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研究班のご紹介

関西ファミリービジネスのBCMと東アジア戦略研究班

研究期間

2023年4月1日~2025年3月31日(2期目)

研究テーマ

ポスト・コロナ時代の関西ものづくりファミリービジネス(FB)によるBCM(事業継続マネジメント・事業承継)と東アジア戦略

研究目的

2020年全世界経済が新型コロナウィルス感染症の影響を受けている。コロナ禍で我が国の経済・政治が学ぶべき教訓は,BCM(事業継続マネジメント)とサプライチェーンの多様化が必要不可欠ということである。グローバル競争社会において,付加価値の低い製品は,中国など低コストの国で生産するのは定理である。しかし,コロナ禍では,原料や素材,部品の生産を中国一国に依存した結果,国内生産現場が健全でも,日本企業が力を発揮できないリスクが顕在化した。一つの部品が中国から届かないだけで,国内ラインが停止した。東日本大震災など自然災害の教訓で,サプライチェーンの可視化やBCMを軸に有事への対応力を高めていたが,感染症による想定外の状況に陥り,損失・収益機会喪失・感染対策の追加費用が生じている。
理想論では,今後,特殊性が高く調達リードタイムが長い部品は,国内調達した方がリスク管理上は良いという認識を持つ。そして特殊性が低い部品を海外調達する場合も,アジアの他国に分散したり,コストが高くなっても国内で代替生産できる調達先を準備する。その際の在庫は,有事に代替調達先を見つけたり復旧するまでの間,命綱になると考える。これらは理想論であり,現実的にはコストと時間がかかる。理想と現実的な制約の中で,パラダイムの転換が必要となろう。
こうしたことを背景に,我が国の経済・政治に突き付けられた課題は,「世界2位の経済大国である中国と今後も上手く取引しつつ,コロナ禍が浮き彫りにした中国集中リスクについてどのように対処し,事業を継続・承継して東アジア戦略を展開するか」にある。このことを研究し社会的に提言することが本研究班の目的である。
研究戦略の成功には,対象を的確に絞る必要がある。それゆえ,中国のみに傾斜した研究ではなく,韓国や台湾も調査対象とする(研究リスクの分散)。日本企業といっても幅が広すぎるので,研究対象を関西のものづくりファミリービジネスに限定する(研究資源の集中)。またコロナ禍というリスクを経験した企業のサステナビリティや安全マネジメントを再構築するのに貢献しうるよう,BCM(事業継続マネジメント),サプライチェーンのあり方を調査提言する(研究の実化)。BCMには,災害に対する事業継続だけでなく,中小企業が多い関西ファミリービジネスの共通課題である事業承継の意味を含める(研究資源の結合)。ファミリービジネス,事業承継,感染症を含めたBCMは,時代が要請している研究分野である(社会貢献)。

研究員

主幹 亀井 克之(社会安全学部 教授)
  上野 恭裕(社会学部 教授)
  林 能成(社会安全学部 教授)
  上田 正人(化学生命工学部 教授)
  徐 聖錫(韓国 釜山経商大学 教授)
  堀越 昌和(福山平成大学経営学部 准教授)

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近代関西経済の発展とアジア・アフリカの国際関係史研究班

研究期間

2022年4月1日~2024年3月31日(2期目)

研究テーマ

近代関西経済の発展についてアジアとアフリカの国際関係から考察する

研究目的

関西経済の衰退が叫ばれて久しい。それでも近年は徐々に企業数も増加傾向にあると言われているが、それでも全盛期と比べれば、東京との経済規模の差はあまりにも大きなものになっていると言わざるを得ない。こうした関西経済の現状を考える時、関西経済が日本経済を牽引する役割を担っていた時代について、改めて考察の目を向けることは大きな意味があると言える。
関西経済が発展した時代を改めて見た時、その特徴として関西の製造業の発展とそれらの輸出の成長を挙げることが出来る。特にアジアやアフリカに対する輸出の拡大は、戦後の関西経済を復興させる上で大きな役割を果たしていた。その時、こうした関西からアジアやアフリカへの輸出を主導したのが総合商社であり、また主に神戸に拠点を確立していた華僑の人たちであった。こうした過去の経済成長の事例を踏まえて昨今の関西経済の状況を捉え直した時、どのような点を私たちは取り組むべきか、一つの有力な案を知ることが出来ると考える。特にアジアやアフリカとの関係性については、戦後直後に比べてその重要性は高まっているのであり、これらの地域との密接な関係をどのように構築していくべきか、歴史的視座から学び直す必要は高いと言える。その意味でも本研究班は取り組む意義があると言える。

研究員

主幹 西村 雄志(経済学部 教授)
  北波 道子(経済学部 教授)
  西村 成弘(商学部 教授)
  石川 亮太(立命館大学経営学部 教授)
  木山 実(関西学院大学商学部 教授)
  岩橋  勝(非常勤研究員)
  北川 勝彦(非常勤研究員)

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財政と公会計研究班

研究期間

2023年4月1日~2025年3月31日(1期目)

