今日の超高齢化社会に必要な医療は、治療と診断における患者さんの肉体的・精神的・経済的負担を軽減することです。
このため、侵襲の程度が低い(低侵襲)治療と診断を実現する医療機器の開発が喫緊の課題です。現在の医療は、手術時の開口部を小さくしたり、投薬の量や回数を減らしたりする方向へと進んでいます。こうした低侵襲または非侵襲の治療を実現する医療機器を使用することによって、治療中はもちろん患者さんの予後のQOL(Quality of Life)を向上させることができます。このプロジェクトでは、まさにこのような医療器材と医療システムの開発を目指しています。
一方、わが国では、医療機器のほとんどを輸入に頼っていることが医療費総額を押し上げる一因となっており、“メイド・イン・ジャパン”の医療機器の開発が望まれています。
このような背景から関西大学では“KU-SMART(Kansai University Smart Materials for Advanced and Reliable Therapeutics)プロジェクト”を始動し、大阪医科大学(2021年4月より大阪医科薬科大学)と強固な医工連携体制を築き、現場の臨床医からのニーズに基づいて、医療用の材料・システムを開発し、国際競争力のある医療機器として製品化し、臨床現場(人=患者と医師)に届ける研究を進めています。