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所長からの挨拶 Message

飯島 暢
(法学部教授)

関西大学法学研究所は、関西大学の前身である関西法律学校開校から百年を迎えた年の翌1987(昭和62)年に、岩崎記念館内に設立されました。岩崎卯一は、大正期に本学で学んだ肥前佐賀出身の俊英で、本学第一回海外留学生として渡米、コロンビア大学において博士号を取得し、帰国後教授に採用されて教壇に立ち、初代法文学部長や初代図書館長を経て、第17、19、20代学長を務められた国際人であることは周知のところです。
法学研究所は、1991(平成3)年に「大津事件判決100周年記念行事」や1997(平成9)年に「法学研究所創立10周年記念講演会・シンポジウム」を開催したのち、新世紀に入った2001(平成13)年には、新たに竣成された児島惟謙館内に移設され、「児島惟謙館竣工記念講演会」を開催しております。さらに、2008(平成20)年には「児島惟謙没後100年記念シンポジウム」を開催しました。児島惟謙もまた、大津事件において、西欧立憲主義の重要な柱である司法権の独立を、狼狽する総理や法務・外務等の閣僚に抗して主張した宇和島出身の大審院長であり、大阪控訴院長時代に関西法律学校創立に多大な貢献をなした国際人でありました。
まさに、大学を取り巻く社会状況の変化を示す重要な要素である「国際化」を、法学研究所はその礎に置いているといってよいでしょう。
もちろん、「国際化」にとどまらず、現代日本社会の全産業構造は「情報化」、「技術化」といった現象をも大きく被っており、加速するこれらの動向に対しても、法学は真摯に対応することを求められ、法学研究所は、そのような要請にも十二分に応えるべく、研究とその成果公表の活動を着実に蓄積させてきております。
『研究叢書』と題するここでの研究成果は、時間と空間のパースペクティブを広げ、多種多様のテーマを設定する30を超える共同研究班により、すでに50冊以上公刊されています。また、学術フロンティア推進事業「国際金融革命と法」プロジェクトの膨大な研究成果が別途刊行され、その他の大規模なシンポジウムや研究会の成果も単行本にまとめられています。さらに、年2回発行される研究所機関誌『ノモス』には、毎年10回以上開催される研究者向けあるいは市民向けの、各種シンポジウム・セミナー・公開講座等の成果が掲載されています。これら研究所主催の各種事業には、法学部にとどまらない諸学部の教員や他大学の教員、さらには広く中国や韓国をはじめとする、アジア・オセアニアからヨーロッパ・アメリカ等の研究者が多数参加し続けてもおります。
2007(平成19)年に創設20周年を迎えた本研究所は、これまでに文部科学省の学術フロンティア推進事業、及び戦略的研究基盤形成支援事業の採択を受けております。
関西国際空港を擁する大阪の地にあって、「国際化」をしっかりと位置づけ直し、法学研究に求められる各種の要請に積極的に応えるべく、また学内の他研究所との共同研究をもいっそう進めています。
所長として改めて微力を尽くす所存でございますので、引き続き忌憚なくご指導ご鞭撻を賜りますよう、皆様にお願いを申し上げる次第です。

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