できる。私たちの研究室では、ポリリシン(親水性)とポリ乳酸(疎水性)のジブロック共重合体からなる表面に正電荷を帯びたミセル(ナノ粒子)に、負電荷を有するヒアルロン酸(HA)を静電相互作用で被覆したミセル (HA被覆ミセル) を開発している。
このミセルの最外殻はHAで覆われており、HA受容体を持つ細胞・組織に特異的に集積するため、 HA受容体を持つ免疫細胞に特異的に取り込まれることが期待される。このような観点から、このHA被覆ミセルに、モデル抗原と免疫増幅剤を担持させ、マウスに経鼻投与すると,抗体の産生が促進され、経鼻ワクチンのキャリアとして有用であることがこれまでに見出されている。
そこで、本研究では、次の段階として、コロナウイルススパイクタンパク質と免疫増幅剤を静電相互作用で担持したHA被覆ミセルを調製し、免疫細胞へのデリバリー機能とマウス鼻腔投与における免疫誘導能について調査した。
その結果、調製したHA被覆ミセルは、免疫細胞に効率的に取り込まれることやコロナウイルススパイクタンパク質特異的な抗体が多く産生されることが確認できた。
指導教員
大矢 裕一