化学生命工学部

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理工学研究科 山咲 茉名美さんが第67回高分子研究発表会(神戸)においてエクセレントポスター賞を受賞

氏名

山咲 茉名美

所属

理工学研究科 化学生命工学専攻 化学・物質工学分野 機能性高分子研究室

受賞年日

2021年07月09日

大会・団体名

第67回高分子研究発表会(神戸)

受賞名

エクセレントポスター賞

研究テーマ等

フェニルボロン酸誘導体を用いた内部架橋型のホウ素中性子捕捉療 法用高分子ミセルの調製

賞の概要

公益社団法人 高分子学会主催の国内大会 第67回高分子研究発表会 (神戸) において「フェニルボロン酸誘導体を用いた内部架橋型のホウ素中性子捕捉療法用高分子ミセルの調製」に関する研究でポスター発表を行い, 合計119件のポスターの中からエクセレントポスター賞を受賞した。
ホウ素中性子捕捉療法 (Boron Neutron Capture Therapy, BNCT) とは, 腫瘍細胞に10B(ホウ素同位体)を集積させ, 熱外中性子線を照射し, 核分裂反応で生じた4Heと7Liにより腫瘍細胞の選択的破壊が可能な放射線療法の一種である。現在BNCTの第一選択薬L-p-Boronophenylalanine (L-BPA) は腫瘍への集積性が高くないため大量投与が必要であり, これに代わる腫瘍集積性の高い10Bデリバリーシステムの開発が望まれている。我々はこれまでに, ジオール基を側鎖に有するモノマー (DHPMA) と, PEGユニットからなるジブロック共重合体 (PEG-b-PDHPMA) を合成し, このポリマーとフェニルボロン酸 (PBA) とを混合することにより側鎖ジオールとPBAのエステル形成により, 水中で自己組織化してミセルを形成すること, およびPBA結合ミセルを用いると, 腫瘍組織へのホウ素集積率がL-BPAより約1.5倍高くなることを確認している。本研究では, 内部架橋によるミセルの安定性向上と腫瘍組織近傍での低pH環境でのミセル崩壊を意図して, 一分子内にボロン酸基を2つ, 電子吸引性基であるF原子を1または2つ有する2-fluoro-1,4-phenylenediboronic acid (MFPDBA), 2,5-difluoro-1,4-phenylenediboronic acid (DFPDBA) を合成し, そのホウ素デリバリーキャリヤーとしての機能評価を行った。ここではF原子の数を2種類変え, その電子吸引性によりpKaを変化させ, 高い希釈安定性とpH応答性を両立する内部架橋型高分子ミセルを作成する最適な分子の条件を明らかにした。今回調製されたミセル, 特に1フッ素化物を用いたものに関して狙い通りのpH応答性を示し, 高い希釈安定性を有していることが明らかになった。

指導教員

大矢 裕一

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