研究テーマ

財政と公会計の実態と相互連携に関する研究

研究目的

近年、地方財政の現状分析や政策形成において公会計の活用が注目され、総務省でも共通した様式での公開が進められている。本研究の目的は、地方団体の財政運営の現状を分析し、財政運営の将来の方向性について考察することである。
1990年頃のバブル崩壊後、公的債務は拡大の一途をたどり、20世紀最後には政府支出の規模はピークを迎える。そして、2000年代の日本の国と地方団体の財政は、常に「健全化」や「持続可能性」がキーワードとなっている。2000年代の初めは行政改革集中期間と位置づけられ、さまざまな財政健全化策が講じられる。一方で、地方分権も大きな政策課題であり、財政健全化と分権の両方を目指した三位一体改革が実施される。しかしながら、全体的な財政健全化の進みは遅く、2020年以降、コロナ禍に見舞われた財政運営はさらに厳しさを増すことが予想される。
本研究では、地方の行政改革、財政健全化、そして地方創生事業が展開されてきた2000年代からの地方財政の実証的な分析を行い、地方財政を巡る政策がどのような効果をもたらしたのかを明らかにする。そして、ポストコロナを見据えた財政運営及び公会計のあり方について考察する。

研究員

主幹 林 宏昭(経済学部 教授)
  柴 健次(大学院会計研究科 特別契約教授)
  石田 和之(商学部 教授)
  馬場 英朗(商学部 教授)
  下山 朗(大阪経済大学経済学部 教授)

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サブサハラ政策研究班

研究期間

2023年4月1日~2025年3月31日(1期目)

研究テーマ

日本のサブサハラ・アフリカ政策をめぐる総合的研究
―ODA(政府開発援助)と民間投資の実態分析を通して―

研究目的

2000年度以降、アフリカは、世界平均を上回る経済成長率を遂げてきた。そして、その人口は2050年には 25億人を超え、中国やインドを上回ると予想される。また、2021年1月からは、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が始動し、アフリカ全域での共通市場化が進む中、アフリカの潜在力には世界から期待が寄せられる。しかし、世界の貧困層の半数が、南アジアとサブサハラ5カ国(インド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、エチオピア、バングラディシュ)に集中しているとされることからも(世界銀行 2019)、サブサハラは、依然として、深刻な貧困問題を内在化した地域であり、SDGs(持続可能な開発目標)実現の成否は、サブサハラが持続可能な成長モデルを描けるかにかかっているといっても過言ではない。
日本は1993年よりTICAD(アフリカ開発会議)を主導し、同地域との官民挙げての連携を掲げ、特に2013年以降は、同地域をビジネスパートナーと位置づけて、相互の成長戦略を提示してきたが、日本の一連の政策も検証の時期にあるといえる。
関西大学では、2015年度より、JICA(独立行政法人国際協力機構)により実施されてきたABEイニシアティブ(アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ)プログラムの下、毎年、アフリカからの留学生を受け入れている。
本研究班は、サブサハラのうち、世界的な新型コロナウイルス感染症蔓延前のIMF(国際通貨基金)データに基づく10年間の経済成長率、年平均6%以上の国3か国(エチオピア、コンゴ民主共和国、モザンビーク)と、一人当たりのGDPで世界最下位に位置づけられるブルンジの計4か国に焦点をあて、当該地域の元留学生等からなる研究チームの協力の下、日本の 2013度以降の対サブサハラ政策をODAと民間投資の実態を踏まえて、学際的に分析し、日本の対サブサハラ政策に新たな指針を提示することを目指すものである。

研究員

主幹 山名 美加(法学部 教授)
  大津留 智恵子(法学部 教授)
  中野 徹也(法学部 教授)
  吉沢 晃(法学部 准教授)
  マノジュ・シュレスタ(甲南大学経営学部 教授)

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民主主義の再生と「公共圏」研究班

研究期間

2023年4月1日~2025年3月31日(1期目)

研究テーマ

共通の「空間」と「事実」の喪失により「自壊」状況にある民主主義を再生し「公共圏」論の開拓を目指す研究

研究目的

民主主義の「自壊」とも言うべき状況が生じている。第1に、共通の「空間」の喪失である。個人をつなぐ関係性(地域団体(自治会、町内会、婦人会、青年団)、同業者団体(農業団体、労働組合、商工業団体)、NPO、伝統的な政党等)が失われ、「個人」が「孤人」へと変質してしまっている。こうした社会の変容は、既成の団体・政党・政治を批判し、無党派層・無組織層の支持を集めるポピュリズム政治の台頭を可能にしていると指摘されている。第2に、共通の「事実」の喪失である。公文書の改ざん・隠蔽・破棄により事実に基づいた議論が成立しなくなり、国会では不誠実な答弁により議論自体が意味を持たなくなるという雰囲気まで生じている。また、「ポスト真実」と呼ばれる状況や「フェイクニュース」の氾濫により、何が真実かさえも気にしなくなる傾向が生じ、社会の分断を後押ししている。
本研究は、民主主義の再生の途を探るべく、国家や社会における様々な諸課題と向き合う逞しい「公共圏」論を開拓することを目的とする。「公共圏」論は、政治領域における制度的決定それ自体とは区別される、自由で自律的な市民社会での公論形成を対象とする研究である。民主主義国家の存立を可能とするのは、この「公共圏」の存在である。本研究プロジェクトは、「公共圏」の多様なアクターに着目し、国家や資本の力によって歪められることのない自由な空間の可能性を追究する。

研究員

主幹 広瀬 義徳(文学部 教授)
  高作 正博(法学部 教授)
  笹川 慶子(文学部 教授)
  百木 漠(法学部 准教授)
  水谷 瑛嗣郎(社会学部 准教授)
  谷合 佳代子(大阪産業労働資料館館長)

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