理工学研究科 安井 貴彦さんが第43回 日本バイオマテリアル学会大会において優秀研究ポスター賞を受賞
氏名
安井 貴彦
所属
理工学研究科 化学生命工学専攻 化学・物質工学分野 機能性高分子研究室
受賞年日
2021年11月30日
大会・団体名
第43回 日本バイオマテリアル学会大会
受賞名
優秀研究ポスター賞
研究テーマ等
刺激応答性高分子と可溶性分子ネットの絡み合いによる機能性ゲルの開発
賞の概要
日本バイオマテリアル学会が主催した第43回日本バイオマテリアル学会大会において,「刺激応答性高分子と可溶性分子ネットの絡み合いによる機能性ゲルの開発」に関する標題の研究で,合計87件のポスター発表の中から優秀研究ポスター賞を受賞した。
我々は環動ゲルやDNゲルの構造的特徴を有しながら,それらとは異なる新規なトポロジカルゲルの作製方法を開発しました。この新規ゲルは,網目状分子と線状高分子の絡み合いのみで架橋構造を形成し,ゲル化します。具体的には,溶媒に可溶な網目状の高分子 (分子ネット) 存在下で,アクリル酸を重合しました。この時,伸長するポリアクリル酸が分子ネットの網目を何度も貫通し,分子ネットとポリアクリル酸が複雑に絡み合います。このように架橋構造を形成することで,可動的な架橋構造を持つゲルが得られました。このゲル作製方法の利点は,重合するモノマーを変更することで,簡単に多種多様なトポロジカルゲルの作製が期待できることです。
そこで本研究では,モノマーをアクリル酸からNIPAAmに変更し,熱刺激に応答するトポロジカルゲルの調製を試みました。その結果,分子ネットとPNIPAAmの絡み合いによる可動的な架橋構造を持つトポロジカルゲルの調製に成功しました。この分子ネットゲルは引張試験,膨潤試験において特異な物性を示し,さらに熱刺激応答性も示しました。これより,分子ネットを用いたトポロジカルゲルは,モノマーを自由に選択でき,目的とする刺激応答性の付与が可能であることが明らかになりました。
指導教員
大矢 裕一