日本人の死因のうち、がん等の悪性新生物とほぼ同数を血液循環に関連した疾患が占めています。
血液循環系の疾患は、流れる血液が粘くなったり、それを流す血管が硬くなったり、それらが両方起こったりする生活習慣病がきっかけになることが多いと考えられています。
血管の変性は血圧上昇など症状として比較的あらわれやすいのですが、血液の主成分である赤血球は通常4ヶ月程で新しく入れ替わるため、その変性だけを捉える事は難しく、現在は生化学的な検査指標を参考に診断されています。
これまで、我々は流れの専門家として、体内の血液の流れを、できるかぎり体外で再現し、人工心臓弁などの機能を評価したり、新しい治療器具を開発する研究に携わってきました。
その1つの応用例として、血液の循環特性を左右する赤血球の変性による硬さの変化を直接的に測る方法を開発しました。
この方法では、毛細血管と同じ大きさのマイクロ流体チップに血液を流すことで 、従来の生化学検査では測ることが出来なかった赤血球の硬さを直接的に測ることができます。
これを、薬剤などによる治療効果の見える化などへの応用を進めています。